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「ペーターさんってどんな人です?」

「…一位様関係?」

「いえ。純粋な興味関心です」

「本当に?」

「本当に!だって気になるじゃないですか!」

「…エリーは素直ね」

「取り柄です!」

「そう言うところ好きよ」



そう言いながらエリーを見る。長くなるかもしれないから座って欲しいわね、という。庭でお茶しましょうかと誘うと二つ返事でうなづくものだからこの子、本当にメイドかしらと苦笑してしまう。

庭に出ると美しく整備されている。薔薇がメインのこの庭本当に綺麗でほっと息をついてしまう。不意に目の合う水ぶっかけの庭師さんたちは恐縮しつつも帽子をのけて一礼してくれる。あれから時々話すから今やちょっとした顔見知りだ。庭命らしい。昔夜色髪に近い濃い色の人に庭をめちゃくちゃにされたから反射的にやってしまったそうな。そういうのあるよねぇとしみじみいうとエリーが代わりに怒ってくれてたのでとりあえず止めたら、何故か懐かれた。それからは良いお付き合いである。





「寒くありませんか?」

「大丈夫。エリーは?」

「膝掛け持参です。これはアメリア様の!」

「用意いいわねぇ。ありがとう」

「で」

「話の枕を拒否したわね」

「そう言うの良いです!だって気になりますよ!うなされている時の寝言に必ず出てきますから」

「そうなの?だからかぁ」

「まぁ、はい」

「うざい」

「言い方!…素直に聞けば良いんですけど。一位様は今まで誰かに何かを聞くかそう言うのしたことありませんから」

「陛下と同等の地位ですものね。確か」

「下手すればそれ以上です。生まれた時に万物を知って生まれたって。誇張しすぎですけど、それくらい子供の時から賢かったそうですよ」

「はぁ。凡人には理解不能だわ」

「アメリア様の前ではただのヘタレですからね。ああ見えてもすごい魔法使いなんですよ。」

「エリーも?」

「バレてました?私も一応。擬きですけど」

「そう言うふうに言うものではないわ。魔法使いってすごい事でしょ?」

「アメリア様に嫌われる資格ならあれですけどね」

「…意外と好きね。私のこと」

「姉様思い出します」




そうと言って紅茶に口をつける。高位の屋敷は下位の魔法使いが使えると聞いたからそうかなと思っていたけど。やっぱりと思う反面下位の魔法使い、とくに銀髪をほんの少しだけ持つ彼らはぱっと見わかりにくい。密かに図書館勤務の例のやつもそうらしく、魔法庁はじめちょいちょいいますよとメイドらしがらぬメイドはお茶を飲みながら呑気に言う。




「髪に振り回されてます。私も」

「お互い大変ね」

「恩恵もありますけどね。食いっぱぐれはありませんから。…私は姉様の病気の薬を買うために魔法使いになりました」

「…そう」

「今は元気です!子供もいて幸せそうです」

「貴方は?」

「ん?」

「貴方は?如何なの?」





そう言うとキョトンとした顔のエリーがいる。何だこの間?と小首を傾げるとみるみる間に涙が溢れ始める。え?!壊れた?!と思いながらあたふたすると「初めて言われました」と濁声で言われるので驚く。




「そうなの?」

「そーですよ。普通ふーんとかで?で終わるんですよ」

「何それ?!」

「魔法使いってそう言うんです。かくゆう私も多分言います」

「えー…?」

「だって興味あるものしか気にならないんです。私は姉様でした」

「そっかー…」

「そんなつめたいはんのうしないでくだざい」

「だって。」

「私の番は姉様の伴侶でした」

「は?」




「姉様の伴侶が番だっだんです」とそれはそれは困った様にエリーは言う。言って、またポロポロと涙をこぼし始める。

曰く姉様の結婚式で気が付いたとの事。リタイアメントだったそうだ。男は一年だったらいつでもリタイアメントになれるのは知っていたけど、早々にリタイアメントになるのは珍しい。姉様がかかっていた病院で出会って、一年だけ待って欲しいとプロポーズしてから屋敷に行ったらしく、本当に約束通り一年で帰ってきたそうだ。そう微笑む二人を見た瞬間気がつくってとエリーは笑う。泣きながら笑う。

好きで愛しくて堪らないのにそれを言ってしまえばい全てが壊れてしまう。大好きな姉様と愛おしい番が一番良い笑顔で生きているのだ。それで良いと納得した頃にはせっせと給金を生まれてきた甥に貢ぐことに決めたと力強く言う。ポロポロ泣きながら笑って言うのだから思わず抱きしめてしまった。




「アメリア様?」

「エリー、あなたすごい子よ。私が知る誰よりもすごくて立派よ」

「…」

「それができた魔法使いがどれだけいるの?人を不幸にしてもそう言う環境を作っても、手に入れたいはずの番をよく手放したわ」

「う、ぐ」

「偉いわ本当よ。他になんて言えば良いの?で?って何?それでってよく言うわよ!うちの可愛いエリーはすごい子なのよ!」

「わ、たし」

「誰がなんて言っても!エリーはすごいのよ!」

「すご、く、すき、でした」

「うん」

「じぶ、んのもの、にしたかったけど、笑って」

「幸せでいて欲しかったんでしょ?」

「う、ん」

「偉いわ、エリー。この世界で誰が文句言っても私が知ってる!胸を、張りなさい」

「う、うぅうあ」





泣いているエリーをよしよしと背中を撫でてやる。ふと視線を感じるのでそちらを見ると一位様がいるので睨んでおく。何だこら!邪魔すんなよ!と口パクで言うと頷くから理解はしたらしい。そうだ、それで良いと頷いて私は心ゆく迄エリーを慰めるのだった。





この国で一番の魔法使い様が番に拗らせてるの、知りたい? 03 2/3





「私、」

「如何したの?」

「ペーターさんの話聞こうと思ってたのに」

「貴方が泣いてたわね」

「アメリア様のせいですぅー」

「まぁ、お茶飲みなさい」

「ありがとうございますぅー」

「ほら、顔拭いて。可愛い顔が台無しよ」

「もぅ!何処まででもついてきますー!」

「あはは。それは楽しそうね!」

「あー!もう!何でそう優しいんですか!」

「ふふふ」


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