第36話 最深部・警備兵とのバトル!
門番であったかもしれない『ヒクイドリ』をアッサリと退治したシズクとエルチェは、火のレリクス最深部を目指した。火のレリクスではあるが、水路がありとても涼しいダンジョンだ。シズクが考える火のレリクス最深部とは全くイメージが異なっている。
奥に進むにつれてより涼しく快適な環境だった。
とても火のレリクス最深部とは思えない程涼しい。
このレリクスも『アルハンブラの浄水釜』同様に『主』が高年齢で弱体化しているのかとシズクは考えた。
最深部へ続く階段を降り廊下を進むにつれて石畳から掃除の行き届いた木製の廊下へと変化した。
廊下は地中深い場所にあるはずだが、天井は明るかった。
天井そのものが面で光っているようだ。
天井からの光はほんわかと暖かく、少しひんやりする。
……まるで回廊のような廊下だ。
廊下の正面にはやはり扉がある。
アルハンブラの浄水釜の時と同じ展開ではあるが……。
「……ねえ、エルチェ……」
シズクはドアのデザインを見て戸惑った。
「……何で……自動ドア?ナプコの自動ドアだよ!」
緑の枠に白い背景のお馴染みの自動ドアのステッカーが貼られている!
「だね……私も……というより、ここのレリクス最深部に来たのは40年ぶりくらいだから」
「以前来たときは手動ドアだったけど」
シズクの聞きたかったのはドアの種類ではない。
――どう見ても『未来のドア』だった。
しかも、シズク達のいる時代より遙か未来の形をしている。
ステッカーだと思っていた『ナプコマークのロゴ』がデジタルサイネージで出来ていた。
――デジタルサイネージには赤字で『///LOCK///』と表示されている。
シズクは試しにガラスのように見えるが流動的に流れる表示パネルに触れると……!
ガラスかと思われたドアは薄いフィルムのような感触で第一関節まで指が入った!
――『Welcome Black Smith Sizuku!』
――『\\\UNLOCK\\\』
ドアが開きシズク達は中に進むと全面クリスタルガラス製のような空間が広がっていた。
――床にはデジタルサイネージが表示されている。
丁度部屋の中心に誘導する矢印が部屋の中央向けて動的に表示されていた。
シズクは床のサイネージ通り部屋の中心に立った。
部屋の中心に立つとシズク達の周りに魔法陣の様な模様が現れた。
「エルチェ!まさか転移装置!?」
感の良いシズクは転送装置だと理解した。
「うーん……どこ飛ぶんだろう?」
「前回来た時はここに部屋があってオッサンがグダグダしていたんだけどね」
エルチェは以前にもこの場所に来たことがある。
だが、以前とは様子が全く違っているようだ。
シズク達が中央部に立っていると……。
――『鍛冶士 シズクお待ちしておりました』
――『これより私のいるセカイへ来ていただきます』
シズク達の足下に魔方陣が描かれていく!
「こ、これって!最上位転移魔方陣!?」
「こんな高度な転移魔法……まさか!」
「――!?」
シズクはエルチェの方へ振り向くとエルチェが先に転移された!
そしてシズクの目の前に一冊の本が現れた!
――分厚い本が勢いよくページがめくれていく!
――ラストページが開かれる!
そして、シズクは本を手に取る……。
――手に取った瞬間、本がパタン!と閉じた!
閉じた瞬間、転移魔法が発動した!
一瞬で異世界へと転移する。
ほんの一瞬の瞬き程の早さだった。
シズクの目に大量の光が入る。
先程までいた少し暗めの転移室とは比べものにならないくらい明るかった。
シズクは……まるで別世界へきた?
「……って!ここ、竈山神社じゃない!」
シズクの近所の……しかも自分のセカイへ戻ってきていた。
竈山神社の境内への入り口の正門の前に立っている。
「エルチェー!」
シズクはエルチェを呼ぶ。
ファバーダ同様にエルチェの気配は感じる……。
――だが、姿が見えない。
ただ、エルチェの装備していた『シルフィードソード』はシズクが持っている。
シズクは先ずは境内へ入ってみることにした……が!
境内への正門に薄いフィルムのような結界が張られていた。
火のレリクスの時のように触れてみると……!
「――警告!侵入者あり!」
「――正門を警戒します」
「――警備兵は侵入者を抹殺してください」
けたたましいアラームと共に、境内からオートマターが現れた!
「な、何!?あれ!何で竈山神社だよね!こんな警備システム初詣の時なかったよ!」
――シズクのスカートのポケットの中から気配を感じる……!
たしか水の加護のブローチを入れていたはずだ?
ポケットの中から取り出すと……!
「シズク!やっと気付いた!」
エルチェの声だ。
「エルチェ!どうなっているの!」
「……説明はあと!まずはブローチ装備して!」
エルチェの指示通りにシズクはブローチを胸元につけた。
『――システム起動!シズクアローナと認識しました!』
「シズク!ユニゾンするよ!」
「わかった!エルチェ!」
シズクとエルチェはユニゾンした!
「って!エルチェ何処にいたの!?」
「でも、すっごく近くにいたような感じしていたからユニゾン出来たけど……」
シズクはエルチェが居るような居ないような変な気分だった。
「単刀直入に言う、目の前の敵……アビスを速攻で倒す!」
「相手は、火の属性だからシズクと私なら攻撃は通る!」
「あと……これから使うスキルで驚かないでね……!」
――エルチェは呪文らしき言葉を超高速で唱えた!
「バトルサポート!『ライブラ!!』」
「バトルリズムシステム!『Ancient Ocean!!』」
シズクの耳に聞き覚えのあるハイテンションな曲が聞こえている!?
「こ、この曲って!D‘elfのAncient Ocean!?」
曲だけじゃない……!シズクの目には……!
「ま、まるで……!ラストファンタジーのゲーム!?」
――まるでVRゲームのようなセカイが広がる!
だが、VRゴーグルは装着してない!
「シズク!バトルサポートは私がする!」
「シズクは……ラストファンタジーのゲームやっている感じでよろしくね!」
――まさに、ゲーム脳のセカイへ飛び込んだようだ!
「がってん!エルチェ!まかせて!」
「よろしい!『本』脳の想像力を今こそ解き放って差し上げよう!」
ハチャメチャなセカイで『本脳』と『ゲーム脳』のバトルが始まる!
咆吼を上げるアビスロイド!
閉ざされていた門の結界にヒビが入った!
アビスが片の砲塔をシズクに向ける!
――ノンチャージで砲身が光る!
レーザーの閃光がシズクめがけて発射された。
シズクは紙一重で閃光をひらりと交わした!
「あああ!あぶな――」
閃光はシズク後方の木にあたり吹き飛んだ!
強烈な爆風でシズクはアビスロイドまで吹き飛ばされる!
シズクは爆風を利用して素早くアビスロイドの背中に回り込む!
剣の鞘を利用してクルッと転換した!
スピードを殺すとなく強烈な蹴りを両足でアビスロイドの背中を蹴り飛ばす!
――のけぞるアビスロイド!
さらにシズクは一気にたたみかける!
よろけたアビスロイドの懐に回り込みシルフィードソードの鞘でかち上げた!
――シズクは鞘からシルフィードソードを抜刀し精神を込める。
水と風の加護を纏うシルフィードソード!
――宙を舞うアビスロイド。
そして、シズクは抜刀した剣ではなく、鞘で目一杯の精神を込めはたき落した!
シズクは空中で『風の塊を作り』蹴り飛ばす!
地面に叩きつけたアビスロイドをソニックブームが追撃する!
――ソニックブームがアビスロイドを切り刻む!
シズクは軽やかに着地し、ソニックブームの効力が切れかかる瞬間!
「シルフィードダンス!!」
ソニックブームを剣で吸収してスキル・シルフィードダンス発動する!
音速の多段攻撃がアビスロイドを無慈悲なまでにバラバラに切り刻んだ!
――そしてシズクはドヤ顔を決め……。
「ツマラヌ者を切っ……」
――『ズドーン!!』
シズクの台詞に丸かぶりでアビスロイドは大爆発した!
「……空気が読めないわね……決め台詞に丸かぶりじゃない!」
その、シズクの様子を……。
「あははは!お見事だねぇ!鍛冶士のシズクさん」
シズクの決め台詞がグダグダになったのをあざ笑うかのように……。
爆発の煙幕の奥から怪しげな女性がシズクに近づいてきた。
「さてさて、余興で場の空気も暖まってきたようですし……」
「鍛冶士 シズク・アローナさん、バトルを始めましょうか!」
「私はここの主、『カグツチ』」
「私の下部をぶち殺してくれたお礼に……」
「貴方を蹂躙して、ぶち殺して差し上げましょう!」





