その57 女性は大切にしましょう!
馬車の中の女達とはおそらく、ジェシカ、リンダ、アンナの3人のことだろう。アンナに関しては分からないが、盗賊が女を求める利用何かは大体想像が付く。
「ふざけるな! 貴様らの様な人間に、大切なリンダを渡せる筈がないだろう!」
グレンがドルムに対して激怒している。ひょっとしたらグレンとリンダはパーティーメンバーと言うだけではなく、特別な関係なのかも知れない。
「それは残念だな。断るならお前らを皆殺しにして、女達を連れて行くだけだ。どうせなら死人が出なくて済むように、優しさを見せたつもりだったのだがな!」
再びハンス達とドルム達の戦いが再開された。
近接戦闘をしている3人に対して、ハンスにはドルムの1人が相手をしているが、残りの2人にはそれぞれ盗賊が2人づつ付いている。後方からリンダの魔法で1対2の戦いでもギリギリ耐えているという状態だ。
ん!? 残りの盗賊達は何所に行ったんだ? 現在戦っている盗賊達は5人だが、実際の数はその倍くらい居た筈だ。辺りを見渡すと2人の盗賊がリンダの背後から襲い掛かろうとしていた。
「リンダさん! 後ろ!」
俺の声に反応して、リンダが咄嗟に後ろを振り向くと、直ぐ目の前に2人の盗賊がいた。
『ファイヤーボール!』
リンダが放った炎の魔法は1人の盗賊に当たると、盗賊の身体を燃やした。
「ギャァァァ!」
盗賊の1人は身体を焼かれ、その場に崩れ落ちた。
「このクソアマがぁ!」
「キャァァァ!」
リンダはもう1人の盗賊に捕まり、完全に身動きを封じられている。この状態では魔法を使うことなど到底無理だろう。
「ドルムの兄貴! この女にバッシュの奴がやられました! 許せないんで、この女殺しても良いですか!?」
「イ、イヤァァァ!」
男は持っていたナイフをリンダに向けている。バッシュと言うのはファイヤーボールを食らい身体を焼かれた男のことだろう。仲間を殺されたことで怒りが収まらない様だ。
「駄目だ! 女は貴重な商品になる! もちろん俺達がタップリと楽しんだ後の話だがな。お前には一番最初に味合わせてやるから、ここは我慢しろ!」
「...くっ、分かりました...」
ナイフはリンダから遠ざけられたが、相変わらず身体は押さえつけられている。
「リンダァァァ!」
グレンがリンダの元に行こうとするが、盗賊2人を相手にしているため、中々移動をすることが出来ない。しかもリンダからの援護がなくなったことにより、盗賊達に押され始めている。
あれ? これで7人だよな? 盗賊達は後3人くらい居た筈だが、残りは何所へ行ったんだ? 俺がそう思っているといきなり盗賊3人が俺の目の前に現れた。
どうやら死角から馬車に近付いてきていたようだ。




