第4話 徹夜の親友
久しぶりです。少し間が空いてしまいましたがようやく投稿です。
加筆修正を加えていたらかなり長くなってしまいました。
昔の俺はこんなにも適当に書いていたんですねってのがよく分かりました(笑)
これからもこんな感じで長くなってしまうとは思いますが、長すぎるようだったら2回に区切ろうかと思います。
ではでは、本編どうぞ
こっちの世界に戻ってきて二日目の朝がやってきた。
ああ、なんで朝というのはこんなにも素晴らしいぐらい清々しいのだろう。常日頃からこんな日常なら素晴らしいのに。とかなんとか考えていられるのも今のうちだけ。
「おはよう、徹」
「おはようミラ。…って、なんで裸なの!?俺のベッドに勝手に入ってくるな!!」
「だって…私たちは婚約者でしょ?普通だよ」
「普通じゃないから!!どーでもいいけど、早く服を着てくれ!!」
ほらな。なんで朝から俺の家は騒がしいんだろうか。また昨日みたいな悲劇が起こりそうなのは気のせいかな?気のせいでありたいとは思うんだけれど、そうはさせまいと言うようにラブコメの神様は俺に優しくないわけで。
今日も今日とて妹が俺を起こしに来るはず。
「お兄ちゃーん。早く起きないと…」
「あ…」
「…お邪魔しました」
「言い訳をさせてください!!」
まぁこんな感じで昨日とは少し違うけど、また妹に見られた…。妹に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
そういえば妹の紹介したっけ?してないよね、うん。妹の名前は神門 理沙。双子の妹だ。双子の妹ということは昨日言ったはず。いや、俺は誰に話してるんだ?
今日も学校があるので朝ご飯を食べるべく、ベッドから起き上がりリビングに行く。
「おはよう神門~」
「あぁ、おはようララ」
朝食を済ませて、制服を着る。学校の支度は昨日の夜のうちにしてあるので問題は無い。
ミラたちを置いて学校へ向かった妹を追いかける。何故追いかけるのかというと、今日の朝の出来事で妹が拗ねたから。
昔は一緒に寝てたりしていたけれど、俺らはもう高校生だからそんなことをするような歳ではない。だからこそなんで妹が拗ねているのかが分からない。
それでも俺に非があるんだというのはなんとなくわかってるので先に学校へ向かった妹を追いかけていた。
ミラとララのことなら大丈夫だろう。なんといっても、俺に教えずに勝手に転校してくるような奴らだ。勝手に来るだろ。
「おーい、待てよ」
「もう…お兄ちゃんなんて知らない」
「ゴメンって…」
家を出て5分。ようやく妹に追いつくと、やっぱり拗ねていた。
俺は何も悪くないはずなんだけど、こうなると機嫌が収まるのに時間がかかる。
とはいえ何もしないのは、それはそれでもっと拗ねるのでひたすら謝る。
「朝のことなら、俺は悪くないんだって。ミラが勝手に入ってきただけで…」
「分かってるけど…私だってお兄ちゃんと一緒に寝たいのに…」
「え?なんか言った?」
ボソッと妹が何かを呟いた。あまりにも小さかったため上手く聞き取ることが出来なかった。いや、俺は難聴系主人公じゃないんだけどね。
「何でもないよ!お兄ちゃんなんてミラさんと×××してればいいんだよ!」
「なんでそうなるんだよ!それと、女の子がそんなこと言うなよ!」
×のところは君らの想像に任せる。俺の口からは言えないので。いやだから、君らって誰のことだよ。
妹は早足で俺を置いて学校へ行ってしまった。多分これから毎日こうなるんだろうね。
よく聞く話だけど、男からすればあれってやってみたいとか思うやつは少なくないらしい。だが、あれっていざとなるとかなり恥ずかしいからね。
学校に着き、俺は教室に行き自分の席へ座る。
「はあ…。結局妹を怒らせちゃったな」
「どうしたの神門君?」
「ん…?あぁ…神無月か。まぁ、色々とあってな。朝から疲れが…」
「そうなんだ。あまり無理しちゃダメだよ?」
「あぁ。心配してくれてありがとう」
やっぱり神無月は優しい。ああ、神よ。なんで神無月は男なんですか。やっぱり世界ってのは残酷だ。
神無月は女子に見えなくはない容姿だ。女子の格好をさせたら男には見えないくらいには可愛い。けど、可愛いというと怒るので禁句になっている。
「神門~。置いていくなんて酷いよ」
「あぁ、ゴメン。妹に謝りたくて追いかけただけだから。明日からは一緒に行くから」
置いてくなんて酷いと言われても、妹が拗ねたので謝ろうとしただけなんだけどな。なんて言えるはずもなく心の中で留めておく。
「でも徹はやっぱり優しいよね。徹は悪くないのに」
「あ?そんなことねぇだろ。普通だよ、普通」
よく言われるけど、俺ってそんなに優しいだろうか。自分ではよく分からないから何とも言えないけど。
けど、確かに昔っから俺はこうだった。俺が悪いわけじゃないのにいつも謝ってしまう。やっぱり俺は悪くないとは思いつつ、相手を怒らせたりしたらたとえ自分が悪くなくても謝るべきだと俺は思っている。これも一種の礼儀だと思うし。
「気にするな。俺だってもう気にしてないから」
「ありがとう徹~!大好きだよ」
「だからって抱きつくなよ」
学校で抱きつくなよとはいつも言っているけれど、聞いてくれやしない。クラスの皆が見てるからやめてほしい。…後でクラスの男子に俺が殺されるから。
「とりあえず席に着け。ホームルーム始まるから」
「「はーい」」
丁度チャイムが鳴り、みんなが席に着く。教室に先生が入ってきて、教壇の前に立つとこう言い放った。
「えー、昨日転校生来たばかりだけど、今日も転校生を紹介します」
昨日に続いて今日も転校生?こうも立て続けに転校生が来るなんて不思議なこともあるもんだ。
そんな呑気なことを考えていられるのは今のうちだけだった。
「さぁ、入って」
「はーい。えーと、洟咲千里です。よろしくお願いします。」
洟咲千里?聞いたことある名前だ。俺の知り合いにも同姓同名のやつがいたな。
いや、もう分かってる。同姓同名のそっくりさんでしたなんて思ってもいないので、おそらくは俺の知っている洟咲千里で合っているはずだ。
「あー!やっほー徹夜!」
「お、おう。久しぶりだな。けど、皆が見てるから、頼むからこれ以上はやめてくれ」
こいつも相変わらずだ。向こうにいた時から何も変わってない。
千里はファンタジーの世界にいた時の相棒であり、一番の親友である。
てか、また昨日と同じ目で見られてるんだけど。まあ、そうなるよね。後で殺されるのかー、嫌だなー。
そして時間は進み、四時間目の終了のチャイムが鳴り昼休みになる。
俺はクラスの男子からなんとか逃げ延びて、千里を呼び出した。
「あのさ、みんなの前であんなに軽々しく呼ぶんじゃねーよ。後で俺が酷い目にあうんだからさ…」
「いやー、ゴメンゴメン。いつもの癖でさ」
てへぺろっと言うんじゃないかって位の笑顔だ。
そして、また増えた。誰が?って言うと、向こうの世界にいた時のやつが。俺はこの先どうなってしまうんだろうか。
俺が千里と久しぶりの再開を果たし、少し話し込んでいるとミラとララが隣に来ていた。
「徹、この子知り合い?」
「ん?あぁ。俺の親友だ。向こうの時のな」
そういえばミラは知らないよな。というか、知ってたらビックリなんだけどな。ミラはこっちに来てから知り合ったわけで、向こうにいた時の俺の人間関係は知らないはずだから。
「久しぶりー千里ー!」
「あれ?ララちゃんじゃん。お久しぶりだね。元気だった?」
「もちろんだよ!」
ララは俺らと一緒に旅をしてた、というか王女様だから知ってて当たり前だった。
そして後何人増えるんだろう。ただでさえ今でも大変だというのにこれ以上は増えて欲しくないと願う俺だった。
「まぁ、これからよろしくね、徹夜」
そんなこんなで、また俺の日常に向こうのときの面子が増えた。これ以上は増えないで欲しいと願いつつも、こんな日常も悪くないと思っている俺がいた。
こうして俺の日常はさらに賑やかになっていった。