アローナ防衛戦 第05話 皇帝アリスティリア・ラム・メディシス
「爺や!な~ぜ!伝令が帰ってこない!!」
私は、元メディシス王国、現メディシス帝国になってしまったため、皇帝をさせていただいております。
私の不徳の致すところで、王国時代に旅をした結果で、大陸の結構な面積を制圧してしまいました。
旅の道中で先代の王の他界を早馬で知ったときから国へ戻り、メディシス王国を治める事になりました。
戻った途端、それはそれは、すけべーーーーーーーな周辺国の王共が、私の操を狙って、それはそれはもう周辺国が攻め込んでき来るわ来るわ……。
全て返り討ちにしてやりました。
私は、全知全能なのです。
――何故なら、私は『地球という星』から『転生した一人の女子高生』でした。
あまりの美しさに、前世では暴君に刺されコロッと逝ってしまいました。
自己紹介は程々に、私の外遊譚は別の章でご覧になる事もできるかもしれません。
その物語で…。
◇
いい国を見つけてコッソリ失踪する予定だからです。王様になんかなりたくないので。無責任ですか?。いえいえ王様にはなりませんが、始皇帝になるかもしれませんね。セカイ統一です。
――冗談ですよ。
◇
という、くだらない冗談を言った事が実現してしまいました。
(主に攻め込んできた連中を返り討ちにしただけですが)
先に宣言しておきます、私は『女性が性の対象』です。
百合です。男性は容赦なく射殺しますよ?
半径3m以内へ入れる人間はエリンギを切り落とした者だけです。
『港町アローナへ勅令を出した者が……勅令書を持った手首のみを残し閃光に焼かれたと報告ガ……!!!』
あらあらあら!使えない男でしたね。
帝国になった際に、穏便に済ませる為に周辺国のそこそこ力ある要人を、仕方なく雇い入れたのですが……。
あの、すけべーーーーーーー!!な大臣風のやーつ!は、お遣い1つできない無能さんでしたな。
「爺や!やはりあの『顔面セクハラ大臣、若いおなごは俺の肉便器だ!』って身なりをしたやーつは役に立たなかったわね」
「私としたことが……人選を謝りましたわ。ご遺族の家族には……」
【交渉相手にセクハラをした事で、交渉国の領主に殺された。なんてことしでかしたんだ!荷物まとめて帝国を去れ!】
「っと、言っておけ」
アローナの領主は、思った通りの仕事をしてくれた。感謝の意を送らないと。
アローナの領主とは一度お近づきになりたいと考えていて、勅令書を発行した。勅令書はこのセカイでは絶対的権威を持ち、従わない者は打首だ。
ちなみに送った勅令書の内容は……。
◇
ごきげんよう。
アローナの領主殿。
一度、お会いしてお茶会などを催したい。
帝国には鍛冶士でもある先代の領主製フランパンも、1万の軍勢に匹敵する活躍をし、69名の我が愛おしき部下たちを食で心を支える素晴らしい活躍している。
新しく鍛冶士となった貴殿の品を我にも分けて貰えるとこの上なく嬉しい。
共に、野営でもして朝まで語るのも良きことだろう。
会える日を楽しみにしている。
皇帝 アリスティリア・ラム・メディシス
◇
っと書いて送ったはずだが?
どうしてこうなった?
道中を共にした者の証言では。
『勅令書をお読みした後、返答もなくいきなり焼き払われた』
『あの魔女のような、悪魔じみた魔法具を使い我々を蹂躙しました……』
『兵士の一部では帰る道中、嘔吐・脱糞・精神崩壊が見られ休養を取らせております』
という、惨劇になってしまいました。
懸念材料として、勅令書は私の手書きの紙から、勅令書用の魔法具の巻物に書き写す必要がある。その際に……。
「爺や!、勅令書の複写した物はあるか?確認したい」
勅令書自体は、不正行為が出来ないようにロック機構があり、書いたもの以外が加筆したり出来ないようになっている。それは、私でも加筆出来ない程だ。
『はっ!アリス様こちらに……!』
ふむ……どれどれ?
◇
・フライパンを69日以内に10000個用意しろ
・※発行日◯☓△日
・備考:蓋も付けろ
◇
「原型とどめてないだろ!!!この勅令を書いたものを今すぐぶち殺せ!!」
「何で!?あの文章から10000個作れ?69日以内?蓋はいるのか!」
なるほど、こうやって事実は曲げられるのか……。
『パン!!!!がなければ……お菓子をナンタラ!』
とかあったが、あれはもしかしたら。
『パンがない!?では、急場しのぎに城にあるお菓子や持っていき、子どもたちや……』
かもしれない。
皇帝になるまでに、このような差異はよくあった。
さて……めんどくさくなってきたので、そろそろ逃げましょうか?
――逃走先は、『アローナ港』に行ってしまうのも物見遊山かもしれませんね?
もしかしたら、不在の間に良からぬ考えの連中が、『帝国乗っ取り』なんて画策してくれたら帝国のGブリを一掃するチャンスかも知れませんし。