その74 雷に打たれるのは痛すぎます!
「キシュゥゥゥ!」
サンダーブレスが直撃したヒュドラの頭は感電して黒焦げになった。これが逆だったらと考えると俺には恐怖が走った。
今の攻撃でサンダーブレスを吐く頭が潰れていれば良いが、確率は1/4だ。1つ頭を潰されたヒュドラが激怒しながら俺に向けて3つの口を開いた。
「やばっ! 流石に3つ同時はマズいでしょ!」
俺はヒュドラに背を向けた状態で、首だけ後を向きながら全力で逃げた。
ヒュドラが放ったブレスは炎のブレスと氷のブレスと真っ黒なブレスだった。真っ黒なブレスがダークブレスかポイズンブレスだとすると残りがサンダーブレスを吐く頭か、もしくはさっき潰した頭がサンダーブレスを吐く頭の筈だ。そんなことを考えながら逃げていたが、逃げるスピードよりもブレスの接近スピードの方が早く、俺は背後から3種のブレスを受けることになった。
「うわぁぁぁ!」
背後からブレスを受けた俺は5m程前方に吹き飛ばされた。
「くっ、くうぅぅー。痛ってぇ!」
そこそこのダメージを受けた気がする...と言うことはさっきのがダークブレスか? 今の俺が耐性がないのが雷と闇に対してだけだ。だが、これで残りの頭を潰せば危険なサンダーブレスを受けることはなくなる筈だ。
『サンダーブレス!』
俺は右手を開き、ヒュドラに向けてサンダーブレスを放った。
俺が放った電撃はヒュドラの頭へと直撃をした。
「よし!」
俺は勝ちを確信して拳を握りしめたが、それはぬか喜びだった様だ。電撃を受けた筈のヒュドラの頭にダメージを受けている形跡がない。もしかしたら雷属性を使う頭には雷属性が効かないというオチか!? 俺がうろたえていると電撃を受けた頭が口を開いた。
「嫌~な予感がする...」
ヒュドラはサンダーブレスを吐き出した。
動揺をしていた俺はサンダーブレスの直撃を受けてしまった。
「ぐがががが!」
物凄い痛みと痺れが身体中に走った。あまりにも痛みが強すぎて、まるで身体がバラバラにされているかの様な感覚になった。
痛みに意識が飛びそうになるが、ここで意識を失っては俺に待っているのは死だ。
身体の痛みを堪えて、必死に両手をサンダーブレスを放った頭以外の2つに向けた。
『サンダーブレス!』
両手から放たれた電撃はヒュドラの頭2つに直撃して頭を黒焦げにした。
これで残るヒュドラの頭は2つ。サンダーブレスを吐き出した頭に集中していた俺は、どちらが危険な頭なのかも追っている。今の状態でサンダーブレスを受ければ確実に死んでしまう。
俺には次にブレス攻撃が来たら試してみたいことが1つあった。




