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二話 守れ!兄弟の絆

 

 レッドはカイ少年から村に招待されると、近くまで来ていたブルーと合流して三人で村まで向かう事になった。


「なあなあ、ブルーの兄ちゃんも変身できるの?」


 ブルーは思わずレッドを見つめると、レッドは大丈夫だとでもいうように頷いていた。


「ああ、でもみんなには内緒だぞ」

「もちろんさ、だって僕はタムレンジャーの秘密隊員なんだから」


 いつのまにそんなものになったのだろうか、レッドも驚いている。やがて村に到着した。


「カソッタ村っていうんだ。みんないい人ばっかなんだぜ」


 そういってカイは自宅ではなく村長の家に案内した。


「兄ちゃんたちここに住みたいんだろ?だったら村長の許可とかいるんじゃないのか?」


 カイの言葉に感心した二人は村長の家に向かい、カイに紹介してもらうと家に招かれた。


「それでどちらからいらしたのですかな?」


 ブルーが答える。予め設定を考えていたためスラスラと言葉が出ている。

「実は私たちは森の奥で木細工を作っていまして、行商の方にいろいろと工面してもらって何とか生活していたのです、ですが……」


「最近は怪人が増えてしまいましたからな……、それで王都へ行こうと?」


 頷くレッドとブルー。


「森の奥に住んでいたのならご存じないかもしれませんが、怪人が増えた影響か王都では規制が厳しくなっていましてな。よそ者が住むのは難しくなっているのですよ」


「そうなのか」

 レッドは気落ちしている。


「コホンっ、それでですな。この村に住むのはいかがですかな?村の外れになりますが丁度空き家もありますし、後で戸籍も差し上げますよ。戸籍があれば王都に住むのは難しくても入るのには困らないでしょうな」


「いいのですかっ!?いやしかし、それは大丈夫なのですか?」

 願ってもない好条件に声が弾むブルー


 村長「ええ、われわれのような小さな村ではそう珍しくないので」


 レッドとブルーは向き合って頷くと、村長に向かって元気に答えた。

「「よろしくお願いします」」


 空き家に向かいながらレッドは疑問に思っていたことを口にした。


「なんであんな簡単に家を貸してくれるんだろうな?」

「うーんなんでだろうな、でも村人を見てると年配の人が多かったから、若い人が欲しかったとか?」

 ブルーにも分からなかった。


 やがて空き家に着いた。建物はしっかりしており四人で暮らすのにも充分な広さがある。さらになぜか地下室があり、少し広げれば予定していた地下秘密基地を作れると判断した。二人がモモカと博士に連絡をいれて外に出るとカイが待っていた。


「実は僕さ、頼まれた仕事をほっといて外で遊んでいてゴブリン男に見つかっちゃってさ。兄ちゃんたち一緒に僕んちに来てくれよ。母ちゃん怒るとすっげぇ怖いんだぜ」


 そういわれてレッドとブルーはカイの家に向かい中に入るとカイの母マーヤが出迎えたくれた。


「カイっ、あんたいったいどこをほっつき歩い……、あらやだお客さんかい?」

「へへっ、母ちゃんただいま」

「あんたゴスルに合わなかったかい?」


 カイの兄ゴスルは、カイがいつまでたっても戻ってこないので探しにいったが、まだ戻っていないというのだ。辺りはすでに暗くなり始めていた。


 レッドとブルーは自己紹介してゴスルを探しに行く事を提案する。マーヤに頼まれるとレッドはすぐさま飛び出し探しに行った。ブルーは詳しい話を聞くために残ったようだ。


「ゴスルってのは、この子の二つ上の兄でしてね……」




 一方ゴスルは、幼い頃にカイと遊んでいた洞窟の秘密基地にやってきていた。すこし中に入ってみるとなにかが一斉に光りはじめた。


「コウモリだ」


 ゴスルはコウモリに気づいてすぐに引き返し洞窟を抜けて森を走っていたが、突然現れた何かにぶつかって尻もちをついてしまう。ゴスルがゆっくりと顔をあげるとそこには、大木の枝に逆さまにぶら下がっている怪人吸血コウモリ男が立ちふさがっていた。





 カイ達から聞いて洞窟の近くまできたブルーは、気を失っているゴスルを抱えているコウモリ男を発見すると、ゴスルを助けるために両腕を交差させた。


「クロスフラッシュ」


 小さな声でそう呟くとタムレンジャーに変身した。突然の光に驚いたコウモリ男にブルーが迫る。しかし洞窟からコウモリが一斉に飛び出してきてブルーの視界を奪うと、その隙にコウモリ男は洞窟に逃げてしまった。


 ブルーが後を追って奥に進むとそこにはコウモリ男とコウモリたちが待ち構えていた。暗闇の中で、手下のコウモリにまぎれて正確に攻撃してくるコウモリ男。狭い洞窟で強い攻撃をしたら洞窟が崩れてしまうかもしれない、そんなことを考えているのかブルーはなかなか攻撃をださない。


 しかしブルーに焦る様子はなかった。コウモリたちの攻撃は変身したブルーにとって問題ではなく、コウモリ男はコウモリの動きにまぎれて常にブルーの後ろから攻撃してきていたのを把握したからだ。


「ならば」


 それは一瞬の出来事であった。コウモリ男の牙がブルーの首筋に触れた瞬間、タムレンジャーの中で一番のスピードを誇るブルーは高速で降り向き下から拳を突き上げた。そして落ちてきたコウモリ男に対して再び攻撃を繰り出すのであった。主を失ったコウモリは我さきにと洞窟を飛び出し、新天地を求めて旅立って行った。



 ブルーはゴスル少年を連れて村まで戻った。ゴスルは母親に心配かけたことを謝り、母親はゴスルを抱きしめた。そこに走り回ってクタクタのレッドが息を切らして帰ってきた。


「ごめん、まだ……、ああ、見つかったのか、良かった~。」


 安心したのか、へたりこむレッド。


「何も聞かずに出て行くからだ、レッド。情報収集は基本だぞ」

「そうだぞ、レッドの兄ちゃんは慌てんぼだな~」

「あんたもでしょ、カイ」

「えへへへ」


 母マーヤにたしなめられて照れ笑いするカイを見て一同は大笑いするのであった。


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