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プロローグ 出会い

「なんでこうなっちゃたの?」とごく普通の中学生、『沢城優姫(さわしろゆうき)』は自宅にあるごく普通の部屋で目の前にいるどう見ても普通じゃない少女を見て考える。


彼女に出会った経緯を話すと……この日は休日、しかも両親は家にいないときた。父親は仕事の出張で海外にいるが、母親は普段家にいて彼はそんな母親の手伝いをしなくてはいけなくあまり自由の時間がないのだ。優姫は家で快適な1日を過ごそうと思ったのだがその矢先、家の冷蔵庫に飲み物以外なにも入っていない、インスタント食品もないという危機に陥った。ではどうするか? 当然、彼は食料を求めて家の外に出ようと玄関に向かった。


すると玄関に彼女がいたのである。それも食料飢饉か、と思わせるほどの量の食料を持って。だが、優姫は彼女の持っている物もだが、彼女に多くの疑問を持った。


まず漫画でよく見る白を基調とした魔法使いの様な格好、日本人が見ればコスプレと思ってしまうだろう。

次に何故、自分の家を知ってる? 彼の家はマンション、それも12階あって……いやまず何でこのマンションに住んでることが分かった? 自宅の場所をピンポイントで当てられた恐怖が優姫を襲う。

何より、優姫はこの少女を見て思ったことは『懐かしい』。出会ったのが初めてのはずなのにこれはおかしい。


彼が困惑していることに気づき、少女は一言。

「お腹空いてますよね?」

空いてはいるが、もはやそんなことはどうでもいい。この状況で「あ、わざわざありがとうございます」とはならない。むしろ「出て行け、この野郎」となるのが普通だ。だが、幸い優姫は心優しいこの少年だった(決してビビっているわけではない)。


「どうも……えっと、何で僕がお腹空いてると?」

コミュニケーションを試みた。

「いやそんな気がして」

「そんな「勘で」みたいなこと言われても困るんだけど!?」

彼女の予想を裏切る言動のせいで、ついに本来のキャラが現れてしまう優姫である(決しておどおどしてるわけではない)。

「あ、自己紹介がまだでしたね」

「いる!? 急に現れて、食料渡して帰る段階で自己紹介いる!?」

と、予測不能の言動を繰り返す彼女は行儀は良いのか(人の家に勝手に乗り込んでる時点でどうかと思うが)わざわざ帽子を取ってお辞儀をする。

「初めまして、『沢城夕実(さわしろゆみ)』です」

「同性だった!」

「それじゃ、ご飯をお作りいたしますね♫」

「お邪魔する気か!」

「はい♫」

「する気だった!!」




そして優姫と夕実は何故かこうして食事を共にしてる。当然、理解不能なこの状況で落ち着いて飯なんて食えたもんじゃない。大好物のパスタだからいいが……というか結構美味いのだ。俺が今の状況に混乱しながらも、満足そうにパスタを口に運ぶその姿を彼女は笑顔で見つめていた。


「で、何でわざわざ俺に食事を?」

優姫は最後の一口を飲み込んでから当然の疑問をぶつけた。ここまでしてくれたのには訳があるはず、と。すると彼女は顔を上げて優姫をジッと見つめた。女性経験が無い彼は不意にもドキッとしてしまう。


「優姫さん、あなたは選ばれました」

と、急に漫画である様な急展開が訪れた。よくある話だ、謎の少女が現れて主人公にこの様な話をして主人公を冒険の世界へと導いていく……って、え!?

「何に?」

「何にですか……あちらの世界に」

「『あっち』ってどっち!? ちょっと説明してもらっていい!? 一から!」


数分後


・優姫は《あちらの世界》に選ばれた人間


・優姫の前世はあちらの世界で生きていた人間


・あちらの世界では《魔法》という高等技術が存在する


・あちらの世界からこちらの世界に転生した人間は前世と同じ《魔法》という能力を得る


・こちらの世界に転生した人間は……


「ストーップ!! 質問!」


優姫は無理やり夕実の解説講座を中断させた。

「俺って普通の学生だよね?」

一から説明を受けた上でその様な疑問を夕実にぶつけてみた。

「こちらの世界ではその様な職業があるのですか?」

彼の素朴な疑問に彼女はトンチンカンなことを言い始めた。が、もう彼は驚かなかった。何故ならこの話を聞いた上である可能性が頭に浮かんでたからだ。


「君ってもしかして、《あちらの世界》から来たの?」

「はい」

「じゃあ、君も魔法を!?」

優姫は信じられない出来事より夕実が魔法を使えるということに興味が湧いてきた。


「まぁ、私の魔法はちょっと特別なんですけど……予知能力と封印系統の魔法とあちらの世界とこちらの世界とを繋げる門を作る魔法を持ってます」

と、サラッと言ってくれるがどうにも信じがたい。だが、試してくれというわけにもいかない。もし本物の魔法が使えるのに「試しに俺を封印してみてください」なんて言ったが最後、優姫は封印されてしまうし、家に門を作られても困る。

(と、なれば……いや待てよ)


「もしかして、俺が腹減るっていうのは予知で?」

「えぇ、まぁ。それと……あなたのお母さんからもう少ししたら電話が……」

『ピリリリリリ』

優姫の携帯電話が鳴り、ディスプレイには『母さん』と表示されてる。

(凄え! 本物だ!)

「じゃあ、俺の魔法は!?」

電話に出ることも忘れ、優姫が幼稚園児の様な無垢な笑顔を浮かべながら夕実に訊ねると、夕実は困った顔を浮かべる。

「いえ……あなたの魔法は他の人たちと違うので説明できないんです、すみません」

(他の人たちと違う?)

「前世を少し覗いてみますか?」

そう言うと、夕実は優姫の額に手を当てた。

「え?」



✳︎

「この世界には足りないものがある。それは世界という、ここに存在する全ての人間を支配する王だ」


眉間にシワを寄せながらも、その男はその場にいる全員が何故か安心できる、そんな優しい声で続ける。


「この世から争いの全てを無くすためには、世界全てを管理する王が必要だ。その為に俺は戦い続けないといけない」


男は拳を突き上げ、この時代に存在していた《魔法》で己の拳に金色の焔を灯した。


「俺のためではなく、この世界のために俺に力を貸してくれ!」


彼の頼みに観衆も拳を突き上げ、大きく叫んだ。その様子を1人の女性が見つめて……




✳︎

「ちょっと待て! ……俺?」

王だのなんだの、訳のわからないことを言っていた青年は年は違えど、彼の顔と瓜二つだったのだ。

「正確にはあちらの世界に存在した以前のあなたですね」

「そんで俺の横にいたあの女の人は!?」

すると夕実は顔を赤らめてしまう。かと思えば涙を今度は浮かべた。そしてその場を立ち上がり、優姫に一礼する。


「お久しぶりです、アランさん。あちらの世界では『ユミ』という名であなたの生活を支えさせていただきました」

優姫はただポカンと夕実を眺める。アランとは多分自分の前世の名だろう。生活を支えるというのは生活を共にした。ということは……

「ナニィィィィイ!?」


「混乱してるようですが、最後の説明を」

と、夕実は落ち着いた様子で話す。思えば、彼は彼女の説明を中断させていた。魔法の説明か、と落ち着かぬまま説明を聞こうと身構えると……


「前世でも言っていましたように、優姫さんには前世での『アラン』の意志を継いで、この世界の王になるために戦ってもらいます」


「…………え?」


「あなたは魔法が使えた者《王の候補者》の中でも最も人々に慕われていた候補者、『アバーテ・アラン』。本日よりこちらの世界で戦いを続けてもらいます」


「あの……この話、無かったことには?」


「なりません」



・こちらの世界に転生した人間はあちらの世界と同様、こちらの世界でも《世界の王》になるべく《聖戦》という戦いを続けなくてはならない

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