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本の世界の鍛冶士 柊シズクの物語  作者: 川崎タイチ
帝国戦争・アローナ防衛戦線
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アローナ防衛戦 第02話 開戦準備

 まず、敵対することを決めた帝国は、ファバーダ最大の連合国であり、13カ国以上の連合国だ。アローナはそのうち2カ国と接しており、海を挟んで2カ国と隣接している。13カ国中4カ国と良くも悪くも隣接している貿易拠点としては申し分ない立地である。

 厄介なのは、その4カ国に接しているがアローナは帝国の属国ではないことだ。


 ここで疑問に感じるのは『アルハンブラ』だ。

 アルハンブラは『独立移動国家アルハンブラ』であり、『カーハー・ツヴァイ』も独立国家である。


 そして、アローナはどうなっているかといえば……。


『独立自治区アローナの立ち位置で戦争すると4カ国から本当に蜂の巣構造だぞ!』

 そんな事はフライパン1枚製造するより分かりやすいよアルバラート君。

 アローナは国ではないが、独立した自治を持つ独立した街だ。


 帝国とは仲良くしておかないと大変なことになる、言いなりに近いが、実は手を出せない存在でもある。アルハンブラとカーハー・ツヴァイなど、移動要塞や移動国家が『係留できる』事が可能なのが、アローナにしかセカイに存在していないからだ。

 帝国はアローナを手に入れたいが、ところがそうなるとアルハンブラとカーハー・ツヴァイが黙っていない。


 軍事力的には、帝国は物量で圧倒している。だが、アルハンブラは海を縦横無尽に動く移動要塞、カーハー・ツヴァイに至っては、超巨大国家が空を飛んでいる。


 要約するとアローナを帝国は欲している。


『先に言っておくが、アルハンブラは戦線に参加できんぞ?』

 ローズはアルハンブラは協力しないと宣言した……が、そのまま放置するわけにも行かないので、フライパンの製造を手伝いに頭首が来ている。厄介な状況だ。


 ローズ個人的には助ける事はやぶさかでない!

 ――大魔法使いはシズクの軍門に墜ちた!!に違いない!

 ローズが参加するなら、金魚のフンであるアルバラートもオマケに参加するだろう。


 カーハー・ツヴァイの協力を得られれば……楽勝なのだけど。


「アルハンブラが居るってことは、カーハー・ツヴァイは係留できないもんね……」

 2国は係留する港の関係で相まみえる事はまず無い。協力を得ようとすると必ずどちらかだけになる。


 時間的にみても、協力を得られるのはアルハンブラで決定だ!

 カーハー・ツヴァイに行くには、一度神になる前のセカイに行き、龍神>ごまさん>高野山ルートしかないが、異世界を経由して兵隊と軍備を借りるわけにも行かない。


 制空権はどうやら簡単に取れないようだ……!


「とにかく、アルハンブラが居る関係で海側2カ国から攻撃を受けることはないね」


『シズクさん、帝国と戦おうなんて……無謀すぎです!それが叶わないからアローナは発展しても搾取され衰退して……数百年の呪いみたいな事なんです』

『それで父は……旅立ったのですから……』


 ――フィーナの父が旅立ったとは、あの世という意味だったという事。


 前回の戦争で、フィーナの父は旅立った。街の住人には鍛冶で最強の武具を造る為に……という事になっていた。


 街の住人はうっすら気づいてはいたが、街に対してフィーナの献身的な態度から、鍛冶士不在の状態を長らく黙認していた。その為、私が鍛冶士としての裁量を持ち合わせていたので街に貢献できた。この世界で鍛冶士は神の力を持ちし特別な存在になった。


 私がアローナの鍛冶士となった事で、長年不在で搾取される側となっていた街の民が活気づくのも頷けた。

 さらにいうと、帝国には鍛冶士は存在していない。神の力を持つ鍛冶士がいる街を自国の領土としたい理由にもなる。


 では、何故鍛冶士がいないだけで帝国はカーハー・ツヴァイとアルハンブラとは一戦を交えないのか?という事だけど。


『ふーむ、まあ、私、ローズがいる限りアルハンブラの防衛網が破られることもまあない、武具の供給も安定する。同じように、カーハー・ツヴァイにも鍛冶士が存在する』

『だがなぁ……シズクよ、いくらお前さんが鍛冶士とはいえ、「移動できないアローナ」では不利だぞ?』


 そうなるのです。移動できないのがかなり不利になる。逆に言えば、帝国から見ると2国は移動している為、戦闘においてかなり厄介だった。

 空を飛ぶカーハー・ツヴァイは制空権を絶対取れない相手であり、陸からは攻撃が届かない。海上にあるアルハンブラに至っては陸からの攻撃は通じないし、制空権を取ろうにも動き回れるわ、兵糧攻めにしようにも海洋生物取り放題なうえに、農地ごと移動する。


 厄介極まりない。っとなると時々繋留する必要があるアローナを抑えておきたいのは定石だろう。国の長なら私もそうします。


 ならば、カーハー・ツヴァイとアルハンブラと同盟を結べば良いのでは?っと考えるのも不思議ではないが?


『ローズ様、アローナと同盟ってやっぱり難しいのです?』

 アルバラード君、ただの脳筋聖戦士ではないようだ?


『それは無理だね。そうなると困るのはアローナになる。国という在り方が変わるだろう!アローナは自治区であり他国の影響を受けないのだ』


 私が思うに、アルハンブラとカーハー・ツヴァイとなら同盟を結んでも上手くいくと思うわれるが……どうも具合が悪いみたい。


『水を称える神と風を味方にする神が仲良く出来なとの同じで、アローナを仲介に手を結ぶと土の勢力と火の一派……今や衰退した連中ではあるが、あまり良い印象は無いだろう』


 そう、忘れそうになるけど、火・水・土・風の4大元素?とも言えそうな4属性は、相まみえる事はない。なので、厄介だった。アローナは少なくとも、水と風とは仲良くやっている。火とは……そういえば、カチコミを2度にわたりキメたならず者がアローナにいた。


 私のことです。3回目は帝国とのいざこざが解決してからにしておきます。


 ――水の移動要塞アルハンブラはレリクスを内包している。

 ――カーハー・ツヴァイも内包している。


 共闘する必要がない。ただ、両者とも私に協力するのは……。


『まあ、なんだ……アルハンブラとしてもある意味、シズクに首根っこ掴まれているってのは変わらんが。多分、この先カーハー・ツヴァイも同じことが起きるだろう』


『ご主人!レリクスの再付与できない!』

『ご主人!ポンコツ……酒クズ野郎!』


『おい!カサ・ミラ!!てめーら!あんまりな言動繰り返すと!追い出すぞ!』


『おお!!困った!困った!シズクんちにお引越し!!』

『主、シズクに変更!変更!、きっと高待遇!!』


 なんと!カサ・ミラがうちの子に!!!


『あかんわ!!お前たちは私のドールだ!!』


『ようはだ、レリクスの再付与うちなおしが出来るのは現状、シズクだけなのは変わりない』

『不思議な事に、今、シズク以上の適任者はいない。……まあ、我々だけで出来なくもないが……大勢の犠牲がでる』


 ――レリクスの再付与うちなおしが出来るシズクはどうやら世界の安定を脅かす存在になりそうだ!!


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