表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/269

その45 店主が恐いのですが

辺りはすっかりと暗くなっていた。この世界に時計が存在しているのか分からないが、この暗さは一般的に夜と言われる時間で間違えはないだろう。そう言えばお腹も減ってきたな...。


 普段なら帰宅後は、母親が買ってきた大量にあるスナック菓子を食べながら、ゲームをするのが日課だった俺には、昼から何も食べていないという状況は久し振りだった。


 宿屋で食事が出来るのか分からないが、もし食事がないようなら適当に飲食店でも探せば良いだけだ。


 宿屋を目指し街の東に着くと、アイザック亭と書かれた看板の付いている大きな建物を発見した。


 建物は宿屋という割にはあまり大きな作りではなく、部屋があるとしても精々6部屋くらいが限度な気がする。もし食堂なんかも付いていたら更に部屋数は少ない筈だ。


 入り口の扉を開けて中に入ると、直ぐ目の前にカウンターがあり、部屋の中には右に進む通路と左に進む通路があった。カウンターの中にはモヒカン頭の男性が立っている。


 男性はかなりガタイが良く、身長は190㎝近くはあるんじゃないだろうか? 客商売とは思えない程無愛想な顔でこっちを見ている。


「あのー、一泊してたいのですが、部屋は空いていますかね?」


「あ? 一泊したいってのはお前とドラゴンの話しか?」


 男性は恐ろしくガラの悪い喋り方をしている。世紀末に現れる様な人間の髪型をして、そんな喋り方をされたら客にとっては恐怖でしかない。


「はい。俺とリュート...いや、このドラゴンと一泊したいのですが大丈夫ですかね?」


 そう言うと男性は俺達の方を舐め回すようにジロジロと見ている。制服は着替えたので異世界人だとは分からない筈だが、ドラゴンを連れていることが気になる様だ。


「良いぜ! その代わりに料金は特別料金になるぞ? ドラゴンの大きさは平均すると、人間の5倍の大きさになる。だから料金も人間の5倍頂くことになるが、大丈夫か?」


 ボッタクリだ! 確かにドラゴンは俺の6倍近い大きさだったが、リュートに関しては30㎝程の大きさしかない。それで人間の5倍の料金を請求するとは、ボッタクリも良いところじゃないか! だが、他の宿屋でリュートを泊まらせてくれる宿があるとも思えない。それが分かっているから足元を見られているんだ。


 ユニークスキルの回復効果も考えて、宿屋に泊まらないことも考えたが、お金は充分にある。今日はゆっくりと休みたいし、6人分の宿代くらいなら払っても問題はないだろう。


「それで大丈夫です。お願いします」


 俺がそう言うと男性はニヤリと微笑んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ