プロローグ
初めまして。初めて投稿してみたので、稚拙な文でごめんなさい。ぼんやりとでてきた物語をなんとか字にしてみました。読んでくださったかたが、少しでも楽しめたらと思っています。まだ、プロローグなのでなんだかわからない感じですが、がんばって続けたいと思います。
「ナギ様、今度のハタケはここですか?」
足元に纏わり付く銀色の猫が見上げて目の前にある大きな鉄門を指しながら言うと、横で呼ばれた男は軽くうなずいた。鉄門の横には、由緒ある進学校らしく重厚感ただよう銅板に「城財大学付属高校」と書かれている。
「たしかに、空気が素晴らしく黒いですな。これなら大量の邪液が収穫できそうです。しかし、ナギ様も変わった御方ですな。これでしたら、わざわざ精製しなくても良質の邪液が収穫できるでは?」
「ギィトは解ってないな。精製するからこそ私の邪液が他の邪液と比べものにならないくらい美しく美味なるものになるのだろう。だから私の邪液はいつでも魔界最高級だと自負している。先日なぞ魔神がみずから購入にきたほどだ。」
男は自分の言葉に陶酔するように語りながらギィトを抱き上げ喉をなで上げた。猫は薄めに目をあけ、
「その魔神を門前払いした人はどドチラでした?」
と、言うと爪を立てる。
「仕方ないだろう、あのときはまだ、上質な邪液ができてなかったのだから。ここで首尾良く精製できたら考えるよ」
ナギと呼ばれたその男は猫を門の外におろすと、にっこり笑い門の中へ入っていった。
「ああやだ、本当に楽しそうにするあの不敵な笑みが。まあ、ワタクシには関係ないことですが。」
猫は呟くと体をくるっと反転させる。すると背中から黒い羽が生えあっという間に鴉へと変貌した。
では、ワタクシめは、人間でいうところのタカミノケンブツさせていただきましょう。
鴉は羽を大きく羽ばたかせると、まるで高級マンションのような校舎へと飛び立っていった。
やっぱりイジメって本当にあるんだなあ。
目の前で繰り広げられている、あからさまなイジメに私は教室の端からその光景を眺めていた。
私の地元はここから電車に乗って1時間もかかる田舎で、中学までの同級生はほとんど幼稚園からの顔なじみ。だからイジメなんてものは皆無だった。クラスの人数も少なかったから、みんなまるで兄弟のように仲がよくて、テレビで学園物のドラマを家族でみると、親に
「あんた学校でイジメに遭ってない?もしくは、誰かイジメられてたりしない?」
って言われても
「そんなのあるわけないじゃん、ドラマだけだよ。」
って笑い飛ばしてた。
そんな私が制服が可愛いという理由で無理矢理親に頼んで入った高校は、都会にある進学校だった。田舎者の私にとって、その学校はオシャレで華やかに見えたのだ。この学校に入ってスタイリッシュに生まれ変わるんだって、制服に袖を通したときはそう思っていた。でも夢や希望やキラキラした気持ちを打ち砕かれるまでに半年はかからなかった。
「あんたまじ、ムカつく。こんな奴と1年間同じクラスとか超迷惑」
中川恭子が足で椅子の脚を小突く。彼女の標的になっているのは小柄な男子だ。お世辞にも美形とは言えない容姿に猫背がさらにいじめられっ子オーラを放っている。しかも、
「ご・・・ごめんなさい。ぼ・・僕、このクラスになって。だから中川さんが違うクラスに行ってください。すみません」
「おめえ!何様のつもりだよ!」
ガチンと激しく机の脚を蹴り上げる音が教室に響き渡る。
これだ。このいじめられっ子君は、空気が読めないときてる。いじめられる原因になったのも、彼の空気の読めない発言が始まりだった。それは、入学当初、中川さんが冗談半分にいじめられっ子君に言った一言だった。
「あんたガリガリだねえ、親にメシ食わせてもらってないとか?」
「ぼ・・ぼく、食べても中川さんみたいに、太れないんだ。中川さんが羨ましい」
これには、中川さんじゃなくても、クラス中の女性達がイラっとしたに違いない。まったく本人には悪気がないらしいのは見ていてわかるが、標的になるにはそれだけで充分だったようだ。
そんな彼なので、いじめられていれも、周り生徒達も、『自業自得』感がでていて、誰もが素知らぬふりをしていた。
いじめられる側にも原因があるってか?馬鹿馬鹿しい。
そうは思っても、3年間この学校で過ごして行かなければならないと思うと、私も彼等と同じように視界から外す選択しかできなかった。私はいつの間にか中川さんの横で愛想笑いを振りまく取り巻きの一人になっていた。それが自分を守る唯一の手段だと思っていたから。
「ねー、遥も言った方がいいよ。こいつ馬鹿だから全然わかってないみたいだしぃ」
中川さんは、私の方をトントンと叩くとお前も参戦しろとばかりに目線と顎をくいっといじめられっ子君に向けた。
「あー、うん、そうだね・・・。・・・・。」
この役目は取り巻き達の順番に回ってくる。いつも私の所には回って気ませんようにと願いながらちょっと離れた所から見てるのに、その日は何故か中川さんの気まぐれで捕まってしまった。
「こいつさー馬鹿だから、ノートとかいらないじゃね?遥、これゴミ箱に捨ててきて」
そう言うと、いじめられっ子君の机から乱暴に教科書やノートを引き出すと、ほらっ、と私の手に強引に渡された。
「ええと・・・」
困惑しながら、周りをみると、みんな視線をあわさないようにする。
「何キョロキョロしてんだよ、早く行っこいって」
私は立ち尽くして小声で呟いた。
「は?何言ってんのか聞こえないんですけどお?はるかさーん?」
笑いながら中川さんは、自分の耳に手をあて、大げさに聴く耳のポーズをとった。周りも引きつりながら笑っている。
「・・・あ、えと、これはちょっとやりすぎかなと。」
「・・・。」
少しの沈黙の後、中川さんはチッっと舌打ちした。
え?あれ? いま 他からも舌打ちした音が聞こえたような・・・ま・・まさかね。
「あー、つまんね。遥がこんなつまんない女だって知らなかったわ、あんたもうどっかいっていいわ」
そういって、私をまるで追い払うかのように、シッシッと手で払った。
ようやく任務が開放されたかのようにホッとし自分の席に戻ったが、それが中川さんのターゲットが自分に変更になった切っ掛けになったことは、その時の私は知るよしもなかった。
ふっと思いついたので短編小説にしようと思って書き始めたら思わず長くなってしまってしまいました。次こそはナギが大活躍!するのかな?(笑)無謀投稿で申し訳ないw