アローナ防衛戦 第06話 謎の少女
実質、帝国に対して宣戦布告したアローナだが、勝ち目があるかと問われると……。
「うーん……勝てないな……!」
っと、少しぼやいてみた。
『シズク姐さん、私もそう思うわ。相手は鍛冶士が不在の国とはいえ、大陸を治める帝国だ。敏腕とも言われる皇帝、メディシス。いくら姉さんがハイパー兵器を持っていようとも、目標や戦略もなく叩けるど弱小国ではない』
だろうね……脳筋の割にマトモな事を言うクリスさんだ。
脳筋戦士『ミッキー・バニラ・クリス』の三脳筋騎士で無双できるほど楽な相手ではない。ミッキーは大したことはないかもしれないが、暗黒騎士♂バニラ姉さんの実力は一人で小国ならぶっ潰す事はできるだろう。
ミッキーは大したことはないが、妻である内藤『いわゆるナイト=内藤』クリスさんも一人で帝国からの嫌がらせに対して無双したらしい。
両手剣でシックルムーンを使う迷惑系内藤である。
だた、言えることは、私と言うほど見た目が変わらないという美少女であるのにも関わらず、何故ミッキーという伴侶を選んだのか……!
微妙に不快だった。もっと良い漢はいないのか!
「ちょっとだけ話しそれるんですけど、クリスさんは何故にミッキーさんをパートナーに?」
やはり疑問は早めに解決した方がいい。
『ん?ミッキー?……私は別にミッキーの妻であるが、そういう関係ではないよ?』
……は?
夫婦ではないのか?
『あー……そっうだったか。シズク姐さんは、私とミッキーの本当の関係は知らなかったんだな』
『私はこう見えても小国の王の娘だったんだよ。よくある話なんだが、帝国にある中流貴族の肉便器になりかけたところを、ミッキーとバニラ姉さんに誘拐されてミッキの肉便器になったんだよ』
……!
ミッキ許すまじ!!!
『という建前がある関係で、ミッキの妻だって事になっているが、私は未だ無傷だ!』
……なんだと!?
やるなミッキー!とバニラ姉さん!
ミッキーは信用できないとずっと思っていたが1mm程見直した!
『奴にとっても都合がいいんだよ……私は。シズク姉さんには多分話しても問題ないだろうが、ミッキーとバニラが事実婚だからな』
……は?
……え!?
「……なるほど……三点リーダーが増える展開だね」
『触れないでおいたほうが良い……』
この話は無かったことにしよう。
ガチな方のBLだった事をあえて距離を置こう。
『こう言ってはなんだが、バニラ姉さんは私の初恋の相手だった。私を連れ出してくれた時はハイパーイケメンだったが……』
なんという悲惨なお姿に今や成り果てている。
トラウマレベルの仕上がりにクリスさんに同情します。
『私がミッキーの妻であるように振る舞うのも、結局のところミッキーとバニラ姉さんの関係に一役ありってことだ。あと、この喋り方も元の私を隠蔽しているってものある』
アンバランスであった事に納得した。
クリスさんが脳筋であることは変わらないが。
クリスさんの別の意味で触れなくても良いが、思いのほか斜め方向の展開に悪寒を感じながら色々と宿屋ラパンの食堂で駄弁っていると、テラス席から見える噴水広場の方が騒がしい。
よく見ると……!
「じ、自転車!!!!!!!」
何故!このセカイに自転車があるの!
目を疑いました。きっと疲れが出ているのではないかと。
当然、噴水広場には数人物珍しさで話しかけるアローナの住民がいた。
『ねーちゃん!また変わった乗り物乗ってるな!宿屋のラパンや鍛冶士様が乗る「ミアス」も大概変わってるが、そのサイドカーを突破らった乗り物か!』
っと、大衆の一人が訪ねている会話が遠巻きに耳に入る。
『ミアスという乗り物を私は存じ上げませんが……この乗り物は、魔法の自転車です。……ああ、このセカイでは「精神」でしたっけ?。どちらでも構いませんが』
……!?
え!?このセカイでは!?って言った?
異世界転移しているのは、私以外ではナキと花梨さんだけだ。
ただ、彼女たちは私達がいたセカイの住人で、日本人だが……。
クリスさんも同じような反応を示し……。
『え!?珍しい!!アイスシルバーの髪!!』
そう、中二病カラーだ!
珍しいと言っても、私もエルチェとユニゾンした時は白銀になるが、通常時でアイスシルバーの美しいロングヘアーはさすがにこのセカイでも見たことなかった。
『アイスシルバーの髪はさすがに美しい。珍しいわ。普通に女子が歩いていたら野盗に拐われるよ!金貨1万枚は出す変態は多いよ』
なるほど。はぐれメタル女子ということか!
それはレアモン狩らぬは据え膳食わぬは男の恥……!
ということにもなる。私は女ですが。
案の定、若干反社会的な荒くれ者にも目が入り、美少女に絡みつく。
『お?可愛いねーちゃんやな……困ってるならそこの裏路地をちょーっと奥に行った所に個室浴場があるんで、話きいてやんよ?』
……。
あのおっさん……確かニート神であるミカさんにも同じことを言って、ちょーっと股を広げたらお小遣いがもらえるとか言ってた奴だ!
『あらあら?私に殿方の相手をしろと?私に手を出して来て未だ無事に生き残れた人は居ませんわ?それでも良ければお相手して差し上げますよ?』
っと、脇に差していた剣を抜刀する。
『あと、私……殿方には興味ありません。このアローナにお尋ねしたのは、領主である鍛冶士さんと一度お話したいですの!』
アイスシルバーの髪の美少女は私に用事があるようだ!!