表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

82/269

その82 騎士とか偉いんですか?

 御者に言われ、チラッと外を見ると馬に乗り武装をした男達6人が馬車を取り囲んでいた。


 正面にいる男が1人だけ高級そうな鎧を身に着けている。おそらくこの男が指揮官だろう。


「騎士様。一体どうしたのでしょうか?」


 御者が丁寧に指揮官らしき男に対応をしている。どうやらこの6人によって馬車が止められた様だが、その理由に関しては全く見当が付かないようだ。


「牢から逃げ出した10歳くらいの少女を探しているのだが、この馬車に乗ってはいないか?」


 この馬車に乗っている10歳くらいの少女というと、アンナくらいしか居ないが、流石に牢から逃げ出した少女には当てはまらないだろう。


「馬車には1人少女が乗っていますが、騎士様が探している様な少女ではないと思いますが...」


「乗っているのか? だったら馬車の中を確認させて貰うぞ」


「で、ですが...」


「御者の分際で私に逆らうのか!?」


 男は拳を握ると御者の頬を殴った。殴られた御者の顔が横に揺れ、そのまま地面へと倒れた。


「ううっ...」


 御者を殴った男が馬車の後へ回り込み、中が見えるように幌をめくり上げた。


「ほぉ。その少女のことか。おい! お前! こっちへ来て顔を見せるんだ!」


「お、お母さん...」


 アンナは怯えながらジェシカに抱き付いていて、男の元へ行こうとはしない。


 いきなり知らない男に大きな声でこっちへ来いと言われても、怖くて行きたがらないのは当たり前だ。


「アンナ。大丈夫よ・・・」


 ジェシカは怯えたアンナを落ち着かせている。


「早く来ないか! 貴族の私にこんな汚い馬車に乗れと言うのか!?」


 何だコイツは...。騎士とはこんなクソみたいな人間なのか? どう考えてもこの男の態度は子供に対して相応しい態度ではない。もう少し聞き方というものがあるんじゃないのか。


 グレン、バウアー、ハンスの3人も男に対して何も言わない所を見ると、騎士には逆らっては駄目だという法律があるのかも知れない。


「少し待って下さい! アンナ。大丈夫だからね」


 ジェシカがアンナを抱き抱えて男の前まで連れて行くと、男はまじまじとアンナの顔を確認している。


「ちっ! 別人か。さっさと私の所へ来ていれば良いものを、私の貴重な時間を無駄にさせるんじゃない!」


 男はアンナを突き飛ばすとアンナは馬車の床に倒れ込んだ。


「うえーん!」


 床に頭を打ち付けてアンナは泣き出してしまった。


「アンナ!」


 ジェシカが心配そうな顔をしてアンナを抱き起こした。


 アンナが突き飛ばされたのを見ていたリュートが男に向かい突っ込んで行く。


「キュイ! キュイー!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ