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みしらぬおじさん

作者: みなん

がらっ 戸が開いた。 ここは鈴蘭高校1年A組の教室である。


「おっはよー」


いつもどおりの元気な挨拶の少女の名は 花村静 名前とは正反対な人柄だ。


「静おっはよーー」と数人の返事が聞こえた


「静!!!!」とあわてたような声をかけてきたのは 静の親友 森加奈子 だ


「加奈子どしたん?そんなあわてて」と笑いながら聞いた。


「静の椅子に誰か座ってるんやけど・・身内のひと?」


そう加奈子に言われて驚いて自分の近くまで行ってみると 静の席に見知らぬ


おじさんが座っていた。体はずんぐりとしていてて頭が大きく目も大きく唇はぶ


厚く大きくて麦藁帽子とタンクトップ半ズボンをはいていた。


「見たことない人や」と加奈子に小声で行った。「ええ・・じゃあ先生にゆった


ほうがええんちゃう?不審者やん」と加奈子が言った。


「でも悪そうな人には見えへんから声掛けてみるわ」と加奈子に言うやいなや


「おじさんどこからきたん?そこ私の席やねんけど」とおじさんに声をかけた。


するとおじさんは ぎゅううううううううう とものすごいお腹の音をたてて


何も言わない。


「おなかすいてるん?あよかったらこれたべる?」と言って間食用にコンビニで


買ったしゃけおにぎりを1こ鞄から取り出した。


加奈子の「知らんおじさんと話した上おにぎりあげるなんてチャレンジャー


やな」と言う声が聞こえたけどスルーしておじさんに渡した。


おじさんはおにぎりを受け取るとものすごい勢いでたべてしまった。


ぎゅうううううううううううううううう とまたものすごいお腹の音がした。


とたんにおじさんが立ち上がった。


「おじさん帰るんか 気ぃつけてかえりやー」と静が言ったとほぼ同時に


おじさんはすごい勢いで回転しながら教室を走り出した。


「きゃーーーーーー私のおべんとうが!!」とクラスメイトの声がした。


そのクラスメイトの方をみるとおじさんがすごい勢いでその子のお弁当を食べて


いた。


「うわああああああああああ僕の弁当がっ」「うおおおおおおお俺の弁当っ!!」

「いやあああああああお弁当返してぇぇ」 「私のおべんとうがあああ・・・」


とあちらこちらで絶叫が聞こえた。


おじさんはおべんとうを食べるごとに少しずつ大きくなっている様な気がした。


「おじさんがみんなのお弁当をたべて成長してる・・?」と静が呟いた。


あっと言う間にクラス全員のお弁当を食べ終わったおじさんは1年A組の教室の


天井の高さまで大きくなっていた。


「いやあああ怪物よおお」と言う叫び声がした。


そんな様子を見て呆然としていた静に加奈子が「静なにしてるのにげるよ」


と大声で呼んでくれたお陰でハッと意識が戻った。


大きくなったおじさんは教室を食べ始めたむしゃむしゃと。でもまだおじさんの


お腹の音が聞こえる。ものすごく大きな音だ。


「教室が崩れる早く!静」と加奈子に手を引かれながらようやく教室を出た。


階段を走り降りている時もあのおじさんのもすごく大きなお腹の鳴る音が


聞こえた。おじさんまだお腹が減っているんだろうかと考えながら階段を下りて


いると先生の「学校が崩れるぞー早く校舎からでて校庭ににげなさい」と急がす


声が聞こえ慌てて階段を1階まで下りた。


校庭に出て校舎を見ようと上を見て唖然とした。校舎は消えていた。


あのおじさんが食べてしまったんだ・・と静は思った。


校舎が消えたと言うみんなの声がざわざわと聞こえた。


校舎を食べておじさんのお腹の音は止まっていた。


突然おじさんは口から糸を吐き始めた。白い大量の糸がおじさんの体を包み


巨大な繭ができた。


「おじさん死んだんやろか・・」と静が言った。


しばらく様子を見ていたがおじさんが動く気配はなかった。


静かになった校庭によかった・・と言う安心の声がちらほら聞こえた。


その時だ ぺりっ と何かが割れた用な音がした。


「何の音?」静が大きな声で言うと、もう動かないと安心していたみんなに緊張


の糸がピーンと張った。


その時一瞬の出来事だった。


べりべりべりべり雷のような音がして、みんなおじさんのほうを一斉に見た。


その瞬間巨大な羽が見えた。ばさあああばはあああと羽ばたいている。


おじさんには大きな羽そして触覚・・まるでモスラの様なおじさんが空を飛んで


いた。


おじさんは羽ばたきながら言った。


「みんなご飯をありがとう お陰で孵化できたよ さようならみんな元気で」


ばさばさと羽ばたきながら西の空へと飛んで行った。


大量の鱗粉を残して・・・



みんなの悲鳴が聞こえる。みんな鱗粉に埋もれていた。


静も鱗粉の海に溺れながらおじさんに向かって精一杯の大声を出して言った。


「鱗粉なんとかして行けやあああああああああ もう二度とくるなあああああ」



静の声はおじさんには届かなかった。


                           おわり


小説を読んでいただいて有難うございます。

おもしかったなあと思っていただけたら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] とても意表をつかれるテーマでした! 面白い物語だったと思います。
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