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厄災の姫と魔銃使い:リメイク  作者: 星華 彩二魔
第四部 六章「団欒六重奏」
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「船上輝星:前編」

「……はぁ~」


 普段から先頭を歩むはずのクロト。 

 だが、温泉の後からクロトは後方でいつものペースで歩けず、酷く疲労した様子を漂わせていた。

 エリーよりも後ろにクロトがいるなどあまり見ない光景であり、度々前の三人は後ろを振り返っては足を止める。


「……クロトさん、どうされたんでしょうか? なんだか前よりも疲れてらっしゃるような」


「うーん。これは酷く重症かしら? 身体的な問題はその内慣れるとは思うけど……。アンタは平気なわけ?」


「ん? ボク全然大丈夫だよ?」


「と、いうことは……やっぱ中の奴に問題ありか……」


 クロトの心身の悩みをそれなりに察したネア。

 ネアは後ろにへとサッと移動する。


「……?」


 クロトの前まで来ると、ネアは彼の肩にポンと手を当て……。


「――ま。慣れるしかないから、頑張んなさい」

「なんだよその哀れみの目は……っ!?」


 ……と。同情したような、哀れみの目で見られる。

 その行動に、クロトはカチンときてしまい、気力なくも反発。

 ニーズヘッグの騒がしさは時間が経つことに酷くなっている。それに付け加えネアの提案に付き合ったばかりに、その勢いは加速。ネアにだけは同情されたくない意思で、手を払いのける。


「……とりあえず、今はまだマシだ」


「悪魔と一心同体だものね。めんどい状況なのはわかるけど、なんかあったら言いなさいよ?」


「ふ……。なんつーか、別の意味で恐れ入った……っていうか……。あまりにも鬱陶しいから魔銃で自殺するぞ? って脅しといた……。最悪自害してたら察してくれ……」


「……重症じゃない。アンタが死にたいなんて思うほどなんて」


 これはネアの予想よりもはるかに厄介な事になっている。

 プライドの高いクロトが、自ら死を望むほど炎蛇との仲が最悪だという事など。

 肉体を共有しているのだから、クロトが自身の魔銃で自害すれば、中のニーズヘッグもただでは済まないだろう。

 視界を失うだけでなく、ニーズヘッグまでも死をしばらく味わう事となるやもしれない。

 その脅しが通用したという事は、その可能性が十分高い。 

 大悪魔すら脅そうとするクロトも大概だが、その疲弊しきった苦笑と遠くを見る目に、ネアはこの事に触れないでおこうと考えた。

 

「……まあ、アンタ置いてったらエリーちゃんたぶん困るだろうから、その時は何とかするけど。貸し作りたくなかったらアンタも慣れなさいよ?」


「もう、呆れと同時に慣れてきてる……つもりだ。だからあんまり気にすんな」


 クロトは頭を振り払い、気を取り直して前にへと進みだす。

 考えすぎると周囲が気にするため、意地でも抱える悩みを抑え込む。

 

「……大丈夫でしょうか?」


「とりあえずは、ね。あんまり気にしすぎるとアイツ余計に苛々するから、そういう時は静かに見守るのがよさそうだわ」


 不安ではあるが、ネアはエリーに忠告をしておく。

 エリーが一番クロトを心配するため、こういった時の対応を教えておくのが一番良い。

 イロハは直観か怒気に敏感なのか、クロトの機嫌が悪い時はなるべく距離をとっている。

 今度は三人が置いて行かれぬよう、クロトを追い歩み始める。







 しばらく平原を進むと、乾いた空気が身を仰ぐと共に、クロトはぴたりと動きを止めた。


「……?」


 空気がガラッと変わったのもあるが、クロトが目を止めたのは、簡易だが進路を妨害する柵だ。


「……」


 左右を見渡す。

 木でできた柵は広範囲に広げられたものであり、その終わりが全く見えない。乗り越える事は可能だが、体を前に出すとそれをネアが止める。

 後方にイロハとエリーを残し、ネアは小声でクロトに声をかけた。


「たぶん、ここから先は進まない方がいいわ。この先は南の国の領域から外れる事になるから……」


「……なるほど。この先はつまり――」


 クロトは平原の地平線眺めた。

 わずかに流れる荒野にも似た乾いた空気。遠くで見える空の陰り。

 南の北にあった国。――中央大国クレイディアント。

 その跡地が、今眺める地平線の先にあるのだろう。

 それを知っていたネアはエリーを後方に預けたのだ。


「前にも言ったけど、今の元クレイディアント王都は人の住める場所じゃない。大気の元素や精霊路、それらすべてが一瞬で消滅したせいで、すごく不安定な場所になっているの。この辺は普通に見えても人体に影響だってあり得るから、近づかない方がいいわ」


「【厄星】……か。まだその影響が残っているとはな。……とりあえず、こっから東に進路を変えるって事か」


「その事なんだけど、この様子だと東への道は徒歩では無理があるわ。たぶん、中央と東を繋いでいるところも通れそうにないもの」


「……はぁ?」


「ついこの前、知り合いの情報でね。東ではこの先の大気や精霊路の修繕回復のために軍が動いているらしいの。精霊路に関しては、精霊使いが多い東の専門分野だわ。元中央領土のほとんどは南に分けられているけど、修繕を条件に東は少しでも領土を取ろうとしてるってわけ。だから、最悪精霊使いの軍と接触することもある。……精霊はいいとして、人にエリーちゃんの存在を知られるのは面倒だわ」


「確かにな……。となると……」


 繋がっている陸地の手前では内海がある。

 近くの港街では中央崩壊以前に南から東への渡り船や遊覧船が出ており、今となっては遊覧船から大型船すらも渡り船として活用されている。

 片道数時間。今の時間から港に向かい、船を利用してもレガルに着くのは真夜中。

 

「船か……」

 

 その予定を立てつつ、クロトとネアは後方で待機する二人のもとへ。

 

「アンタどうせずっと船なんて使ってなかったんでしょ? あっても数人程度の小さなのくらい。……まっ、アンタは客船とか乗りたがらないタイプだものね。仕方ないから我慢なさい」


「うるさい」


「どうされたんですか? ひょっとして進めないんですか?」


「そうなのよエリーちゃん。困っちゃうわよねぇ。……クロト、もう船しかないから、港街に行って海を渡りましょ?」


 ――海?

 キョトンと、エリーは首を傾ける。

 

「あ、海に行くの?」


 イロハはパッと表情を明るくさせ話に参加。


「……まあ、それが最善だろうな。……久しぶりの海か」


「海ならお姉さんは綺麗な砂浜ビーチがいいんだけどぉ、仕方ないわよねぇ。ちなみにお姉さんもレガルには用があったから、特別に船代くらいは奢ってあげるわよ」


「ボクも海見るの久しぶりがな~。結構風が気持ちいいんだよっ」


「内海ならそこまで潮はきつくないだろうし、まあ、マシか……」


「ねぇねぇっ、船は私が選んでいいわよね! いいのにしといてあげる!」


 普段からいがみ合う事の多い三人だが、この時はなにやら楽しそうだとエリーは感じた。

 しかし、エリーは三人をキョロキョロと見渡し、戸惑った様子。


『海かぁ。俺も何年ぶりになるか……。いや、累計で行くとそろそろ100年近くか?』


『長時間は髪が痛むから好みはしないが……、まあ、気晴らしに景色を堪能するのも悪くない』


 不思議と、興味を示したニーズヘッグとフレズベルグの声も聞こえてくるようだ。

 皆が気を引くと同じようにエリーも興味がある。

 しかし……、しかし……。

 

「……あ、あのっ、皆さんっ」


 ついにエリーは、躊躇いながらも三人と、聞こえているだろう悪魔二体も含め声をかける。

 一同が振り向く。そして少女は、一同が想像もしていなかった言葉を発した。





「――あの。『うみ』って……なんですか……?」






 



 …………。

 先ほどまで会話をしていた三人と、二体の悪魔は一時的に言葉を失う。

 

『……マジかよ、姫君』


 意外。想定外。

 エリー以外の誰もがそう思った事だろう。

 どう言葉を返してよいかわからない。その事から、誰もが次に出す言葉に悩み、しばらくの沈黙が続いてしまう。

 その仕草が、エリーの不安を与え、恥ずかしさに顔を赤らめて狼狽。


「えっ? ええ!? ……ひょっとして私、変な事を聞いてしまいましたか!? ……知ってないと、いけない事でしたか!?」


 驚くエリー。続いてネアは気が動転させつつ、エリーを問い詰める。


「エリーちゃん大丈夫!?」


「だ……大丈夫です……っ」


「どこかで頭打った!?」


「……打ってないですっ」


「あのバカが知ってるのよ?? 海よ、海!!」


 これでもかと、ネアはイロハを指差しする。

 悪意はないはずなのだは、イロハはそう強く言われるとショックでしかない。


「お姉さん、またボクの事酷く言ってる……」


『まさか海を知らぬ愚か者がいようとは…………、んんッ、失礼』


 フレズベルグもボソっと口ずさみ、後に咳払いまでも。

 

「……お前、本当に海を知らないのかよ?」


 何かの間違いではないか。聞き間違いなどもあり得るという希望をほのめかすも、エリーはクロトの問いに首を横に振る。

 

「し……知りません……」


 ここまで聞いて「知らない」と言い張るのだ。本当なのだろう。

 確かに、これまで旅で海を目にすることはなかった。荒野に山に平原。舟を使っても川程度。

 だが、あり得るのだろうか?

 海など、子供でも知っている一般常識の一つ。世界の誰もが知りえる常識をエリーは「知らない」の一言で終わらせてしまうなど。

 エリーには再開する前の記憶がない。だが、記憶がないだけであって知識はあるはず……。

 そう、思っていたのだが……。


「やっぱり、知ってないとおかしいんですか?」


 不安混じりの目がクロトに向く。

 それから目を反らし、クロトはまた黙ってしまった。

 

「やっぱりそうなんですか!?」


 その行動だけで、エリーは自分のこの無知がどれだけ深刻かを痛感させられた。

 これに黙ってられないのか、


『姫君、海だぞ! そこに行けば、姫君の「あんな姿」や「こんな姿」が見れるんだぞ!!? そこが例え天国だろうと悪魔の俺は絶対に行く!!』


 と、ニーズヘッグまでもわけのわからぬ事を言い騒ぐ。

 それはもう、悔しそうに羽衣をビシビシと地に叩きつけながら。

 とりあえずクロトは「黙ってろ」と流す。

 

「……うぅ、すみません。でも、『うみ』ってなんですか?」


 落ち込みながらも、エリーは再度問いかける。

 とりあえず、各々から様々な意見がでた。


「うーん、しょっぱい水がいっぱいある……場所? おっきな水たまり? とにかく水がいっぱいな場所」


『もはや知識不足な子供の発言ではないか。……いや、そうだったか』


「馬鹿の言葉は無視していいわよエリーちゃん。海っていうのは……そうねぇ。広い場所で、青くて綺麗なの。波があって、川とは全然違って……」


「お前もさほどイロハと変わらねぇじゃねーか……」


『海ってのはな姫君。とにかく姫君を愛でれるスポットで――』


「黙ってろクソ蛇」


『……あ、はい。すいません』


「もう! そこまで言うならクロトが説明してみなさいよ!」


 文句ばかりのクロト。

 さぞ理解しやすい説明ができるのかと、ネアはクロトに説明させようとする。

 


「……海って言うのは大陸以外の世界の一部で塩分を含んだ水、塩水で満ちている──」



「『そんな辞書みたいな説明する奴初めて見たわ!!』」


 クロトの説明に対し、ネアとニーズヘッグが同時につっこむ。

 まさかの息ぴったしな発言に、クロトは目を見開いて黙り、何がいけなかったのかと考えつつ咳払い。


「……まあ、とりあえず実物見た方が早いだろうが。見て知れ」


「わ、わかりました……」


 確かにそれが一番だ。

 実物を見て体感し知ることが最も効率的である。

 再度一行は、港にへと進路を変え歩き出した。


   ◆


 歩き続け、クロトたちが港街にたどり着いたのは夕刻前となる。

 広すぎず狭すぎず。遊覧船を楽しむための宿泊施設を充実させた街。今はクレイディアント崩壊の事件もあり、客数は激減している、らしい。

 ちょうどレガルに渡るための船も本日最後のためか、それともただ単にこの時間帯が問題なのか……。理解に苦しむほど客数は多く感じられた。

 渋々、仕方なく。クロトたちはその船を利用しなければならない。

 もしくは翌日を待つかだが、早く済ませてしまいたいという気の焦りもあった。

 乗船してからも、クロトは後悔の様に「どうしてこうなった」と、上の空。


「まっ、仕方ないわよね。これしかないだもの」


 甲板の隅で居座るクロトの隣で、ネアがそう言う。

 その船は元遊覧船として活用されていた大型のもの。今は渡り船として利用されているが、クロトにとって見るに堪えない嫌悪感抱く内装。

 速度を重視しないこの船は客を飽きさせぬために様々な設備が備わっている。

 プールが設備された広い甲板。中には煌びやかなホールルームがあり、食事から社交ダンスまで可能。もちろん、娯楽施設も完備。それを目当てにか客船を楽しむ浮かれた人種も勢揃い。

 おそらく港で出されていた最高級の豪華客船だ。

 そこまでのものを誰が求めた。と、クロトは痛む頭を抱えたくなる。

 

「……なんでこうなった」


「だから、仕方ないって言ってるでしょ? この速度だと予定よりもちょっと遅くに着くかもね。……まっ、ゆっくりしましょうよ」


「周りが鬱陶しい……」


「我慢なさい。それにしてもエリーちゃん、すごくご機嫌ね」


 甲板ではエリーとイロハが一緒になって動き回る。

 これほどの大型船もあるが、それよりもエリーの目を引いたのは……


「わぁ~っ。これが、()なんですね!」


 夕刻前もあり、話にもあった青い景色に星の瞳が輝く。

 地平線まで続く青い海。その広大さに感動すらあった。


「すごいですね、イロハさんっ。こんな素敵な場所があるなんて、私初めて知りましたっ」


「あ! ほら、姫ちゃんっ。魚がいた! あっ、あっちにも!!」


「あんなにいっぱいのお魚さんを見るのも初めてです」


『……はしゃぐのは良いが、頼むから姫が落ちぬようにだけはしてくれよ?』


 他の客など目もくれず、エリーはその景色を堪能。

 その姿は大袈裟な気もするが……後になってそれも当然とすら思えてくる。

 ――エリーは、本当に海を知らなかったのだから。


「本当に知らなかったのね、エリーちゃん。すごく嬉しそう」


「記憶がないとはいえ……、おそらく当初から海を知らなかった……。そう言いたいんだろ?」


「そうね。記憶と知識は別物。あの子は記憶がなくなる前から知らなかった。……そうかもしれないのよね。思えばあの子は、元々外に出る事すらなかったんですもの。だったら、余計な外の知識は教えない方が賢明な判断よね」


 今目に映るエリーは常に日常となってしまっているが、実際エリーという存在が世界にとって害悪でしかない。

 物心をついた頃から城の中で閉じこもり、その姿すら出すことができず。周囲に怯え、呪いを抱えて苦悩の日々を送る。他国だけでなく、自国からも危険視された【厄災の姫】。

 何も知らず、知ろうとせず。外はただの恐怖でしかないと、そう生きてきたのだから。

 ……いや。その城ですら恐怖でしかなかったかもしれない。

 

『ひでぇ話だな。姫君はなんも悪くねぇのに……』


「……ネア。お前はあの国を知ってるのかよ?」


「…………王都へは二回ほど仕事で行ったくらいよ。賑わってて、平和で……。何の変哲もない、素敵な国。……でも」


「――お前の()には、どう見えたんだよ……?」


 その見極める目で、ネアはどう感じたのか。

 ネアは目を細め、空を見上げる。


「……民と兵士は内心怯えているように見えたわ。……たった一人の女の子に。守るべきはずの女の子に」


 結局、本来のエリシア・クレイディアントという姫の居場所は自室ではなく、彼女を受け入れた両親のみだったのだろう。

 その片割れの存在を奪ったのは…………。

 当の魔銃使いにとって、その事実に嘘偽りはない。本人にも直接伝えた。

 罪悪感よりも、それを知って尚共に行動するエリーの思考には、未だ理解できないところがあった。


「あんなふうに笑っているあの子は、今幸せなのかしらね。……なんでアンタとでなのかは、全然わかんないけど」


「うるさい。……俺だって知らねーよ」


「クロトさん、ネアさん! すごいですよ。海ってすごいですね!」


 理解に苦しむ存在が目の前まで来る。

 そのこの世のものとは思えない星の瞳は、エリーの心情に合わせてキラキラと輝いていた。

 しかし、途端に妙な視線がクロトたちにへと向く。

 それは周囲で楽しんでいたはずの乗客たちだ。

 何をそんな目で見ているのかと、クロトは確認する。

 ……が。すぐに答えが視界に入り、クロトは身を立たせてそれを睨む。


「おい、イロハ……っ」


「え? なに??」


 原因はイロハだ。

 その理由は一目瞭然。その背に黒翼を広げていたからだ。

 それを見た乗客たちはざわついていた。

 気づくのが遅れたのは失態だが、すぐにその翼をしまうようにさせる。


「お前、なにこんなところで――」


 手を引き、船の上に立たせる……と。


「――ッ!!? うっわわわわぁあああ!!! 何するの先輩ぃ!!?」


 イロハは手を振り払い、逃げる様に上昇。手の届かぬところにまで行ってしまう。

 余計にざわつく乗客。これは魔族と勘違いされてもおかしくない。

 焦ったネアまでもイロハに怒鳴る。


「ちょっと! 降りてきなさい!!」


「い、嫌だよ!! なんで降りなきゃいけないのさ!?」


 強情なまでにイロハは反発する。あのネアにでもだ。

 船に立つことを拒む姿に、クロトはピンとくる。


「……まさか、お前。船に乗れないのか?」


「う……っ」


 図星の様に、イロハは顔を反らす。

 確かにこれまで徒歩ばかり。舟も一時期あったが、イロハは一度もそれを利用していなかった。その翼で浮遊し、舟を引っ張っていただけである。

 これもまた想定外だった。


「だ、だって! 変に揺れるし……、ボク、これなんかやだっ」


「いいから降りてきなさい!! こっちが迷惑するじゃないの!!!」


 強く指示するネア。

 ビクッとイロハはネアの怒気に怯むも、あたふたとし……そして。


「や……、やだぁ!! お姉さんも先輩も酷いよ!!」


 そう言い切り、イロハは船から離れて行く。


「ああ! イロハさん……!?」


 最後にエリーが呼び止めようとするも、それは届かず。

 夕日が沈み、黄昏に染まる海に黒い羽根が舞い散る。

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