運命論者
毎回夜中に書いてるから眠い
「お、おいいい加減泣きやめよ。こうなっちまったもんはしょうがないだろ。」
「だって…だってグス」
レランはもう三十分以上泣き続けている。よっぽど冒険者になりたくなかったのだろう。
「とりあえず冒険者カード貰いに行こうぜ。」
この世界では冒険者カードを貰い自分でスキルや職業を選択するらしい。
もしかしたら俺に凄い才能があるかもしれない…
そんな淡い期待を抱きながら、俺たちは受付にいきお姉さんから冒険者カードと白、水色のチョーカーと怪しげな本をもらった。
「なんです、これ?」
「この本はですね冒険者になることに対しての心構えや、規約などを記したものです。チョーカーは冒険者の証のようなものです。良かったらお付けください。」
「へぇありがとうございます。」
この三つを貰い席へと戻る。
「気を取り直して冒険者カード見ようぜ。」
「そ、そうねもしかしたら凄い能力かもしれないわ。」
ようやく泣き止んだようだ。自分の能力が数値化されているんだ興味のないやつはいないだろう。
「せーので見るぞ…」
「わかったわ」
「せーの」
ペラ
そこには自分の能力値、なれる職業など事細かに色々と書かれていた。
「えーとなになに魔力は平均以下ですが、なかなかの筋力、体力ととてつもない幸運を秘めています。だって!なかなか凄いんじゃないの!ねぇねぇマサトはどうだった?」
「……」
「どうしたのよ?もしかして物凄い能力値だったの!?見してみなさいよ!」
そう言い俺の冒険者カードを取り上げる。
「あぁ!やめろよ!」
「いいじゃないのよ!え〜と…ゲッ!」
書かれた数値を見てレランが絶句した。
「知力が少し高い以外は全て平均以下です。選べる職業は限られるでしょう。だって…プ…プ…プハハハハハハハハ酷すぎでしょいくらなんでも、なれる職業も魔法使いになれるほどの知力もないし、なれる職業は盗賊ぐらいじゃない、やばいお腹はち切れそう。」
腹を抱え大笑いをする。さっきまでこいつを良い奴と言っていた俺をぶん殴りたい。
「ちくしょー!なんだよこの能力ふざけんな!異世界転生だから、ちょっと期待しちゃったじゃねぇーか!恥ずかしい!」
「はー笑った笑ったこんなに笑ったの久しぶりよ。まぁでもレベル上がれば転職できるチャンスをあるから盗賊にしときなさいな。」
「はぁ…わかったよ。おまえはどうするんだ?」
「そうねぇ…騎士…格闘家なんかもいいけど、せっかくの幸運が台無しになっちゃうからモンスター仲間にする時幸運が必要となる猛獣使いになろうかしら。」
こいつはモンスターを操るヒロイン…かく言うおれはコソコソと陰湿に動き回る盗賊だ…格差が酷すぎるだろ…
「そういえばさっき受付の人からチョーカーを貰ったんだが…なんでも冒険者の証らしいからつけとけよ。」
「へぇ意外にいいセンスしてんじゃない。私白色がいいわ。」
「そこのお二人さんちょっと良いでしょうか。」
そんなたわいもない会話をしていると突然後ろから声をかけられた。
振り返ると、中学一年生ぐらいの可愛らしい女の子がたっていた。
「迷子かしら?」
「ち、ちがう!こう見えても十五歳ですよ!」
俺と一歳程しか変わらないとは思えないほど可愛らしく、かなり小さい女の子だ。
「どうしたんだい?」
そう言うと女の子は微笑を浮かべながら
「あなた方は運命を信じるでしょうか?運命とは私達の意思には関わらず、巡り巡ってくる幸福、不幸のことを言います。」
何言ってんだこいつ、俺とレランは苦し紛れの笑みを見せた。
そんなこともお構い無しに少女は話を続ける。
「三日前ほど前、我が唯一神カルバンからお告げを頂きました。近い未来汝と運命を共にする二人の男女の仲間ができるとその運命こそが汝の幸福であると…そしたらあなた達がいた。やはり運命というものには逆らうことが出来ないようですね…」
この子は頭が可愛そうな子なのだろうか?
そう思っているとレランがコソコソ話しかけてきた。
「この子カルバン教の信者よ追い返しましょう!」
「カルバン教?なんだそれ?」
そういえば元いた世界にそんな歴史上人物いたような…
「カルバン教てのはね運命論をうたっている変な宗教のことでね、とにかく変な人が多いって噂なのよ!」
ほう、過酷という噂の冒険者業だ仲間は慎重に選ばなければいけない。せっかくのお誘いだかお引き取り願おう。
「あーお誘いはありがたいのだが、初対面でいきなり仲間というのはきつくないか?君にはもっといい仲間が見つかるよ。」
さりげなく誘いを断る。
「いえいえ私は構いませんよ。というか私と仲間になることはもう運命によって決められているので帰ることはできません。」
こいつ話を聞かないタイプのやつだ…
「で、でもよお互いのこと何も知らないんだからさいきなり仲間にってのはな…」
「確かにそうですね。では自己紹介と行きましょうか。」
違うんだよな…そう思いながらも少女は言葉を続ける。
「私の名前はディスティニー・ミレロです。歳は十五、職業は格闘家で、攻撃には自信があります!」
「あぁ、俺の名前はマサトでこっちがレラン職業は俺が盗賊でこいつが猛獣使いだ。」
「よし、では仲間になってくれますか?」
「いやいやいや、早い早い名前と職業しか知ってねぇじゃねぇか!」
「もう…わがままですね」
「どっちがだ!…言っとくけど仲間になる気は無いからな、さぁ帰った帰った。」
「嫌です。運命ですから。」
運命運命てどんだけ好きなんだ。名前にもデスティニーてついてたし…
ここで無言だったレランが口を開いた。
「運命運命ってうるさいのよ!私達と仲間になるのは運命じゃないのよ!」
そう言うとミレロは俯いてしまった。
「おい言い過ぎだぞ…」
「だ、だって…」
「仲間になってくれないのですか?」
涙目で訴えてくる。クッ、男は女の子の涙に弱いのだ、しかもよく見るとめちゃくちゃ可愛いし…
「お願いします!何でもしますからァ…」
「採用」
ロリコンの俺には耐えることが出来ない。美少女が涙目で何でもしますと言ってるのだぞ…世の男子がこれに耐えられるわけが無い。
「ちょ、ちょっと話を勝手に進めないでよ。」
「いいだろ、こんなに困ってるんだしかも俺たちはのパーティーには攻撃役がいない。願ってもない話だろ?」
「それもそうだけど…なんかさっきと態度が全然違うじゃない。」
「うるちゃい!もうこれは決定事項だ!これからよろしくな!ミレロ」
半ば強引に話をまとめる。
「はい!よろしくお願いします!」
満面の笑みでこっちを見つめる。やっぱ可愛いなぁ
「しょうがないわね…」
レランも渋々承諾する。
こうして俺たちはこの少女の抱えた大問題を知らないまま一緒にパーティーを組んでしまうのだった…
名前がいい案思い浮かばなかった…ぴえん