表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビシティサバイバル  作者: ディア
第2章 - 関東脱出編
56/57

056. サバイバルゲーム (6)

 俺が奥の部屋から店の入り口を監視していると店の扉が開き、そこからあの四人組が店内に入ろうとする様子が見えた。

 やっぱりここまで来たか……俺達を追跡できる何らかの方法があるのだとすれば、ここにまで来る可能性もあるということは容易に予想できていた。


 だが、それが予想できたところでここから逃げ出すという考えにはならなかった。

 逃げたところでアイツらはまた追いかけてくるだけだろうし、阿依(あい)ちゃんを背負いながらの移動じゃ振り切れず、いずれは追いつかれてしまう。

 それなら無駄に逃げ続けるよりも、ここで迎え撃って追い払うべきだという結論に至った。あの四人だって身の危険を感じれば俺達を殺すのを諦めて引き下がってくれるだろう。


 ……だが、そう簡単に追い払える相手じゃないのもわかっている。

 なにしろ、向こうは四人もいる上に銃まで持っているのに対して、こっちは頭数の時点で負けているし、持っている物も斧にガソリン、あとは賞味期限切れの卵とろくな物が無い。それに、阿依(あい)ちゃんは戦うどころか自立すらできないままだ……。

 正直なところ、今からでもこの場から逃げ出したいくらいの酷い状況だが、追い払うと決めた以上、ここは俺だけでなんとかするしかない。


 ただ、阿依ちゃんを安全に隠れさせることができる方法を早々に思いついたのだけは不幸中の幸いだった。

 絶対にバレないと自信のある隠れ場所だったが、阿依ちゃんはそこに隠れるのを相当嫌がって抵抗し、そこをなんとか説得して隠れさせるのにかなり苦労したが、これで俺が死ぬことになっても阿依ちゃんだけは助かるはずだ。


 そうして最大の懸念事項を解消した後は、撃退するための準備として家の中をうろつき回っていた。

 まずこの建物の間取りを確認したが、2階建ての建物のうち、1階は飲食店のフロアに厨房、それに俺がいま居る部屋と台所や風呂場にトイレといった水回り、奥にある階段を上って2階にはベランダ付きの寝室と小さな部屋が2つほど、外には庭の端に小さな納屋があった。

 部屋はどこもきれいな状態で残っていて、家電製品や高そうな衣服が点在していた。どうやらここに住んでいた人間達はそれなりに良い生活をしていたようだ。

 だが、その家主達が生きてここに居ないのなら、ここにある物は俺がありがたく活用させてもらおう。そのお礼に、厨房に居たこの家の持ち主らしき遺体は簡単にでも供養してあげたいところだ。

 ……もっとも、それは俺が生き延びればの話だが。


 とにかく、間取りを把握したあとは何か使えるものがないかと各部屋を物色していた。

 あの四人がいつ来るかもわからない中じゃ手の込んだ罠を仕掛ける時間なんて無く、とにかく役立ちそうな物があれば何でも集めておこうと考えたが……流石に普通の家じゃショッピングセンターほど物が溢れているわけでもなかった。

 当然といえば当然だが、どこを見て回っても生活雑貨程度のものしか見当たらない。

 その生活雑貨から今の状況で役立つかを考えて集めるのに相当苦労し、それでもなんとか見つけた物としては厨房にあった鋭利な包丁に調理油、勝手口に立てかけられていた傘、寝室に置かれた姿鏡、あとは納屋で真新しいホースリールと錆の目立つ大きめのチェーンがあった。

 これらの使い道は思いついているが、実際に考えたとおりに使えるかどうかはわからない。良く言えば臨機応変、悪く言えばいきあたりばったりなのは相変わらずだ……。


 さて、あの四人が来たことを把握できたことだし、そろそろこの部屋から移動しておこう。アイツらにはまだ見つかってないという貴重なアドバンテージは有効に活用しなくちゃならない。


 どこまでやれるのかはわからないが、生き残るためにも出来る限りの抵抗をしてやろう。

 それも、向こうがこっちを殺す気できている以上、こっちも殺す覚悟で応じないとな……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ