夜を待って。
夜を待って街を走れ!
得体の知れない喝采は振り切れ、振り切れ!
両手で掴めるだけの後悔の種を持って。
慰めてくれる涙の招待状は破り捨てて。
泥まみれの靴を知れ。
歩いてきた今日の残骸を踏み締めて。
燦然の裏側を待ち伏せて走れ!
持ち主が名乗りでない賞賛は追い越せ、追い越せ!
両足で支えられるだけの切望の骸を抱えて。
笑わせてくれる涙の絶縁状はポケットに入れて。
誰も知らない夜を待って走れ!
時間と戯れて、伸縮自在の体を楽しんで。
千切れていきそうな肌を感じて。
暴発しそうな呼吸を引き摺り廻して走れ!
見せかけの謝罪の言葉は望めないから、ここじゃない何処かへ。
夜を待て、夜を待って。
剥がせない記憶を振り切って、断絶のスピードで!
夜を待ちわびて、いっそ夜になって。
忍び足で渡り歩く白昼は振り切って。
時間と戯れて、自由自在の世界を楽しんで。