表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

なろうっぽい小説

シナリオが一番の問題です

作者: 伽藍

平民出身の聖女が王太子や王太子の側近である高位貴族令息たちを次々と虜にして、最終的には国を乱そうとした悪女として死罪となった。そのあとの、元聖女の遺書が見つかったお話。

 ある日、とある王国で一人の少女が処刑された。少女の名はグレタといった。


 その少女は元は平民の少女で、聖女の神託を受けたために一時期は教会の後ろ盾を得て王立学園に通っていた。


 けれどその王立学園で、聖女は問題を起こした。王太子である第一王子や、その側近である高位貴族の令息たちに次々とすり寄ったのだ。

 令息たちにはみな婚約者がいた。そして貴族の令嬢である彼女らは、聖女とはいえ元は平民であるグレタに愚弄されて黙っている少女たちではなかった。


 グレタは見境なく男に足を開く淫売とされた。中でも王太子にすり寄っていたのは問題で、グレタは聖女の称号を剥奪され、国を乱そうとした悪女として死罪となることになった。


 グレタが通っていた学園の女子寮で、グレタが遺した手紙が発見されたのは、グレタが亡くなってひと月ほどが経った頃だった。


 手紙にはやや小さめだけれど綺麗な字で、こう綴られていた。


***


 この手紙が読まれているということは、わたしグレタはすでに亡くなっていることと思います。

 この手紙は、わたしが死ぬまでは誰にも読まれないように、女子寮のデスクに魔法で隠しておりました。この手紙が見つかったということは、つまりわたしが息絶えたために魔法が解かれたということなのでしょう。


 わたしの死因は判りません。ですが恐らく、わたしを疎んじた誰かに毒を飲まされたか、事故にでも遭わされたか、はたまた死罪にでもされたのだろうと思います。

 本当に全く偶然の事故に遭うという可能性もあり得なくはないのですが、わたしには女神様の加護が宿っておりますので、あまり高い可能性ではなかろうと思っております。


 わたしは、王太子殿下やそのご側近であるご令息がたのご婚約者様がたに、大変なご迷惑をおかけしておりました。深くお詫び申し上げます。


 わたしに聖女の務めを課したのは恋の女神様です。これは、ご神託を授かった教会の方々であればご存じのことと思います。

 ここからは誰にも話していないのですが、わたしが持っておりますのが恋の女神様の加護であるために、この加護の力を分け与えるためには、殿方にはわたしに恋をするか、最低でもわたしに強い好意を持って頂く必要がありました。


 打算でわたしに近づいても加護を分け与えることは叶いませんので、誰にもわたしの持つ力を説明することが叶いませんでした。そのために、ご婚約者様がたにご不快な思いをさせてしまったことは申し訳なく思っております。


 すでに亡くなっているわたしにできることは多くありませんが、皆さまに一つ警告をさせて頂きたく思います。

 この手紙を書いている時点では、わたしが亡くなったのがいつの年なのかを知ることはできません。ですのでこの手紙が見つかってからどれほど時間が残されているのかは判りかねますが、わたしが三年になるはずの年の、色づいた葉が落ちて冬の匂いが漂いだす頃に、この王国の地下深くに封じられていた、かつてこの世界を滅亡寸前まで追い込んだ大悪魔が復活します。


 大悪魔を今度こそ討伐するには、聖女と、聖女の加護を受けた勇者たちの力が必要になります。そのために、わたしは、勇者になりうる、尊い血統由来の高い魔力を持つ方々に加護を与えられるようになるべく近づいておりました。

 わたしが亡くなったということは、すでにその道は絶たれたということです。人びとの力だけでどうにか生き残るために、どうぞ今から大悪魔との戦いにお備えするようお願いいたします。


 婚約者を持ちながらわたしという馬の骨と親しくなるご令息がたに眉を顰められ、もしかしたら正義のお心でもってわたしを断罪したであろうご高潔な精神をお持ちであるこの王国の王族貴族の皆さまがたであれば、女神様の加護など得られずとも必ずや大悪魔を討伐せしめるだろうと信じております。


 皆さまのご武運をお祈りしております。






 それから、最後に。可能であれば、以下の言葉を王太子殿下のご婚約者であられた公爵令嬢様にお伝え頂ければ幸甚の極みに存じます。


 どうか、乙女ゲームのクレームはシナリオライターまでお届けくださいますようお願い申し上げます。

コメディです。コメディです! さくっとくだらないお話が書きたかったので


「クソゲーじゃねーか!」ってお話です。本当は聖女ヒロインに「クソゲーじゃねーか!」って言わせたかったんだけど入れ込めませんでした。ざんねーん

そもそも悪役令嬢の出てくる乙女ゲームってシナリオのほうに問題があるよね。他人の男を奪っている時点でどう考えてもヒロインにもヘイトが向くんだから。現実には存在しないらしいけれど、じゃあこの欠陥だらけの『なろうテンプレの乙女ゲーム』という概念はどこからきたの? ってめちゃくちゃ不思議よね


ヒロインも世界に滅んでほしいわけではないのでそれなりに頑張ってみたけど、女子生徒たちからの嫌がらせは激しかったし、男子生徒たちからは「簡単に寝られる女」くらいに扱われたし、もともといまの世界に思い入れがあるわけでもないので、途中からだいぶ冷めてました。「なんでわたしがこんな思いして世界を救わにゃならんのだ」くらいの気持ち。ので、「自分が死んで滅びるならそのとき」と思っていた。シンプルにシナリオが悪い


【追記20250607】

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/799770/blogkey/3453423/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
クソゲー世界にいれられた聖女ちゃん、ドンマイすぎるし、攻略対象の婚約者達もなんとも言えない気持ちになりそう 実際の乙女ゲームは攻略対象に婚約者はいないし、悪役令嬢も出てこないし、そもそも中世ヨーロッパ…
現実では、CEROの問題で絶対に一般向けでは発売出来ない"なろう乙女ゲーム"。テンプレとして確立したのは、「嗜み」とか「はめフラ」とか辺りなイメージ。 男主人公のテンプレチート転生ハーレムに飽きた層が…
シンプルにシナリオがクソ…! 可哀想な聖女ちゃん…。次生まれ変わることがあればもっとマシな世界だといいですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ