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第7話 死の恐怖、そして対局へ
宗歩は盤の前に正座し、
静かに駒を並べた。
そして飛車と角――
自分の最強駒二枚を駒箱にしまう。
周囲には武士たちが並び、
将軍は高座から俺を見下ろしてる。
俺の心臓はバクバク鳴って止まらない。
(落ち着け……落ち着け……)
手のひらに汗が滲む。
負ければ死。
そんな状況で将棋を指すなんて、
正気の沙汰じゃない。
しかも俺、ブランクありまくりだし……
でもやるしかない。
2枚落ちならチャンスはあるはずだ!
自分に言い聞かせたが、
そんなに甘くはない――
俺は、それも十分に分かっていた。
"棋聖"という存在が、
どれほど強いのかを――
宗歩が静かに口を開いた。
「準備はよいか?」
「は、はい……」
声が震える。
「緊張しておるな。」
宗歩は穏やかに微笑んだ。
「……だが、それでよい。
将棋とは常に真剣勝負。
命を懸けるに値する戦いである」
その言葉に、ゾクリとした。
この人は本気だ。
手加減なんてしない。
「では――参ろう」
「……よろしくお願いします」
「うむ」
駒落ちは駒を落とす方、
上手と呼ばれる方が先手。
△6二銀。
宗歩が最初の一手を指し、
対局が始まった。




