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その42 ラ・フランスとか梨ですよね?

 ニーナに聞いた通りに、ギルドを出て少し奥に進むと、洋服屋の看板が付いている建物を見付けることが出来た。道行く人達は相変わらずリュートを見ると怯えているが、気にしないことにしよう。怯えられたところで今の俺に出来ることは何もない。


 俺はリュートを連れて洋服屋に入ると店内に客の姿はなかった。縦に数本、木で作られた棒の様な物が立てられていて、棒と棒の間には物干し竿が掛けられている。更にその物干し竿にハンガーの様な物が取り付けられていて、そこに洋服が掛かっている。店内の洋服を全て合計しても100着チョイにしかならないだろう。


 この世界の洋服屋ではそれくらいが当たり前なのか、たまたまこの洋服屋が数が少ないのかは分からないが、服なんて着れれば何でも良いと思っている俺には関係のない話だ。


 部屋の奥には試着室も用意されていて、試着室の隣にはカウンターが設置されている。


 カウンターの中には、お洒落なスーツを着込んだ男性が立っている。カウンターの中に立っているということはこの男性が店員の筈だ。


 俺は話をする為、カウンターの前へと向かった。


 カウンターの前に立つと、男性は驚いた顔をして俺のことをジッと見ている。俺を見ているというよりは、着ている制服を見ているという感じだ。


「いらっしゃいませ。本日は当店にお越し頂き誠にありがとうございます。異世界から来られた方でしょうか?」


 俺の後ろを飛んでいるリュートの姿が目に入っている筈だが、店員が驚くような素振りをすることはなかった。


「はい。そうです。それでもし良ければ、この服を買い取って貰えないかなぁと思って来ました」


「なんですと!?」


 話を聞いた店員は目を輝かせている。余程制服に興味があるに違いない。


「そんな貴重なものを私目に売って頂けるのでしょうか? 大変嬉しく思います! 申し遅れました。私このラ・フランスを経営しているナッシーと言う者です。以後、お見知り置きを」


 店の名前がラ・フランスで、店主の名前がナッシーとか完全にギャグだな。


「それでいくらくらいで買い取りして貰えますかね?」


「うーむ...」


 ナッシーは悩んでいる。もし安値を提示されたら俺のサプライズスキル交渉術を発動させてやる。元の世界ではNOと言えない人間だったが、こっちの世界での俺は違うんだ。


「これくらいでは如何でしょうか? 見たところ穴が開いているようです。穴が開いてなければこの倍は出せたのですが...」


 ナッシーは両手の指を全て上げている。10枚という意味だと思うが、銀貨なのか金貨なのか? 銀貨だとしたら1万円相当だ。いくら大モグラに穴を開けられたからとはいえ、流石にこれは安すぎる。金貨10枚でも10万円相当で、高価なものだと思っている側からすれば少し物足りない。


 さぁここからは俺の交渉術の見せ所だ。


「金貨10枚はちょっと、いや、かなり物足りないと思うのですがー」


 ちょっとと言うと、少し上げられて終わってしまう可能性がある。それならば、かなりと言っておいて相手の反応を見てみよう。


「いやいや。何を言ってるのですか? 白金貨10枚ですよ」


 白金貨10枚...1000万円!? あまりの衝撃に俺は言葉を失ってしまった。


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