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魔法使いと私  作者: りきやん
みんな仲良くしましょうね

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14

真っ暗な地下では師匠が明かりを出してくれる。

もちろん、市販のライトなんかより全然明るい。

人の力って偉大。


「師匠とシオンさんが組んだら、最強のトレジャーハンターになれそうですね」


ぽつり、と思ったことを言えば、師匠が心底嫌そうに言葉を返してくる。


「遺跡を歩き回るなんて、今回限りで十分だ。僕は家で研究している方が性に合ってる」


確かに、言われてみれば、師匠は必要最低限しか外に出ないかもしれない。

出掛ける時と言えば、薬草を摘みに行くときか、シオンさんのところに行くときか、食事の材料を買いに行くときくらいだ。

シオンさんはこれを聞いて隣でカラカラ笑っている。


「まず遺跡粉砕する時点で合っとらへんわ」

「悪かったな、乱暴で」

「全然悪いと思ってないやろ」


シオンさんに賛成。

師匠は遺跡の1つや2つ破壊したところで、心を痛めることなんかなさそう。

それに心を痛めるような人ならば、私の嫌がる姿を見て更にいじめようなんて発想はしないだろう。


「ここか」


しょうもない会話を交わしているうちに、私たちは例のドーム型の場所に出る。

シオンさんと来たときよりも明るいのは一重に師匠のおかげだ。

師匠の作ったライトだと、地面に書いてある魔法陣もよく見える。


「うわぁ・・・こんな風になってたんだ・・・」


私は足下の魔法陣を見て感心する。

下は土になっているのだが、それに線を引いて魔法陣を描いているのではなく、色の違う土を使って陣を形成している。

つま先でちょっと掘ってみたけれど、結構深いところまで色分けされているようだ。

アイスボックスクッキーのように、掘っても掘っても同じ模様が出て来る。


「リザ、シオン。こっちだ」


円の中心に立った師匠に呼ばれて、私たちは大人しくそこまで行く。

何が始まるのか不安じゃない、と言えば当然嘘になる。

封印するって、どうやるんだろう?


『ルーニー・・・許さない・・・』


ぞわりと肌が粟立つような低い声。

間違いない、あの化け物うさぎの声だ。


「し、師匠、声が・・・」

「すぐ終わるから黙ってろ」


短くそう言うと、師匠は私とシオンさんの頭をがっしりと掴む。


「おわっ・・・なにすんねん」

「師匠痛い・・・」

「我慢しろ。いくぞ」


ぐんっと身体の芯が引っ張られるような感覚。

内蔵が上に上がってくるような気分に、吐き気がする。

わんわんとした耳鳴りの中で、やはりあの声が聞こえた。


『ルーニーラビット・・・許さない!』


渦巻く怒りに、自分自身が怒っているかのような錯覚に陥る。

けれど、違う。

これは、私ではなく、ルーニーラビットたちの怒り。


あぁ、そうか。


唐突に理解した。


ここは、人間に殺されたルーニーラビットを弔うための場所だったのか。

殺されたルーニーラビットたちのお墓。

あの化け物ウサギは、殺されたウサギたちの無念の集合体。

古来よりルーニーラビットは食用として捕えられ。

その毛皮は冬を越す時のために、剥がされてきた。

それでも、繁殖を続け増えすぎれば、人間が間引きの為に彼らをただ殺した。


長い歴史の中で、きっと最も命を軽く扱われた魔物。

そんなルーニーラビットを弔うために、心優しい誰かがこの石の祭壇を作って、地下にルーニーラビットのゴーストを封印したのだろう。

そして、誰かが墓を荒らさないように、入り口にはあのガーディアンを仕掛けて。


『ごめんねぇ・・・許して頂戴・・・』


柔らかい声がふと耳に届く。

ノイズ混じりの映像に、一瞬だけ人のような影が見えた。

誰だろう。

たぶん、女の人。

その人は、とても優しい人のようだった。




ふっと師匠の手が離れ、ぐるぐると内蔵が掻き回されたように気持ち悪い。


「終わったぞ」

「うわ・・・吐きそう・・・」


封印というには、あまりにあっさりしているように見えるが、師匠だからこその所業なのだろうか。


「封印言うても、大層な儀式とかせぇへんねんな」

「僕が無言詠唱できるおかげだな。それと、リザの読んだ封印解除の呪文が未完成だったせいもある」


確かに、私は石碑にある文章を途中で読むのをやめた。


「もし、全部読んでたらどうなってました?」

「家に集まってきたルーニーラビットはもっと増えていただろうし、間違いなく人間を襲っていただろうな」

「え・・・」


あの温厚なルーニーラビットが人間を襲うなんて、信じられないが、万が一噛まれでもしたら、指は軽く千切れてしまうだろう。


「さぁ、帰るぞ」


もうここに用は無いとばかりに、師匠は踵を返す。

置いてかれては、ライトが無くなって真っ暗闇になってしまう。

それは非常に困る。

こんな場所に、真っ暗闇の中1人きりなんて、想像しただけで鳥肌が立った。

私は慌ててシオンさんと一緒に師匠の後をついて行く。


「あの、シオンさん。封印の時に、女の人が見えませんでした?」

「女の人ぉ?なんや、身体ん中ぐるぐる混ぜられた感じしかせぇへんかったで」

「え、じゃぁ、ルーニーラビットたちが怒ってるの、感じませんでした?」

「んー・・・分からへんかったけど・・・」


首を傾げるシオンさんに、私も首を傾げる。

一体、どういうことなのだろうか?

私にだけ見えていたってこと?


もう一度あのノイズ混じりの映像を思い出そうとしたけれど、頭の中で思い描くことは出来なかった。

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新作「グレーテルと悪魔の契約
ちょい甘コメディファンタジーです。
よろしくお願いします〜!
by りきやん

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