第四部 ★序章★
ようやく樹海を抜けた一行。
小さな街で宿をとり安らぐも、水面下では魔銃使いの心を蝕んでいく。
クロトに突きつけられた現状。ニーズヘッグをその身に宿す限り、今の状況を維持することはできない。
何が最善か。ついにはエリーまでもがクロトの事情を知ってしまう。
いつか来る別れ。それは本当に今なのか。
――そして、もう一つの別れの物語が語られる。
それは蛇の記憶。彼が見た、世にも珍妙な者の話。
透き通るが如く、無色透明な者。
【厄災の姫と魔銃使い】第四部 無明華編 開幕
――それは私の日課の一つ。
私は日記を毎日書いています。
理由は、特にありません。ただ、その日を淡々と振り返るのみ。
書かれた分。私が此処にいたことを残す。
誰かに見てほしいとか、誰かに知ってほしいという気はなかった。
私には、そういった親しい存在がいませんので。
――何故かって? それは、皆が私を嫌っているからです。
……皆。たぶん、皆です。
私は皆の迷惑にならないように、一人でひっそり暮らす毎日。
――何か問題でもありますか?
誰しも、嫌いな人とは関わりたくないものです。
なので、私は皆と離れて暮らす。
そうすることで皆が幸せならば、それを維持するのが私にできること。
一人でも大丈夫。何かあっても怖くないし、誰も悲しまない。誰も……、辛い思いをしなくていい。
――でも。そうやって過ごしている間に、一つの変化がありました。
変化は私の日課である日記を彩り、書いている私も楽しくなるという、贅沢でとても嬉しいこと。
それは、こんな私に友達ができたことです。
――どんな人かって? いいえ、人ではないです。
彼は私の事を助けてくれた。そして、とても面白いのです。
面白くて、綺麗で……。一緒にいると毎日が楽しくて仕方ない。
こういうのを幸せと言うのですよね。
私はとても幸せ者なのです。
幸せいっぱいが記された日記。私のキラキラとした日々。
――だけど。それは私の後悔という名の芽を育てていた。
私は全くその事に気付いていなかった。
あれほど一緒にいたのに……。あれほど会話もしていたのに……。
今までの輝いていた思い出が、後悔の気持ちで歪んでしまう。
人生で初めて、失ってはいけない大切なものが穢されていく。
……全部私のせいだ。
愚かな私が……彼を傷つけたという。
最後に犯した……大きな罪。
――お願い、泣かないで。そんな辛い顔をしないで。もう二度と**のが**なんて言わない。**でも誰も*****なんて、馬鹿なこと言わない。だから、……だから…………。




