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その97 リュートはハングリーみたいです

「キュイ! キュイー!」


 リュートが俺の方を見ながら何かを訴えている様に見える。


 多分食事を寄越せと言っているんだろう。


 リュートを放置しながら俺と二アだけ食事をしているのを見て、気に食わなかったのか、その顔は怒っている様にも見える。


「悪い、悪い」


 干し肉が入っている袋の入口を開けて、リュートの分を取り出そうとすると、俺が取り出すのを待たず、リュートは袋の中へ顔を入れて干し肉を食べ始めた。


「ちょ、ちょっと! 止めろって!」


 必死にリュートを袋から引き離そうとするが、俺の力ではビクともしなかった。やはり通常モードの俺の力では役に立たない。


 そのままリュートはひたすら干し肉を食べ続けている。


 中が見えないのでどれだけ残っているかは確認できないが、このまま全て食い尽くしそうな勢いだ。


 暫くするとリュートは袋から顔を出し、満足そうな顔を見せている。袋の中身を確認すると中は空っぽになっていた。


「リュート!」


「キュイ!」


 俺はリュートを叱ったが、リュートに反省をしている様子はない。それどころか嬉しそうな顔をしている。


 こんな状態で、本当にリュートと従魔契約することなんて出来るのか? 俺がリュートと契約出来なかったら、二アと魔物召喚契約をしてもらうことも考えなければ。


 何となくだが、ニアならリュートと心を通じ合わせることは簡単に出来る気がする。


 シルキーの背に乗って走りだしてから何時間くらい経過しただろうか? 辺りは完全に暗くなり、俺の目では周囲をハッキリと視認することが出来ない。


 シルキーが全く恐れることなく走っているということは、夜目が利くのだろう。


 暗くなり、更に走り続けていると前方に灯りが見えてきた。


 いくつもの建物も見える。どうやら目標に到着した様だ。


 馬車では明日の到着だったことを考えると、シルキーのスピードはかなり速い。聖獣の名は伊達ではない様だ。


 街の周りは[ヤブン]の様に柵に囲われていて、一ヶ所だけ柵が切れている場所があり、そこには槍と鎧を装備した男の姿が見える。


 流石にユニコーンに乗っている姿を見られたらマズそうだ。


 街には灯りがあるので、こちらからは入口の様子がハッキリと見えるが、相手からはこちらの様子は見えていない。


「シルキー! ここで止まってくれ! 流石に街に近付きすぎるのはマズい!」


「何故、私が人間の言葉を聞かなければならないのですか?」


 シルキーにスピードを緩める気配はない。流石にこれ以上接近したら見付かってしまう。


「シルキー止まりなさい!」


 ニアが命令をすると、シルキーはまるで急ブレーキでも掛けたかの様にピタリと止まった。


 シルキーの力が働いていなければ、停止した勢いで大きく前方に飛ばされていたことだろう。


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