咆哮
掲載日:2026/08/02
数百 数千の
そのうちの一つになってしまうとわかっているけれど
この命をいま咆えるよ 身体が擦り切れていくとわかっていても
何のためのそれかって ヒトは色々分かりやすく理屈をつけるけれど
実際僕らは良くわからないんだ 長らく暗闇のなかにいたから
空を駆ける死の前の何日かを どうかして真剣に過ごそうとすれば
こうなってしまうのさ こうなってしまうしかないんだ
こざかしい誰かさんはきっと
交尾のためにのためにやけに気合をいれるじゃないかとか
クーラーの効いた部屋の中で僕らを笑うけれど
それでも この命を咆えるよ
どれほど必死になったって 誰かの思い出のバックグラウンド・ミュージックになってしまうだろうけれど
それでも 僕は この命を咆えるよ
蝉の声は夏の主役にはなかなかなれないものだ。
もちろん大抵好ましいものとして想起されるだろうし、季節感のあるものではあるが。
けれど鳴く彼らの熱量はもしかしたら、下手なロックミュージシャンなんかよりもっとずっと、切実に白熱しているのかもしれない。そんなことをふと思って書いた。




