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本の世界の鍛冶士 柊シズクの物語  作者: 川崎タイチ
鍛冶士見習い シズク編
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第05話 協会とスフィアと鍛冶職人の加護

 昨日はフライパン製作までできたのだが……。


 ――「属性」を付与しないとフライパンとしての機能がしない事を知った。

 万物に必ず『属性が付与』している事をフィーナさんから教わった。

 昨日作ったフライパンにも少しだけだが、『火の属性』が付与されていた。

 しかし、ほぼ『無属性』に近い状態らしい。


 ……よって、『ガラクタ』だ。


 使い物になる商品を合成するには、『鍛治士』の加護を受ける必要がある。

 そして、付与したい『属性』のブローチを身につけて作成する。

 ――鍛治士の『技量』に応じた『属性』を付与できる。


 技量に関しては、本人の鍛錬である程度のレベルまでは到達できる。

 しかし、生まれ持った『才能』が大幅に影響される。


 ――鍛冶士の娘であるフィーナは『ほぼゼロ』だ。

 少しは属性が付くが、昨日シズクが合成したフライパン程度らしい。

 しかも、ブーストマシマシ最高条件でもとのことだ。


 加護とブーストアイテム無しで『属性付与』を少しだけでも付与できた。

――『シズクの才能』は相当高いとフィーナは語っていた。


 シズクとフィーナは鍛治士としてスタートする為に――。

 まずは協会で『鍛冶士の加護』を受けることになった。


 ――一人前の鍛治士になるために……!

 シズクは鍛冶士として成功する気は全くないが……。

 とりあえず、荒くれ者に廻される運命だけは避けるために!


「あのう職業って、ハンターとかアーチャー選んでも合成出来るのしょうか?」

「シーフとか選択すれば、Bボタン押せば二倍の速度で走れたりとか……?」


「シズクさん……意外と変わってますね」

「Bボタン?変わった洋服のボタンあるのですね?」

「ハンターはトレジャーハントスキルが覚えられますね」

「相性は良いですが……」


「素材はギルドから仕入れて創った方が儲けは大きいですよ?」

「正直、素材集めする間に合成したほうが良いですね!」

「でも、レア素材を求めて旅するならハンターとかオススメですかね?」

「……私の父のようになっちゃいますけど……」


 ――どうやらBダッシュはできないようだ!

 ファイナルなファンタジーのように上手く行かないようだ……!


「加護を選択すると、優位属性で相手に優位な立場に立つことができますね」

「戦士やナイトでもある程度の魔法が使えますが、やっぱり賢者には勝てません」

「逆に武器の扱いに関しては圧倒的に戦士には勝てません」


「加護って一度受けると後々変更とかできるのですか?」

「一度選んでしまうと一生変えられないとかは……」

 ――シズクは鍛治士として開花できなかった際に職に困る事を危惧していた。

「加護は複数受ける事はできますね」

「実際に私は、鍛治士・料理士・賢者の加護を受けてますよ!」

 ――心配いらないようだ……!

「ただ、特化した方が優位に立てますね」

「どうしても複数の加護を受けると特化している人を超えるのは難しいです」

「でも人によっては『魔法使い+戦士』で魔法剣士をされておられますよ!」


「ありがとうございます」

「大体ですけど参考になりました!」

 シズクは意外と柔軟にジョブを選択できることを確認した!

 ≪プロット帳:『すっぴんマイスター』を記載した!≫


 シズクは寝る前に読んだ『ファバーダ・ストーリー』と合わせて、大体だが鍛治士として優位に立つ方法を考えていた。

 属性の優位性とか色々と情報が乗っていた。


 シズクは壮大な世界に旅立ちを望まなかった。

 この街で過ごしながら、図書室へ帰還する方法を探すことを選んだ。


「まずは、鍛治士の加護を受けておきます」

「商人か学者の加護も受けたら良いかな……?」


「鍛治士として特化するなら、賢者ですかね?」

「賢者はどの属性に対して特化する事が難しいですが……」

「平均的に属性を使いこなせます」

「私も賢者の加護を受けてます……賢者がメインになっちゃってますが」

「鍛治職人として大成が難しくなっても生きていけますよ?」

「あとクエストで『ヒーラー』も出来るので冒険者としても重宝されますね!」


 ――鍛治士としては大成出来なかったフィーナだった。


 シズクは賢者の加護も考えておくことにした。

 ≪プロット帳:『18歳でも大賢者になれる』を記載した!≫


 協会に辿りつくとネコミミの……今回は美少女が出迎えてきた。

 彼女はこの教会の主人の……。


「アナさん、おはようございます!昨日お話したシズクさんをお連れしました」

「鍛冶屋をしばらくの間お任せすることになりました」

「協会で加護のお願いをと思いまして……」


「おはようございます、フィーナさん……」

「シズクさんですね?弟のミッキーとフィーナさんからお話はお聞きしてますよ?」

 あの筋骨隆々のミッキーの姉は、なかなの美少女だった。


 ――例えるなら街を襲ったモブキャラに食われるレベルだ!

 主人公に助けられ、ラッキースケベ要因以下ぐらいだ。


 仮に暴君共が街に攻め入られた時は、彼女が生贄だろう。

 数あるノベルで蹂躙されるキャラは……。

 『協会』や『ハンター』など街でよく目立つ『セリフ』があるキャラクターに多い。

 ≪プロット帳:『協会の美少女を生贄に!』を記載した!≫


 ――シズクは『あまり目立たず』『街の住人D』位をキープする目標とした。


 『鍛冶士D:イラッシャイ!イイブロンズソードニュウカシテルヨ!』


 ――シズクは脳内でセリフの練習をした!


「シズク=ヒイラギです、よろしくお願いします!」


「シズクさん、『協会』の中へどうぞ……」

「適正は……ありそうですね?」

 ――オークに蹂躙される≪予定≫キャラのアナに協会に迎え入れられた!


「適正に関しては問題ないと思われますよ?」

「昨日、フライパン合成されてましたが……」

「加護が無しでも火属性が付いてましたので」

「私なんて、鍛冶士の娘なのに全然ダメですからね……」

「加護無しで微弱ながら属性が乗るなんて考えられないですよ?」

 ――フィーナはシズクの才能を素直に喜んだ!


「あ、あのう……すごく基礎的な話なんですけど……」

「加護を受けるのに……『お金』必要ですか?お財布すら持っていないので……」

 ――シズクはミッキーから昨日お金を貰っていた

 ……『クエスト:工房営業開始!』の準備金:『200ゴールド』を出し渋った!!


「お金の事はご心配なく」

「最初の加護は無料で受けられますから」

「あと、スキル獲得の場合とかも、基本的にクエストを受けていただきます」

「簡単に言えば、試験ですね」


「あ!クエストは受けなくても良いですよ?」

「鍛冶士としての鍛錬はご自身の『腕と才能』が全てです」

「職人技が『クエスト完了でアップ!』なんてあれば……」

「フィーナさんは世界のトップ鍛冶士になれますよ!」


 ――アナは『努力』で成し遂げられない事を『フィーナ』を例えて説明した!

「職業スキルは……」

「本人の才能×素材のレベル×積み重ねた経験+スキル≪軽度≫位ですので」

「例え良い素材を集めても『才能0%』だとガラクタですね」

「積み重ねた経験も≪精度≫です」

「よって……」

 ……『才能1,000×素材10×経験1.1』

 ……『才能100×素材100×経験1.5』

「だと後者の装備のが良いのもが出来ますね」


「でも、フィーナさんの場合は……」

 ……『才能0.0001……経験0.3……』

「と、仮定すると、ほぼガラクタですね」


「昨日創られたフライパンは……」

 ……『才能≪不明≫×素材1×経験0?』

「で、本来でしたら『失敗!』となるところですが……」

「潜在力がバカほどある人は……意外と出来ちゃう物なんですよ」


 三人は歩きながら『加護』に関しての『基礎の基礎』を話した。

 シズクは『協会』の建物の中は、『西洋の教会』と酷似していることに気付く。

「協会って『宗教施設』とは違うのですか?」

「私はてっきり……『神様の加護』かと思っていました」


 ――アナはシズクの例えに驚く事なく判りやすく説明をする。

「やはり『西の国』の方ですね」

「『西洋では神を崇める』風習が根強い国ですよね?」

「私達は……あえて判りやすご説明する為に、『信仰心』としましょうか?」

「信仰の対象が『スフィア』であり『属性』なのですよ」


 ――シズクは『スフィア』は宝石か何かかと勘違いしていたようだ。


「そもそも、ミッキーさんも言ってましたが『スフィア』って……」


 ――シズクの質問に答えるために、アナは胸元からネックレスを取り出した。

「このネックレスに小さな宝石みたいな付いていますよね?」

「生命力の結晶体『スフィアです』これは『光のスフィア』です」

「『導きの光を求める者』に対して教えるための『証』ですね」


 ――アナの説明に付け加えるように、フィーナも説明を始めた。

「私達はスフィアと共に生きているの」

「だから『信仰』というより『共生』っと言った方が本来は近いですね」

「私も『色々な証』を持っています」


 ――フィーナは耳のピアスに手を添え『証』をシズクに見せた。

 ピアスにもとても小さな『スフィア』が付いてた」

「フィーナのスフィアは『水色』のようだ……!」

「シズクはピアスに付いている『スフィア』をじっくりと観察をしていると……」


「キレイな石ですね……なんか……星空見たい……」

 ……意識がもうろうとしてくる……!

「中に……世界が……あるみたい……」


 ――『バタン!』


 シズクはスフィアを見つめ続けているうちに……。

 ――まるで『精神を吸収』されたかのように……。

 ……その場に倒れ込んだ。


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