その5 ユニークスキルの効果が謎なんですが?
「〖五十歩百歩〗? 今までに、そんな名前のスキルは聞いたことがないな...。ユニークスキルということは使用者は、お主だけしか存在しないスキルになるぞ。だが、いくら特殊なスキルを持っているとしても、そのステータスではな...」
王は俺のステータスを見て、明らかに落胆をしている。それもそうだろう。四天王を倒す為にわざわざ異世界から召喚した人間が、この国の人間を遥かに下回るステータスだったのだから。
まぁ、俺の場合は召喚されてこの世界に来た訳ではなく。無理矢理この世界にやって来ただけだが...。先程までは絶望に打ちひしがれていたが、ポジティブに考えることにしよう。今のステータスはLV1のステータスであって、LVが上がったらガンガン強くなるタイプの人間かも知れない。
それこそLV99になったらクラスチェンジで、勇者になる的な、隠し要素がある可能性も0ではない。
心の何処かでそう思わなければ、やっていけない気持ちもあった。
「ともかく、そなた達には半年間で強くなってもらい半年後には、それぞれが四天王を倒す為に旅立って貰わねばならん」
半年か...。村人ならLVも上がりやすい筈だ。半年後には、俺も慎吾達と同じ強さになるように努力をしなければ。
「シオンよ。異世界召喚は年に一度しか出来ぬ。悪いがお主には、元いた世界に戻れる時が来るまで1年間、城で生活をしてもらうことになる」
え? 何でそう言う流れになっちゃってるの? 俺だけ1年のほほんと暮らして、慎吾達が魔王を倒した後に一緒に帰るってことだよね? そんなの絶対に嫌だ! 俺はこの世界では英雄になるんだ。
「王様、私も半年間LV上げをして四天王と戦いたいと思っています! 仮に今は非力でもLVが上がれば、私も強くなれるかも知れません」
「ふむ...」
王は少し悩んでいる。後一歩押せば行けそうだ。
「王様に聞きたいのですが、何故半年後なのでしょうか? そして僕達が3人バラバラに四天王と戦う必要はあるのですか? 3人で1人づつ倒していった方が確実なのでは?」
慎吾は頻りに3人と連呼する。アイツの中で俺の存在は完全になくなっているようだ。
「今でも侵攻はされておるが、それは一部の魔族によるものだ。魔族全体で、本格的にタリアに侵攻をして来るのが半年後とされておる。四天王の根城はそれぞれ東西南北にあってな。侵攻を食い止めながら奴らの元へ進むことになるので、4カ所を同時に攻めなければいけないのだ」
なるほど。半年間で出来るだけ強くなって、侵攻して来る魔族を倒しながら逆に、こっちから四天王の城へ攻撃を仕掛けるという訳か? それって、かなりの数の魔族と戦うことになるんじゃ...? 1人でどうこう出来る問題ではない様な気がする。
「わかりました! それで僕達はどうやって強くなれば良いんですか!?」
分かっちゃったのね...。慎吾は勉強は出来るくせに、こういう時は頭が回らない印象がある。普通なら1人で魔族の軍勢と戦うとか、ネズミが1匹でライオンの群れに向かって行くようなものだ。
「お主達には冒険者ギルドで、冒険者登録をしてきてもらいたい」