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騎士の人質

 小さな針、それを手錠の鍵穴に差し込み格闘するステア……すでに1時間ほど経っている


「ね、ねえ、もういいから……そんなムキにならなくても……」


ステアは自分が言った手前、退く事も出来ずに手錠と格闘する。


「いや、もう少し……お、これか……お、いける……」


カチ……と小さな音がし、手錠が外れる。


「よし、分かった。待ってろ、今外してやるからな……」


ステアはラスティナの手錠を同じ要領で外す。


「え? 凄い、流石……」


ラスティナは感想を漏らしながら、太陽と同調する。そして指先に太陽の炎を顕現させると、クラリスの手錠を焼き切る。


「あっつ! うわ……君は凄いな……」


クラリスが手首を抑えながらプラプラさせる、その時


コンコン


と、ノックされる、3人は不味い……と思いつつ


「ラスティナ……それ、ベットの柵……棒にしてくれ……」


ステアに言われたとおり、ラスティナはベットの柵を焼き切る。鉄制の柵は十分な武器になった。


ステアはドアの死角に回り込み、構える。


ラスティナとクラリスは寝たフリをしつつ……


「失礼します……」


一人、入ってきた聖女の後頭部目掛けてステアは殴りかかる……が



キン! と金属音がする。


ステアは目を疑った。聖女がフォークで鉄の棒を受けていた。


「おい、危ないな……流石といいたいが……少し冷静になれ」


聖女の格好をした女……


「お、お前……イリーナ……」


「静かにしろ……」


イリーナはドアを閉め、聖女の服を脱ぎ捨て、中から武器を取り出す。短刀や細身の長剣を。


「お、おい、どうなってるんだよ、説明してくれよ……」


小声でステアはイリーナへ聞くが……


「詳しい説明は後だ、ここの監視はさっき殺した。異常に気が付いた騎士が来るぞ」


ラスティナは大体の事情を飲みこみ、クラリスの手を引き……


「イリーナ様、どうすれば……」


「窓から飛び降りる。その子が魂の専門家か? 随分若いな」


イリーナは短刀をステアに渡し、長剣を腰に刺すとクラリスを抱え……


「ステア、ラスティナを抱えろ。先に飛び降りろ」


「いやいやいや、ここ何階だよ……絶対死ぬって……」


窓から見える王宮から、かなり高いと推測するステア。


「大丈夫だ、いいから行け」


その時、部屋に近づいてくる足音がする。金属がこすれ、当たる音と共に


「騎士が来たな……私を信じて飛べ」


「ああ、もぅ……!」


ステアはラスティナを肩に担ぎ、窓に足を掛ける。下を見下ろすと血の気が引く……あまりの高さに


「ああ、神様……」


震える足でステアは飛ぶ、ラスティナは口を塞いで泣きながら……


その時、ドアが勢いよく開き放たれる。そこに居た騎士はグリスだった。


「貴様ら! なにを……ん?! イリーナ!」


イリーナは恩人を尻目に、クラリスを抱えて窓から飛び降りる。


グリスは窓へ追いかけるが、飛龍が4人を受け止め飛び去って行った。


「なっ……くそ!」


グリスは歯ぎしりする。


「隊長! 追いかけましょう!」


「無駄だ……」


グリスは勢いよく窓を閉め、自分が育てた騎士を思う


(イリーナ……お前は……それでいいのか……?)








王宮に捕まっているシェルスは、聖女に早まったマネはするなとは伝えられたが……


(どうにかして……ここから出て……でもどうすれば……)


その時、ガシャガシャと金属音と共に足音が聞こえる。


「おまちください! グリス様!」


聖女の声が聞こえ、来訪者がグリスだと知らされるが……シェルスは思わず立ち上がりドアを見つめる


ノック無しに開け放たれ、グリスと部下数人、それを止めるように聖女が中に入ってきた。


聖女がシェルスの前で手を広げ庇うように立つ。だがグリスは聖女の顔を殴りつけ、無理やりに排除する


「なっ、何をするんですか! グリス隊長……何事ですか?!」


シェルスは倒れた聖女を庇うように覆いかぶさるが……グリスに腕を掴まれ無理やりに立たせられる。


「今、イリーナがラスティナ達3名を連れ去りました」


グリスが剣を抜く。


「人質の命は無いという警告も……無視されましたな」


剣を見た聖女はグリスの足を掴み


「お、お止めください! グリス様! 姫様を殺すなどと……」


聖女はグリスの部下に捕まれ、羽交い絞めにされる


「私を殺すつもりですか、それならそれで結構です」


シェルスは強気で言い放つ、グリスはシェルスの首筋に剣を当て……


「貴方では無い、チェーザレ様を殺す」


シェルスは目を見開き、義理の弟を思い


「なっ、チェーザレに手を出さないで! あの子はまだ11歳……」


怒鳴るシェルスの首筋に剣を当てるグリス。そして淡々と語る


「今一度、警告しますぞ、シェルス様。貴方まで逃げようものなら……私は容赦なくチェーザレ様を殺します。正当な王家の血など無くても良いのです。貴方さえいれば……」


それだけ言うと、グリスは剣を仕舞いシェルスを軽く付いてベットに座らせる


「お分かりですな。2度目はありませんぞ」


それだけ言い、グリスは去っていく。解放された聖女は床に崩れ……


「シェルス様……申し訳……ありません……」


泣きながら謝る聖女を立たせ……シェルスは呟いた。


「教えて……あの手記にあった希望っていうのは……イリーナの事?」


聖女は頷く、そして言った


「暗唱の……宝石が持ち去られました……恐らく……イリーナ様に……」


シェルスは窓の外を見る。イリーナは何かしようとしていると。







飛龍で飛ぶこと数時間……小さな農村に着き、降り立つ4人。


「あれ、ここって……」


「おおー、ばあやの村だ」


クラリスが嬉しそうにフラフラと農村へ入る。目が見えていないクラリスは匂いを頼りに歩くが……


「ぁ、クラリス様……危ないですよ……」


ラスティナがクラリスを腕を組み歩きながら、ジャムを送った老婆の所に向かった。


「なあ、なんでここなんだ?」


宿屋まで歩きながら、イリーナに質問するステア。イリーナも歩きながら……


「別に理由は無い……ほとんどの騎士は捕まったからな……今この村に居るのはガリス隊数名と……」


「戻ったか! 醜き騎士……イリーナ・アルベインよ……」


クラウスが一人ポツン……と、宿屋の前で言い放つ


「コイツだ」


ボソっといいながらイリーナはクラウスに「ジャマだ」と言いつつクラリスとラスティナを通させ……


「おい! 貴様……折角私が助けてやったというのに……」


「分かった……礼なら体でもなんでもいいから……」


「ふざけるな! 貴様の体なんぞいらんわ! もっと誠意をもって私に……」




そんな二人のやり取りを無視してステアも宿屋に入る……


クラリスが老婆に抱き付いていた……


「ばあや……ばあや~、甘いジャム欲しい~」


老婆は嬉しそうにクラリスを撫でまわしている。ラスティナはニコニコしながらその光景を見つつ……


「おい……これからどうするんだ……なんか変なのしか居ないぞ……」



「誰が変なのだ、盗賊娘」


ステアはいきなり上から物を言われ、顔をあげる。そこには大剣を背負った騎士が立っていた。


「あ、あんた……あの時の……」


「モールスだ、久しぶりだな」


クシャクシャと頭を撫でまわされるステア……モールスはそのままイリーナを迎えに行く。


何やらクラウス隊長と今だに口喧嘩しているイリーナ。


(結構仲よさげだよな……)


クラリスは、老婆が持ってきたジャムを舐めている。ラスティナも一口舐めて……


「あ、美味し~ 凄い甘い……こういうジャムだったんだ……ほら、ステアも一口貰ったら?」


甘いものは苦手……と言うステアに、ラスティナは無理やり指に付けたジャムを口に突っ込んでくる。


「ん?!   ん……」




(あ、ま……すぎ……)




ステアは当分ジャムを見るのも嫌になるほどだった

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