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ある世界  作者: ぽむポテト


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2/2

最初の一歩。

基本的にファンタジー。

主人公が最強だったりはしない。

「僕はただ、誰にも傷ついてほしくないだけなんだ!この世界が、魔物も人間も関係なしに、互いを想い合って生きいくような、そんな世界にしたいだけなんだ!!」

ペルトの叫びに、その場が静まり返る。

しかし、時間が止まったのではないかとペルトが思ったその時、

「ぷっ…ははははは!」

ダグラスとリザードマンたちが一斉に笑い出す。

「へ?えぇ??」

突然笑い出した冒険家と魔物達に、ペルトは困惑して目をパチクリさせる。

「ダグラスよ、貴様の言う通りではないか!小僧がここまで愚かであったとは!」

「そうだろ?こいつは最高にバカなやつなんだ!」

「あぁ、実に愚かで実に高潔だ!」

「ま、待って下さい!何の話をしているんですか?そもそもどうして当たり前かの様に会話しているんですか?!」

先ほどまで戦おうとしていたというのに、何事もなかったかの様に話し出した両者に疑問を感じ、驚いた様子で問う。

「悪い悪い。実はこう言うことがあってだな。」

そう言うと、ダグラスはペルトに対しこれまでの経緯を話し出す。


「つまり、おじさんは、殺し合う気は無かったんですか?」

「まぁな、そういう事だ。」

 ダグラスが言うには、ペルトの魔物と人間の共存を叶えたいという望みを知っていた村長が、ペルトに村の外のことを教えてあげて欲しいと知り合いだったダグラスに申し出る。

それに応じたダグラスは、ペルトが村の外でも生きていけるか試すため、リザードマンたちの協力のもと、この日の茶番を行ったのだそうだ。

「それで、お前はこれからどうしたいんだ?」

「えっと、どうしたいと言うのは?」

「自分で言ってただろ?魔物と人間が想い合って生きるようにしたいって。具体的にはどうすんだ?」

「…正直、具体的にと言われても僕にはどうしたらいいか分かりません。僕は、この世界の事も魔物や人のこともよく分かっていませんから。」

「ですからまずは、この世界のことや、魔物や人が互いのことをどう思っているのか知りたい思ってます。ですが…」

「僕には、そんなこと叶えられません。」

「へぇ…どうしてそう思うんだ?」

「僕が住んでいる村には戦える人が居ないんです。魔法が使える人はごく(わず)かですし、そもそも、皆さん年齢が…とにかく、何かあった時のためにも僕が村から離れる訳にはいかないんです。」

諦めているかのような顔をするペルトにリザードマンが言う。

「小僧、そのことは既に解決済みだ。」

「…え?」

「我らが何の為にこの場所を整備したと思う?まさか、先ほどの茶番の為だけにやったとは言うまいな?」

「なら、一体なんの為に?」

「ふん、決まっておろう。貴様の村を守るためだ。」

「えっと?」

「お前なぁ。ちゃんと説明してやれよ。」

「ペルト、あいつらはこの洞窟に住んでもらうことになってな。ここから村を見張って何かあったときに守ってくれるんだ。」

「本当ですか?」

「然り。村とその住民のことは我らが責任をもって守り抜こう。」

「そういう事だ。村を出てどっかの街に行くでも、旅をするでも何でもいい。お前は村のことを気にせず、好きなことをすればいいんだ。」

「…ありがとう、ございます!」

ダグラスたちの話にペルトは花が咲いたかのように大きく、子どもらしい笑顔を浮かべる。

その笑顔にその場にいる者たちも思わず笑顔になる。


 ペルトはリザードマンたちに再度お礼を言うとダグラスと共に洞窟を出る。

「そういや、結局これからどうするんだ?」

「まずは、中央都市に行きたいと思ってます。冒険家と言ったらやっぱり中央都市のイメージがあるので。」

「中央都市か。まぁ、あそこは冒険家協会の本部があるしな。なんだ、冒険家にでもなりたいのか?」

「はい、おじさんが話していた英雄も冒険家にだったんですよね?冒険家になれば様々な依頼を受けられますし、色んな場所に行くことになる(はず)です。この世界のことを知るにはもってこいだと思いまして。」

「んー確かにな。…それはいいが、お前そこまでの道分かるのか?」

「えっと…あはは。」

何かを言うでもなく、ペルトはダグラスに期待の目を向ける。

「はぁ…お前以外と図々しいな。」

「連れてけばいいんだろ。最初からそのつもりだたしな。」

「やった!ありがとうございます!」


「わぁ…人がいっぱい!!」

「今は丁度昼時だからなぁ。」

「僕の村の人たち全員集めてもこの人の量には勝てませんよ。」

「ははっ、言えてるな!」

 2時間ほど歩きやっとのことで着いたのは中央都市と呼ばれる都市。

 この世界には王の様な国や世界の(おさ)はいない。代わりに、冒険家が、一年間の予算の決定や物資の輸出入の取り締まり、法律の制定と公布まで、社会の秩序を保つために必要不可欠な活動をしている。

そして、冒険家に対し冒険家としての資格の認定や育成、また、依頼人からの依頼の受付やその掲示及び告知を行うのが冒険家協会であり冒険家が様々な活動を行う(かなめ)である。

その本部があることがこの都市の呼び名の由来だ。


「そうだペルト、腹減ってないか?協会に行く前に何か食べてこうぜ。」

「あー…僕普段からお金を持ち歩いてなくて。」

「そうか、なら俺が…あー、ちょっと待ってろ。」

そう言うとダグラスは財布を取り出して中身を確認する。

「…よし。今日ぐらいは俺が(おご)ってやるよ!」

「ありがとうございます!それから本当にすみません…森を出る前に村から持ってくるべきでした。」

「気にすんなって!」

「それで、何が食べたいものあるか?…って聞いても何があるか分かんねぇよな。とりあえず肉だな、ステーキかなんか食えるところに行こう。」

「あ、あの。お肉は…その……苦手で。」

「ん?あー。」

ダグラスはペルトが森で動物と仲睦(なかむつ)まじく過ごしていた姿を思い出す。

「そりゃそうだよな、悪い悪い。」

「じゃあそうだな…食べたいジャンルみたいなのないか?辛い物がいいとか甘い物がいいとか。」

「甘い物!…が食べたいです。」

ペルトは勢いよく答える。

「そうか。じゃあ、あそこだな。それじゃあ(はぐ)れないようしっかり着いてこいよ。」

「はい!」


しばらく歩いてから路地裏に入り、そこからまた少しだけ歩くとダグラスが「着いたぞ、この店だ。」

と一言。店の前にある立て看板には「パンケーキ始めました」と書いてある。

店に入ると満員とはいかないものの何人かの客が見える。

「いらっしゃいませー。空いてる席にどうぞー。」

と言われたので、適当な席に座る。

席に置いてあるメニュー表には商品名とその商品を模した絵が描かれている。ペルトはそメニュー表に興味津々の様子だ。

「好きなもん頼んでいいからな。」

「うーん…僕これがいいです。」

ペルトが選んだのはイチゴと生クリームが盛られたものだ。

「これだな、分かった。すみませーん。」

ダグラスは店員を呼ぶとペルトが選んだものと自分の分を注文する。

「今から焼き上げますので、しばらくお待ち下さい。」

そう言って店員がその場を去ると、ダグラスがペルトに話しかける。

「いいか、ペルト。本当に冒険家になるなら、色々教えないといけない事がある。」

「まず、冒険家認定試験についてだ。」

「冒険家認定試験…?」

「ああ。んまぁ、試験つってもそれほど難しいものじゃない。冒険家協会は、来るもの拒まずを売りにしてるからな。誰でも受けれるし、ほとんどが合格できる。ただ…」

「お前の場合、1つ問題があってだな。」

「問題ですか。それはどんな?」

「あー…そうだな。まずは試験について説明するか。」

「試験には幾つかコースがあるんだ。基本的には実技試験、学力試験、総合型試験の3つだな。」

「んで、この実技試験と総合型には魔物の討伐ってのが試験に含まれるんだ。」

「なるほど…そういう事ですか。ですが問題というのがそれだけなら、学力試験を受ければ済む話ではありませんか?」

「そんな簡単な話ならよかったんだが…学力試験ってのも中々やっかいでな。その合格率なんと0.028%!まぁ、受けても無駄だな。」

「えぇ…。来るもの拒まずはどこに行ったんですか…。」

「ははっ…まぁ、協会は実技か総合での受験を勧めてるからな。百聞は一見に()かず…知識よりも経験を推してんだろう。」

「そうですか…では、どうにかして誰も傷付けずに冒険家になる方法はないんですか?」

「んーまぁなんとかなるだろ。」

「俺んときは、そこら辺に居たリザードマンの角折って戦利品だって言い張ったら合格出来たしな。」

「随分甘いんですね…。」

「今は監督役が着いてズル出来ない様になってるみたいだがな。」

「それじゃ結局ダメじゃないですか!!」

「そう気にするな、どう転んでもなる様になる!」

ダグラスはガハハと豪快に笑いながら言う。

「もう冒険家にはなれない気がしてきました…。」


昼食を済ませた2人は冒険家協会に向かう。

協会に入るとダグラスは「依頼窓口」という場所の職員に話し掛ける。ダグラス曰く、ここでは依頼の申請が出来る他、法律相談や試験の申し込みなども出来るという。

「こいつに認定試験を受けさせたい。なるべく早いやつがいいんだが。」

「認定試験の申し込みですね。少々お待ち下さい。」

「本日中の予約は既に埋まっておりますが…日程は如何(いかが)なさいますか?」

「だってよ。どうする?」

「えーっと…。」

「1番早い時間で、明日の朝9時のものがございます。そのお時間の場合、別の方とご一緒することになってしまいますが。…如何でしょうか?」

他人と行動する場合、1人で受けさせるときよりもさらに魔物の討伐を避けづらくなる。そう考えたダグラスは他の時間にして貰おうとする。

「いやそれ以外の時間で─」

「そこでお願いします。」

「は?ちょ。」

「かしこまりました。それではこちらにサインを。」

「分かりました。」

「いや、おい!」

「ありがとうございます。よろしければこの場で試験についてご説明いたしますが、どうされますか?」

「はい。お願いします。」

「ストップ!ちょっと待ってくれ!」

「おじさん?どうかしましたか?」

「お前!いいのか?!あーいや…。」

大声で話せる内容ではないため、ダグラスは一度咳払いをし、落ち着いてから小声で話し始める。

「いいのか?他のヤツと一緒だと、魔物を傷付けず合格ってのはキツいぞ?」

「大丈夫です。むしろ好都合です。だって一緒にいる誰かも巻き込んだ方が、傷付いてしまう魔物を減らせるじゃないですか。本当は、今日あるという試験も全部妨害したいぐらいです!」

「…くっははは!なんだそう言うことか。まぁ、お前がいいならいい。」

「急に止めて悪かったな。説明、続けてくれ。」

「かしこまりました。」

ダグラスの用が終わった事を確認し、職員は説明を始める。

とはいえ、その内容の多くは先ほどダグラスが話したものと同じだ。

「また、試験には受験者と監督官、それとは別で冒険家の方を同行者として設定出来ます。如何(いかが)なさいますか?」

「ああ、俺がそうだ。」

「かしこまりました。こちらに名前と階級を。それから、監督官の身分証、経歴書の写しと似顔絵です。ご確認のうえ、何か不明な点などがございましたら申し付け下さい。」

「ああ…問題ない。」

「ありがとうございます。」

「説明は以上です。では、改めて試験の内容を確認させていただきます。明日の午前9時、監督官は総合A級のネロ様、受験者は年齢は11歳のペルト様、同行者は階級が戦闘A級、年齢は29歳のダグラス様。…この内容でお間違いありませんか?」

「はい、大丈夫です。」

「それでは試験の時間のお間違いが無いよう、気を付けてお越しください。」

「おう。ありがとな。」

「さてと…やる時間は決まったし、次は試験の準備だな。習練場行くぞ。」

「習練場ですか?」

「おう、全冒険家に向けて開放されてる剣術とか魔法の特訓をする場所だ。」

「それって、僕も入っていいんですか?」

「ああ、冒険家が同行してたら基本誰でも入れる。ふっふっふ、お前がどれくらい魔法を使えるのか見せてもらうぞ。」


「着いたぞ。ここが習練場だ。」

習練場、冒険家たちが己を磨く為に協会が提供する習練の場。基本空いているうえ、武具や、魔法を当てるための的などが揃っており、特訓をするにはうってつけである。

「うっし、早速始めるか。」


「みなさん初めまして!この度、主人公であるペルトさんの監督を任されましたネロと申します。今回からは私が後書きもとい次回予告を担当させていただきます。よろしくお願いしますね!」

「では早速…。」

どうにかして魔物を傷付けずに冒険家になりたいペルト。しかし、できるだけ魔物に傷付いて欲しくないという考えから別の誰かと共に試験受ける事になってしまう。

果たしてペルトは無事、冒険家になれるのか次回「人と魔物、人×魔物」お楽しみに。

 

 ここまで読んでいただいた方もここまでスクロールして下さった方も、この作品を手にとっていただきありがとうございます。

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