その37 3万円とか嘘ですよね?
「えーっと、俺がドラゴンを倒していたら、ガンツ達から出ていた依頼を達成したことになると思うのですが、その報酬とかってどうなるんですかね?」
再びドラゴンを倒したことについて触れると、猫耳職員は呆れた様な顔をする。
「まだ言ってるんですか? 貴方が本当にドラゴンを討伐していれば、〖ブラックアイ〗の方から預かっている報酬を渡すことが出来ますが、ドラゴンの討伐証明部位である角はお持ちになっていませんよね?」
討伐証明部位? モンスターの討伐依頼ではそんな物が必要になるのか...。確かに証明する物がなければ、ギルド側でも依頼を受けた冒険者が本当に依頼を達成したかが分からないだろう。
本来なら新米の冒険者には、依頼を受けた時に説明があっても良い筈だが、彼女はこの依頼がドラゴンの討伐依頼ではないと気付いていたのだろう。
今からもう一度山へ戻ってドラゴンの角を取ってこれば、ドラゴンを倒した証明は出来ると思う。だけど、それはリュートの前で、親の頭から角を切り離すという行為を見せることになる。いくらお金が欲しいからと言っても流石にそんな真似はしたくない。
今回は依頼の報酬を諦めることにしよう。自分のユニークスキルのことも把握出来たんだ。またお金を稼ぐチャンスはある筈だ。
ただドラゴンの討伐となると報酬はいくらくらいだったのだろうか? この世界のお金の価値も含めて聞いてみよう。
「討伐部位が必要なことは知らなかったんで、持ってきてないですけど、それって依頼を受けた時にお姉さんが言うべきことですよね? おれが異世界人で、冒険者ギルドのことは何も知らないって分かってた筈ですよね?」
「そ...それは...」
猫耳職員はうろたえている。やはり俺の予想通りだ。大方ガンツ達が何も知らない新米の冒険者を、何かに利用しようとしているくらいに考えていたのだろう。
「ちなみにドラゴンの討伐報酬はいくらだったんですか?」
「金貨3枚になります...」
金貨3枚というのが安いのか高いのかも分からないので、この世界のお金について色々と聞いてみた。
この世界には銅貨、銀貨、金貨、白金貨という4種類の貨幣が存在するらしく、銅貨が俺達の世界での100円くらいの価値になるようだ。銅貨10枚で銀貨。銀貨10枚で金貨。金貨100枚で白金貨の価値らしいので、金貨3枚と言えば3万円くらいの金額になる。いくらこの世界のことが分からない俺でも、この報酬が明らかに少ない報酬だということは理解が出来る。
この報酬額だけでも、依頼がおかしな依頼だということは判断が出来る筈だ。
なぜ彼女はそんな依頼を俺に受けさせたのだろうか? そもそも俺に何の忠告もしなかったことに理由はあるのだろうか? 気になった俺はそのことを聞いてみることにした。




