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03 3/3

エリーがペーターペーターと煩いので「幼馴染で婚約者よ」と答えておく。いつの間にか参加した(と言ってもかなり遠くにいる)一位様は驚愕の表情を浮かべる。何この人。知らなかったの?と怪訝そうにそれを睨むと何故かエリーにまで怪訝な顔をされる。



「如何したの?調べてるでしょ?」

「はい」

「エリー、ついに隠す気も無くなったのね」

「もう良いかなって!」

「最初からそうだった気もするけど…まぁ良いわ。私の隣の家の同じ歳の男の子。ペーターよ。金色の髪の」

「金色?!」

「な、何ですか?」

「金と言ったのか?」

「え、ええ。金色の髪でした。告白されたのか麦畑だったから」

「いつですか?!」

「12歳の頃?」

「君が村を出る時は?」

「出る時は…そう言えばいなかったわ。前日にお別れしましたから」

「っ!?」

「一位様?如何したんですか?」

「今いくつだ!」

「25になりましたけど?!なんか文句あります?!」

「13年前の大豊作と10年からの飢饉か!」

「???」

「一位殿を説明を!きちんとしなきゃアメリア様が混乱してます!」




そう言うとハッとした顔をしたあと真剣な顔で私を見つめてくる。何事?!と思いながら一位様?と声をかけると「一度でいいから褥を一緒にして欲しい」という。




ぶん殴ったのは致し方ないと思う。私は悪くない。






「一位殿!何でそう全部吹っ飛ばした言い方するんですか!」

「しかしだな、ことは急を」

「嫌われてるんですよ!わかってます?!」

「う、ぐ」

「う、ぐじゃないですよ!良いですか!アメリア様!」

「何、エリー」

「アメリア様、その金色の髪が精霊王なのは知ってますか?」

「…は?」

「アメリア様の身辺調査はこのばかの番とわかった時にもう一度行っています。魔法使いは番の言いなりですから、危険思考があれば国の崩壊に直結します。普通の魔法使いであってもです。抑えるはずの上位の魔法使いなんて自分の関心がない事象には見向きもしませんから、国を助けるか否かは賭けに近いんです。なにより、このバカは変態ですけど始祖以来の魔力と知性を持ち合わせていますから止める魔法使いは存在しません。だからヤバい番やその身辺が居れば無かったことにすることがあります。実際過去に上位魔法使いで数件あったそうです。」

「え?!そうなの???」

「はい!アメリア様のご家族はとても穏やかで、村自体もそうでしたから大丈夫と太鼓判ものなんですけど、…ペーターさんについては誰の口からもその名前が上がってきていません」

「それは、番になったからでは?」

「戸籍すらないのにですか?」

「え?!」

「何処の資料にもペーターという人どころか貴方のいう隣人家族は居ないんです!」

「え?!何で!」

「あなたのお母様もお父様も。それどころか誰に聞いても資料を見ても現地に行っても!ペーターいう人、その家族は存在しません。」

「消した、というは」

「消していない!」

「一位様もそういうことはしません。いつかはバレてしまうことは絶対あなたを傷つけてしまう。私たちは暴走しない限り、番が傷つくことをしないものなんです。」

「…じゃあ」

「精霊だ」

「精霊?」

「我々と対局ある存在」

「?」

「君は、聖女なんだな」









この国で一番の魔法使い様が番に拗らせてるの、知りたい? 03 3/3







「良いですか、この変態と一緒なことを言うのは遺憾ですけど!」

「?」

「一度でいいんです。契りを結んでください」

「エリー?!」

「冗談抜きで、本当にやばいんです。アメリア様は「聖女」です」

「聖女って…始祖様の番でしょ?」

「違います。あれ偽物」

「え?!」

「本当の聖女を虐げ王位についた偽物だ。私たち魔法使いは初めにそう教えられる。だから王家を敬いはしない。」

「そうなの?」

「というより興味がないんです」

「?」

「この国に魔法があるのは始祖と偽りの聖女、ひいては王家のせいと言える。」

「???」

「昔、精霊王に愛された聖女を害したこの国は全てを取り上げられた。豊かな大地も美しい森も。それこそ飲水、食料至るまで生きることに必要な全てだ。それを嘆いたのは他ならぬ死ぬ間際の聖女だ。」

「何で?」

「聖女は始祖を愛していた。始祖もだ。真実二人は番だった。ある日始祖はある魔女に騙された。聖女が他の者を愛していると。」

「激昂して殺したと」

「簡単に言えば。少し違うが、精霊王に愛された聖女を害した始祖は罰を受けた。ある条件の者としか子が生まれない。それがパートナーの始まりだ。そして「愛する者を殺さないで」という聖女の願いから「手助けはしない。己たちでどうにかしろ」と精霊王から授けられた力が魔法だ。」

「で、何でそれが私とあなたの話になるんですか?」

「魔法使いの罪で聖女願う豊かさとパートナーにしか興味を持てなくなってしまった。そしてもう一人。偽りの聖女はより強く呪われた。完全な呪いだ。呪いは王家の一子しか生まれないというところに現れていると言われる。そして魔法使いとは子ができない。」

「ん?ですが今の王家は」

「始祖と聖女の子孫となっているがそれは偽りだ。王家は必ず一子のみ。その上、伴侶はすぐわかる。同じ時に生まれた王家の血を継ぐ、伯爵位以上の魔法使いを輩出した事のない貴族だ。必ず一人だけ生まれる。」

「必ずなのですか?」

「ああ」

「そう言えば、いつも同じ年齢の王妃様でしたね」

「そうです。次は王配殿下ですけどね」

「へー、で?」

「王家は真の番を妃にすればこの呪いがとけると思っている。正確にいえば呪いを解くための実験台にするつもりだろう」

「は?!」

「番は魔法契約だ。契りを結ぶ事で私とああああああ」

「アメリア様がですね!吃るな!急いでいるんですよ!」

「わかっている!あ、アメリアが二つで一つの存在になる。」

「え?!」

「嫌な顔をしない!アメリア様!大切な事なんです!あいつらは腐っても王家。我々も一応王家を助けるという契約を結んでます。それは罪の一つで、王家を助けるという制約を精霊王に結ばされてます。だから言いようによっては王家の危機だから番候補を差し出せと言われれば差し出さなくてはならないのです。」

「そうなの?」

「候補と番は天と地ほど地位が違います。言ってしまえば今はこの人のお気に入りのパートナー程度の地位なんです。番になれば、最上位の魔法契約ですから差し出すどころか王家をぶっ潰しても許されます」

「え?!潰すの?」

「潰したいが、今は無理だ。」

「王家に嫁いだら最後です。絶対に人体実験されます!過去そういうことありましたから!!!国が今度こそ滅んでしまいます!」

「…」

「そんなことより!私アメリア様の人体実験なんて嫌です!」



いや情報が多い。けど必死なエリーに絆されそうといえば「もう絆されてー!」というので思わず頷いてしまった。

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