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不思議をひらく金の鍵

ぼくらは少年探偵団

ぼくらは少年探偵団・・・①  あれ? お金が勝手に増える?


私が小学校3年生のときの話。実はあまり思い出したくない40年前の話・・・そんな大それたことをしたわけではないのですが、当時の私のとってはかなり衝撃を受けた生涯忘れられない出来事だったので記憶をたどりながらかきつづることにする。


 それは隣町のデパートの屋上でゲームをした。当時のゲームは10円がほとんど。ゲームといっても画面に上にキャラクターが出てきてという今のようなげーむではない。パチンコのように玉をはじき同じところに5つ入れるとか、そんなものに夢中になっていた。


 10円を入れるものから、30円を入れて遊ぶゲームもある。いまでいうテレビゲームに10円を払っていたのだから高い遊びだった。当時はポケットに100円玉を忍ばせてゲームをしにいった。詳しくは覚えていないが確か120円をもって遊びに行った記憶がある。まずは100円玉を10円10枚に両替をする。そしてゲームに夢中になって遊ぶ。時間がたてば当然のごとくお金が少なくなっていく。ゲームに勝つともう一回できるものもあるがそううまく何回も遊べない。着実にお金はなくなっていく。


 さて遊び始めてから30分くらい経過しただろうか・・・ポケットを探ると4枚しかのこりがない。40円か・・・10円のゲームをやっても4回ですね。お金がなくなっていくとだんだん楽しさが半減してくる。なくなったら帰るしかないからだ。そのときポケットから残り少なくなった10円を1枚取り出してそれを入れようとすると・・・考えられないことがおこった。


      「あれ??これ・・・10円ではなくて100円玉だ。」


「なんで100円玉がポケットに入っているの?」

「まあ・・・100円あるのだからたくさん遊べばいい。」


あまり深くはかんがえない、喜び勇んでさっそく100円をまた10円玉10枚に両替して130円になったのだからホクホクだ。しかし遊んでいるうちになんとなく気になって遊びに集中できない。


♪ ポケットをたたくとビスケットがひとつ。もひとつたたくとビスケットがふたつ ♪

なんてうたのとおり、いや現実にはビスケットじゃないお金がふえる不思議なポケット??なのだ。


 まてよ・・・絶対おかしい。いつも同じズボンをはいている。お母さんがポケットの中を洗濯のときに必ずチェックをする。知らないうちにお金は余分には持たされて渡されることもないのだ。今だったら100円玉がポケットから出てくるなんてよくあることだが、小学校3年生のおこづかいが200円か100円かは、当時の私の価値では雲泥の差だ。

 最初にポケットに120円しかなかった。おかあさんが私に多く渡したのかな?でも・・・そんなまちがえってしないですよね。お金を渡すときって親は例外なく


「無駄遣いしちゃだめよ!」

といいながら決められたお金しか渡さないのだ。かりに多くくれれば多くあげたからね。そのかわり宿題するのだよとか、ただじゃ渡さない(笑)だまって予定の金額よりも多く渡す・・・そんなことありえない。


じゃあ私の何かのかんちがい??


いや・・・これは絶対まちがいのない事実、確かに120円だった。まちがえなくさっき100円を両替した。だからたくさんあそんだ。それなのになぜ?ポケットから100円が出てくるのか?     


おかしい・・・? 

 120円しか持っていなかったのに80円くらい使ってなんで130円に増えるの?普通の買い物でそういうことがあったらお店の人がおつり銭を間違えたと考える。しかしお店の人は入っていない・・・はいったのは機械だけ。まさか・・両替機が間違えたの?


 ありえない、と考えて謎のまま終わるが、私には第6感というか「ピーン!!」と来るものがあった。この両替機10円を入れても10円玉が10枚出てくるのではないだろうか?いまだったら「ありえない!」の一言で終わるが私は自分の直感に確信を持った。だからもう一回この両替機に10円を入れて試してみよう・・・とそう思った。そして両替機に10円を入れてみた。心臓はドキドキ!穴に力をこめてぐっと入れる。すると・・・・


 チャリチャリチャリ・・・・


なんと!!!10円玉が10枚出てきた・・・・


「信じられない!10円玉で10円玉10枚になる・・・」


 それからそのお金をどう使ったのかまたは自分のお小遣いにしてしまったかは忘れてしまったが、一番面白かったことはゲームよりも両替機がまちがえるのが面白かった。


 

ぼくらは少年探偵団・・・②  少年探偵団の仲間たち


こどもだからそのことを友達に話す。

「なあなあ・・・ありえない話があるんだ。」

「なになに?」

「ここで話すことは秘密だぜ。」

「なんだよ早く言えよ。」

いつも仲のいい双子のS兄弟とN君にそうっとはなしてみた。


「10円玉を入れると10円が10枚出てくる両替機がある。」

「うそ~」

「本当だよ、今度行ってみない?」

「ありえない・・・」

誰も信じない。でもあんまり私が熱心に言うのでおもしろそうだと3人は私の話に乗ってきた。


 いつも4人で冒険だといって日曜日町を歩くのが好きな仲間。じゃあ今度の日曜日に行こうと話は決まる。そう当時は江戸川乱歩の少年探偵団が好きで怪人二十面相なるシリーズを読みあさっていた。この探偵小説に夢中になっていた子ども時代の話はほかのテーマで書くこととしてこの4人は自称少年探偵団いろいろなものを観察して新しい発見をする仲間なのだ。


 だから10円が100円になる自動販売機などは「少年探偵団」にとってなにか事件があったという格好の題材なのだ。みんなが乗ってこないわけはない


 4人は小銭100円程度にお弁当水筒をもって冒険をしに出かける。 「ここ、ここ!」

真っ先に屋上まで行き、一目散に自動両替金の前までみんなを案内する。私がまず試しにやってみせた。

「いいかい、ほら!これ10円玉だろ?」と確認して種も仕掛けもありませんといった手品師のようにやって見せた。


チャリチャリチャリ・・・・期待通りに10円玉が10枚出てきた・・・・

「うわ~本当だ。」

みんな目を丸くしてその光景を見ていたことはいうまでもない。


「俺もやってみよう!」と冒険好きのN君が10円玉をさっそく入れてみる。

チャリチャリチャリ・・・・同じように10円玉が10枚出てきた・・・・


「俺もやってみよう。」

みんなの好奇心がくすぐられるのは言うまでもない。

そしてS兄がやる・・しかし・・・・

「あれ?でてこないよ。」10円入れたがそのまま10円が戻ってきた。

「じゃあおれやってみるよ。」

そしてS弟が続く

やっぱり出てこない・・・


「だめだなあ!こうやってやるんだよ。」

と私がいかにもこのゲームに精通しているかのように入れる

チャリチャリチャリ・・・・また10円玉が10枚出てきた・・・・


「すげ~」「がっはっは!!」4人とおかしさで大笑いをしていた。

白昼堂々と10円玉入れて10枚出てきたと大騒ぎをしているのだから回りが放置するはずがない。隠れてやっているのではない。ゲーム感覚で露骨に騒いでいるのだ。


 「こら!!なにやっている!」

それから遊園地の係りのお兄さんが怖い顔で走ってきた。


「こら!なにやっている!」とお兄さんが勢いよくこちらに向かって走ってきたのだが、実はその前に伏線がある。「すげ~」「がっはっは!!」4人はおかしさで大笑いをしていた。そのときに一瞬だけ少し離れた大人と目があったのを憶えている。そう一瞬だけ私と目があって怖い目つきをした大人の顔がだった・・・・


 あの一瞬だけ私に視線を合わせた大人・・・あの顔はいまだに忘れられない。あの頃に時間がもどりそのまま現れてくれればそこにいる人たちの中から「この人だ!」とはっきり言える。


 そうその人が係員を呼びに行ったのは間違えない。あの私に投げつけた視線がそう物語っている。それにあの一瞬からちょうどデパートの係員が走ってくる時間を考えると合致する。悪いのはもちろん私でこのようなことをいうのはなんだが、小学校3年生だった私にとって、私と目が合った一瞬目線のその大人を瞬時に記憶した。私は少年探偵団のリーダーだ。悪いことをしていてそれを見て通報した大人を「犯人はあのひとだ!」と思うくらい罪の意識がなく、むしろ自分達は正しいことをしていると勘違いをしていた。


 こら!なにやっている!とお兄さんが勢いよくこちらに向かって走ってきたのをみて、初めて自分のしていることに気づいた。そうだ私のしていることは詐欺行為なのだ。我に返りあやまる。


「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」

何度も何度も係りの人に謝った。

「しかし許してはくれない。」

ここまでくれば自分のしたことが取り返しのつかないことだとわかる。

「いっしょに来なさい!」とエレベーターにのせられて4人は連れて行かれる。なにかこのエレベーターが恐ろしい個室のように感じられた。

エレベーターの中でお遊園地係りの兄さんに尋ねる。おにいさんはつなぎを来て髪の毛を伸ばしていたように記憶している。

「僕たち、これからどうなるのですか?」

心配のあまり聞いてみた。

「知らないよ、そんなこと・・・」

この20歳そこそこの店員は知らないよと冷たく言い捨てて自分の仕事は事務室に連れて行くだけとわりきったものだった。こどもにもわかる。デパートの偉い人のところに連れて行かれてこっぴどく怒られることは・・・。S兄とS弟が私の顔を見た。そう、彼らは10円両替に失敗しているから怒られるのは私とN君だ。特に主犯は私だから私が一番怒られるに決まっている。


ぼくらは少年探偵団・・・③  少年院送りになる



 デパートの事務室に連れて行かれた。中に入ると2人ネクタイをした偉いおじさんがいた。今思えば偉いというか保安の担当社員だろうが、そのころはこどもだからデパートの店長さんだと思った。 今私がその立場だったら

「ぼくたち、どうしたの?」とまず普通に話しかける。これから正直に全部話して欲しいはずだからだ。


 しかし・・・この大人たちの発する言葉は優しい言葉はなく、とげとげしい職務質問だった。生まれて初めて味わった経験だった。始めて会った人にいきなり怒られた・・・当然こどものわたしたちは萎縮した。


 まず持っているものをチェックされた。かばんの中身を出して。

命令されるままにそれぞれがかばんに入っているものを広げる。たいしたものは入っていない。お弁当と水筒それになにか冒険セットのようなものを持っていたと思う。手帳は4人が仲間である証のようなものだ・・・その程度だ。


 ただ私がよく覚えているのが水筒、お酒好きの父親のワンカップの容器がちょうど水筒になるのでそれにお茶を入れて持ち歩いていた。今思えばお茶を飲むと子どもがお酒を飲んでいるように見えるのだから笑えるが、小学生だからできるので中学生だったら中身もチェックされていただろう。


 いずれにしてもお酒の容器をこどもの水筒に入れるという発想は捨てるのがもったいないから何でも再利用する母ならではの発案だが、私にとってもお父さんの飲んでいるお酒の容器でお茶を飲むのはうれしい。お父さんのしぐさを真似しながらちびちびとうまそうにお茶を飲んだりしていた。


「これ?なに?」

「お茶です。」

「へ~お酒の容器に入れているの?」

まさかお酒が入っているとは思わないだろう。中を確認することはなく逆に鬼のように見えたおじさんが一瞬笑顔になった。

一番危険なものを所持しているものを発見して笑顔になるとはまあ。皮肉というか、ようはどう考えても悪いことをする子どもには見えない4人組だったということだ。


結局持ち物チェックは便宜上行われたという程度で特にどうということはなかった。

「この手帳は何?」もしそう聞かれたら

「僕らは少年探偵団です。今日は不思議な両替機を調べに来ました。」

と答え話の展開も変わっていたかもしれないが4人同じものをもっていても興味すら示さなかった。要は万引きした盗品ではないかで私たちに興味を持ってもくれないし、なんでそんなことをしたのかなど聞いてもくれなかった。

そしていよいよ本題に入る。まずおじさんの顔が恐ろしいものに変わっていく。そして一人ひとりいくらお金を入れて何回両替をしたのか説明をさせられる。


 まず私が話しはじめる。1週間前にここにきたこと。いつのまにか持っていたお金が増えていたこと。10円入れたら10円が10枚出てきたのかもしれないと思ったこと。それからおかしいと思って試したこと。それから今日2回友達に見せるためにやったこと。両替は4回行った。とつつみかくさず正直に言った。


 私が最も伝えたいことは最初間違えてお金を入れてしまったが、確証がないので試してみたこと。それをみんなに見せたことなのだが、おじさんたちは単純に両替を4回やって40円が400円になったとそこだけに注目した。そしてN君も一度だけまねをして両替してことを話す。


そしてS兄弟は自分は10円入れたけど10円が戻ってきたことを話す。

「それじゃあ、君たちも同じだ!」一人の大人が声を荒げた。失敗は結果論であって悪いことをしようとしたのだから同じだということだ。今まで自分たちは大丈夫とやや余裕を見せていたS兄弟も、突然の大人の怒鳴り声で悲しい顔にかわっていった。結局4人が同じように怒られた。


それから延々と1時間くらいだろうか怒られまくった。

「おまえたちは犯罪者だ、これから少年院に入ってもらう。警察に連絡をしているから・・・」

本当にそんな話をしはじめた。私は忘れない。そんなおおげさなことなのか?悪いことをしたのはわかる。でもそれが少年院に入ることになり親から引き離されることとは思えない。だからおじさんたちが怒っている話の腰を折って口を挟んだ。


「つまり・・今度やったら少年院に入るということですね・・・」

そう私は聞き返した。すると、ちょっと怒ったようにその人は

「何を言っているんだ!これからすぐ入ってもらうから!!」

小学校3年生の私たちに大人はそう言った。きっと私が不服そうな顔をしたのでますます声を荒げる。

「君たちは自分が何をしたのかわかっているのか?」


 その瞬間みんな泣き出した。「ウォンウォンウォンウォン・・・・」

一人が泣けば声を出してみんな泣き出す。そりゃあそうだ、泣かないわけがない。

「お前たちは悪いことをしたのだから少年院に入れる」

そういわれたのだから、普通にまじめに育てられてきた家庭の子なら泣くに決まっている。こんなおそろしいことを大人たちは平気で言ったのだ。

しかし私の目からは涙は出なかった・・・・


 私だけは泣けなかったなぜなら私はこども心にこう叫んでいたのだ。


『悪いのは、ぼくだ!みんなはぼくが誘ったからついてきただけだ。3人は悪くない。少年院は僕だけ入れればいいじゃないか・・・』

その時そう思った。私には自分で今の状況を整理する余裕がった。おとながうそをいうわけはない。少年院は間違えなく入らなければならない。親元を離れて刑務所で暮らす。もう学校のお友達とも別れなければならない。みんな私たちのことをなんていうだろうか?先生はほかの友達に私たちのことなんて言うのだろう。


 悪いことをしたのだからしょうがない。でも友達だけは許して欲しい。

そう思っていたのだが、自分の思いをうまくおじさんたちに伝えられなかった。

「本当に少年院に入るんですか?」

私は念を押すようにもう一度聞いた。

ひとりだけ涙をこぼさず冷静に確認をしている私を大人たちは快く思わなかったのだろう。

「あたりまえだ!」」また強い口調で大人は怒鳴る。


多分主犯たる私だけが反省の色もなく冷静なのが許せなかったのだろう。反省をしていなかったのではない、友達のために取り乱すことができなかっただけだ。なんとか友達だけは許してほしいと思って泣けないのだ。

おそらく私が「ウォー!!」っと大泣きをすれば話は終わったのかもしれない。


 そうだ、これはなにか怪人二十面相の罠かもしれない。こんなところに閉じ込められてしまったのだ。きっと明智先生が僕たちを助けに来てくれる。こどもならではの現実とフィクションの世界がごちゃごちゃになった考えでおじさんたちをにらめつけた。


すると・・・また罵声が飛ぶ、そうなるとほかの3人が大泣きをする。泣かない私のことを「反省する様子もない末恐ろしいやつ・・・」と大人は思ったのではないだろうか。

『本当に刑務所入るんですか?』この言葉は小学校3年生のこどもが反省しながら必死に友達をかばいたいという抵抗だということに気がついてはくれない。


ぼくらは少年探偵団・・・④  新しい冒険


 しばらく沈黙が続いて「失礼いたします。」といって3人の大人が入ってきた。

そう私の母とNくんのお父さんとS君たちのお母さんだ。やっぱり母の顔はまともにみられない。母は怒るかと思ったら意外にも何事もなかったようなあたりまえの顔をしていた。ほかの親たちも怒っていない。


「今日はお母さんたちと帰っていいから・・・」

「少年院は??」

「入らなくてもいいよ。」


それから清算が行われた。私の母は400円を渡して40円を受け取った。そう10円で100円の両替を4回やったからだ。それからなにやらおじさんたちは親たちに理解できない話をしていたのを覚えている。

「なかには、悪質なやつもいてこういうコインを使うのもいるのですよ。」スロットかなにかのコインをみせていた。それから針金を使って悪質なやり方もあります・・・

「なるほど・・・」と大人たちは黙って説明を聞いていた。


 ここからさきは小学校3年生が感じたことではない。あれから50年の歳月が流れて大人になって感じたことだ。悪質なプロの手口を紹介して何になるのか?針金や異質コインを使ったのは明らかに詐欺行為だ。詐欺を行うという意図でやったとこだ。


それよりも小学校3年生が針金も、異質のコインも使わずただの10円玉でそれもただ入れるだけで100円にかえたのだ。詐欺行為ではない。同じに考えてもらうようなものではない。それは結果的には同じ行為なのかもしれないが違う。そもそも・・・そんなちゃちな両替機を置いておく方はどうなのだろう?あまりにもお粗末過ぎるのではないだろうか?


だいたいこのきっかけは悪いことをしようと思ったわけではない、偶然10円玉をいれたら100円が出てきたという、いくら昭和の40年代でもあまりにもお粗末過ぎる機械が原因なのだ。それにこどもは影で悪さをしていたわけではない。堂々と大きな声で10円入れたら100円出てくると騒いでいたのだ。デパート側が、気づくのがあまりにも遅すぎる。こどもが発見したのだからいままで散々悪いことをしているやつがいるはずだ。それに対して何も対処していなかったのだ。


 だいたい両替機なのだから入っているお金は最初にいくら入れているかは知らないが、両替をしているのだから常に一定のはず仮にこの機会に1万円はいっているなら何回両替しても1万円のはず、あわなければむしろデパート側が気づかなければおかしいのだ。


 たとえば銀行で10円あわなければどうなるだろうか・・・原因を徹底的に追究するはずたとえ昭和40年代でもだ。それを放置していたのが今回の結果だ。こどもがその原因を教えてあげたのだからまあ感謝しろとはいわないまでも「少年探偵団」が教えてあげたのだ。


「これからどうする?まだお昼過ぎたくらいだし帰る?」

やっと開放されて親といっしょにデパートを出る。

「もう少し遊んで帰ってきてもいいぞ。」

とN君のお父さんが言ってくれた。この3人の親たちは私たちに対して全く怒ることなく、この冒険の続きをまたこどもたちだけで続行させて自分たちだけでさっさと帰ってしまった。

「ええ?いいの?」

「どこいこうか?」みんなに笑顔が戻った。年院が冒険の旅にまた変わった。またなにをやらかすかわからないというのが本音だろうにこともあろうにまた自由にさせてくれた。本当にこどもの気持ちがわかっているのですよね。親になってみてよくわかります。この親たちはきっちり子育てしていた。


「次はS君が提案した・・・ここからK線に乗り換えて、隣にN駅があるのだけど・・・

 あそこの駅ドアが開かないんだ。」

「ドアが開かない?」

「降りる人はどうするの?」

「自分でボタンを押してあける。」

「おもしろそうだな・・・調べにいかないか?」

「よし!次の少年探偵団の指令は『ドアが開かない駅』だ。」


そうしてまた「少年探偵団」の冒険が始まる。


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