冒険者登録
楽しんでいただければ幸いです。
レランに案内されながらゆっくり歩いていく。
俺は一つの違和感に気付いた。
「そういえばここは冒険者の休憩するところなんだよな。にしては一人も冒険者が見当たらないが。」
「単純に冒険者が少ないのよ。冒険者って激務わ報酬は安いわで、不人気の職業なのよ。」
ほう…意外だ…俺ぐらいの歳の奴らはこぞって勇者に憧れを抱くもとだと思ったが、どうやら違うらしい。
まぁ大変なのは覚悟の上だ。お父さん…お母さん…
俺この世界で立派に生きるよ…!
しばらく歩き続けていたら湖の前でレラン立ち止まる
「私の肩に手を置いて。」
何をするんだろう?と思っているとレランが湖に向かって手を伸ばした。
その時神々しい光がレランの腕を包み込んだ。
「な、なんだこれは!?」
俺が驚きの声を上げると、どんどん光が強くなり俺たち二人の全身まで包み込むほどになった。
「どうなってんだ!大丈夫かよ!?」
「うるさいわね!集中してるから黙ってて!!」
レランは目を瞑り息を整えながら言った。
「テレポート!」
目を開けると異世界ですよと言わんばかりの中世的な街並みをした景色が広がっていた。
「お…おお、エルフにリザードマン!ドワーフまで!しかも魔法も使えるなんて…」
そこにはレランと同じような他種族が大勢いた。それが俺をさらなる興奮えと誘う。
「異世界サイコー!!!!!!」
溢れる興奮の中で俺は叫んだ。
「あんたさっきからうるさいわよ!」
不機嫌そうに言うレラン。そんなことなどどうでもいいほど、今までの人生の中で一番ワクワクしている。
「レラン…早く冒険者ギルドに案内してくれよ!」
そう言った途端周りの空気が変わった。
ザワザワ
「今あの兄ちゃん、冒険者ギルドつったか?」
「確かに言ったわ…」
「あの変人の巣窟の…」
「うわぁ…こっちみてるよぉ…」
変な物を見るような目で俺とレランを通行人が見つめてくる。
え?なんで?めちゃくちゃ軽蔑した目出みてくるんですけど。やだ、超辛い。
「ちょっとあんまり目立たないでよ。私まで変な人みたいじゃない。」
「お、おいどういう事だよ。なんであんな目で見てくるんだよ。」
「ちょっと場所帰るわよ。……ほほほほ失礼します。」
俺はレランに路地裏へと引っ張られた。
「はぁ…いい!あれがこの世界の冒険者に対する態度よ。あんまり可哀想だから言わないであげたけど冒険者はほとんど戦いが大好きなイカれたクレイジー野郎達よ。一部では変人の巣窟と言われているわ…。」
「マジかよ…」
「ええ、マジよ。」
真剣な眼差しで見つめてくる。
「これで分かったでしょ。冒険者なんか志さず普通の職につきなさいな…私もちょっとは協力してあげるわ。」
確かに…あんなゴミみたいな見つめてくるぐらいだ。相当やばいのだろう…だが俺はやると決めたらやる男だ。
「いや、冒険者になる。俺も男の端くれ!一度決めたらやる!!」
「え、ちょ、ちょっと!変なところで意地はらないでやめときなって!」
「いーや、やる、やるったらやる。」
俺は昔から頑固なのだ。レランは諦めた顔で
「あーもー!めんどくさい性格してるわね、分かったわよ!ギルドまでは案内するけどあとは知らないかね!」
なんやかんやこの子は優しい。通行人とは違い普通に接してくれる。それだけでありがたい。
「恩に着るぜ!」
そう言いながら俺はレランの後をついて行った。
「ここよ」
十分ぐらい歩いてようやくギルドへと着いた。
外観はそこそこ綺麗でこれが民衆から変人の巣窟だと言われているとは到底思えない。
「へぇなかなか綺麗じゃないか。」
「まぁ一応国が管理しているからね。外は良くても中は最悪よ。多分…じゃあ私はこれで、あとは頑張ってちょうだい。」
「あぁほんと色々とありがとな!またどこかで」
と別れようとしたその時
パンパパパーン
クラッカーの音がした。
音がした方を見るとギルドの役員の人らしき人が立っていた。
「おめでとうございます!あなた様方は本日ギルドに来た五十三人目の方となります。どうぞこちらへ。」
きり悪っ!五十人、百人なら分かるが五十三人て…
「いや…私は彼を案内しただけなので大丈夫です。」
そう言って帰ろうとしたが
「いえいえお構いなくお嬢さんも一緒にどうぞ。」
帰ろうとするレランの腕をお姉さんがガッチリ掴んだ
「うわぁぁぁぁんはなしてぇぇぇぇ!!!!!」
泣き叫ぶレランもお構い無しに腕を引っ張り無理やりギルドの中へと入れられた。それに続いて俺も入る。
入ったギルドの中は内装は普通だがちょっとおかしい。
昼間なのにも関わらず祭りかと疑うぐらいに騒がしくその辺に寝っ転がっているやつもいれば、喧嘩をしているやつはたまたパンツ一丁の変態までいた。
レランと目を合わす。考えていることは同じのようだ
あ、ここまじでやばい所だ…
変な意地はってる場合じゃねぇここからにげなくてはいけない。
本能でそう悟った。
「すいません。道間違えました俺たちはこれで…」
レランを連れて戻ろうとしたがそう甘くはなかった。
「いいじゃないですか!別に何もしませんし良かったら何か食べてって下さいよ!」
女性とは思えぬ握力で俺の袖を掴む。
何もしないという言葉が世界一似合わない顔をしている。
その時レランが吹っ切れたように
「ちょっとあんた達!こういうのやめなさいよあんた達今私達を誘拐した犯罪者なんだからね!」
少し言い過ぎな気もするが法律と言えば相手も下手に出ることは出来ないだろう。
「すいませんでした…グス」
泣かれると良心が痛むがこの際仕方ない…
「行きましょ!」
と何事なかったかのように帰ろうとする。
「わ、私、そ、そんなつもりじゃなくて…ついついイケメンなお兄さんと美しいお姉さんがいたからつい…迷惑でしたよね…」
二人の足が同時に止まった。
「ま、まぁ別に迷惑ではないけど…レラン…せっかくだしなんか食ってくか?」
「そ、そうね仕方ないからマサトに付き合ってあげるわよ!」
満更でもなさそうにいう。
それを聞いたお姉さんは屈託のない笑みを浮かべ
「ありがとうございます!ではこちらにそれぞれのお名前をお願いします!」
紙とペンを渡された。
「はは、別におやすい御用ですよ!」
早々と名前を書き紙を渡す。
「えっと…レラン様とマサト様ですね…冒険者登録ありがとうございます!」
なんつったこのアマ?
冒険者登録?
「ああああああああああああああああああああああああだまされたぁぁぁぁぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
気が狂ったように叫び出すレラン
「お、おいどういうことだよ!」
「いえ、ただお二人が冒険者登録表にサインをしたので…」
説明しよう!
冒険者業は、必ず誰かがやらなければいけないのにも関わらず基本人員不足である。それによってギルド側は無理矢理でも入れさせようと近くに来た一般人に、詐欺を行い冒険者とするのだ!ちなみにこれは違反ではなく国も推奨しているのだ!
「ではこんな形になってしまいましたが役員一同末永くよろしくお願いします!」
キラキラとした笑顔でこちらを照らす
お父さん…お母さん…俺は早くもこの世界で生きていく希望が見えません…
見ていただきありがとうございます。