表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
厄災の姫と魔銃使い:リメイク  作者: 星華 彩二魔
第九部 六章「願いのその先へ」
279/280

「後日談」

 ――ざり……


 靴裏が砂利を擦る。

 音はよく響く空洞。人が立ち入りそうにない場所で、足音と、嗚咽が一緒になってい行動していた。


「うぅ……っ、えぅっ」


「……泣くな。…………気持ちはわかるが」


 一人はまだ若くある黒衣を纏った男性。歩むたびにずれる眼鏡を何度も慣れた指で直す。

 彼の背には灰色の長い髪を一つに束ねた年頃の少女。泣きながら男性の背にしがみつき、「泣くな」の言葉に反発。


「バァクァーーーッ!! 泣くに決まってんじゃんかー!」


 バシッ、と男性の頭を一発叩く。

 更にもう一撃。


「……っ」


「なんで泣かないのが当たり前みたいに言ってんのさ!! 馬鹿! バーーーーカ!! ヘイオスのヴァーーーーカ!!!」


 肩をぐいぐいと揺さぶられて馬鹿の連発。

 ヘイオスはそれらに耐え、反論というものはしなかった。

 彼女の意見は最もだとわかっていたからだ。


「悪かった……っ。だからあまり引っ張るな……」


「ぬぅ……っ」


「……私だって、お前と同じ気持ちだ。…………あり得ないと思った。まさか、あの方が失敗するなど」


「……」


「だからこそ、我々は確かめなければならない。そのためについてきたのだろ?」


「…………ぅん。馬鹿馬鹿言って……ごめん」


 それから少女はおとなしくなったものだ。

 しばらく岩の空洞を進み続けて、ヘイオスはふと足を止めて呆然とした。

 彼の視界には、一面を覆いつくすような紫水晶が広がっていた。


「……此処?」


「そのはずだ。今の場所は元クレイディアント領地にあった地下鉱脈の一つ。まだ中心から離れているから、人体に影響もさほどない」


 少女はヘイオスの背からひょいっと降りて水晶の群れを見渡す。

 

「……これってマナ結晶?」


「あの方は同等の物と言っていたが、急激に成長したマナ結晶なためまともな資源エネルギーを持っていない。これが全てマナの凝縮体なら、人や魔族が変貌してしまうからな」


「ふーん。じゃあ綺麗なだけで安全なんだね。……でも、よく場所がわかったねヘイオス」


「一度だけ来たことがあったからな。……だが、見る影もないな」


 水晶はただこの鉱脈で育ったものではない。

 一部の水晶が何かの建造を模し、崩れた様が見受けられる。まるで、底にはこれらの水晶で作られた何かがあったのだと思わせる。


「本来なら異空間に存在していたはずだが、空間から放り出されたのが人目につかない場所でよかったとも思える。あまり騒がれれば、確認もしづらくなるからな」


「そうだよね! さっさと終わらしちゃおう」


 二人は別れて水晶の瓦礫をのかす。

 探し物があるのか、二人はそれを必死となって探した。


「ヘイオスー。あったー?」


「……いや。あの方もいない。想像はしたくないが、手酷くやられたか…………」


 返事以外は聞こえないように独り言でぶつぶつと呟く。

 余計な発言はまた彼女の怒りをかってしまうと思ったからだ。

 そして、ヘイオスは片耳に手を当てる。


「そっちはどうだ? 何か感じないか? こういうのはそちらが頼りだ……」


 そう呟く。

 すると、ヘイオスの頭で別の声が囁く。


『そうですねぇ……。まだ異空間から放り出されて日も浅いですので、空間の歪が妨げておりますな。少し集中して探してみますので、お待ちを……』


 声はしばらく黙り込み、ヘイオスも声の反応を待つ。

 数十秒間を開け、声は再び語り掛けた。


『ありましたぞヘイオス殿』


「本当か? あの方か?」


『……いえ、申し訳ないのですが。そちらは気配どころか魂すらも感じず。別のなら真っ直ぐ進んで、崩れた柱の下にありましたぞ』


 言葉に導かれ、ヘイオスは前にへと進む。

 崩れた水晶の柱。幾つも重なるそれをどかそうとするが、下に隙間があることに気付く。

 隙間は腕が入るほどのスペースがあり、崩れないかひやひやしつつ腕を突っ込む。


「……」


 左右に腕を振り探る。

 すると、指先が何かに触れ、それをなんとか引きずり出した。

 腕を引っこ抜くと同時に積み重なった柱が一斉に崩れ、割れる音などが空洞で酷く反響する。


「ヘイオス!? 大丈夫!?」


「あ、あぁ……。なんとかな」


 潰されなかったことに胸を撫で下ろす。

 粗方早まった鼓動が落ち着き、ヘイオスは取り出したものにへと目を向けた。


「……これは」


「なにこれ? 破れた…………本?」


 それは確かに破損はしているが本の形をしている。

 表紙は異質とした装飾が施され、中のページの多くを失っている。

 微かに残るページには、なにやら文字が書かれていた。

 二人は文字に目を細める。


「……なんて書いてあるの? 読めない」


「私もだ」


 二人が文字に頭を悩ませていると、それを覗き込んだ様子で声が囁く。


『これは魔界文字ですねぇ。懐かしくある気が……』


『読める……デスよ? 読むデス?』


 各々の頭に響く導きの声。

 二人は頷き、それを頼み込む。


「頼む。もしかしたら何か手が借りがあるやもしれんからな」


「アタシもお願い」


 声は共に了承し、そこに記された文字を読みだす。

 しかし、ページの文字は所々が欠損しており、読めるものだけをどうにか拾い取って行く。



『急げ……、魔女の……遺産…………たち』

『……魔女の認めし…………7つの……遺産……所有者……、……集え』

『【聖杯】…………を……壊……』

『けし……て…………、【呪い】…………解いては…………』

『……終焉…………の…………力……』


『――【厄災……の…………姫】』



 

 世界の終焉は…………まだ、終わってはいない。

 それは、一人の少女によって現実となる……正真正銘の、世界の終わり。 

 

 ――それこそが、星に選ばれし少女の【願い】…………。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ