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その36 まずはリュートのことを聞いてみました

「それってモンスターとかを使役したりする職業の人のことを言いますか?」


「はい。そうですよ」


 意外なことにこの世界にはビーストテイマーという職業が存在するらしい。街の人間のリュートを見たときの怯え様から、てっきりモンスターを使役するという行為自体がないのかと思っていたが、そうではないようだ。


「でも...街の人達は俺がリュートを連れているのを見て、怯えているようでした。あ! リュートって言うのはこのドラゴンの名前です。俺が村人ってことは誰も知らない筈なので、俺がビーストテイマーだと思えば恐れる必要はなかったと思うのですが?」


「普通、ビーストテイマーが使役出来るモンスターは下級モンスターまでです。ドラゴンを使役したという話は聞いたことがありません...」


 どうやらこの世界のビーストテイマーは下級モンスターしか使役出来ないらしい...よくある物語序盤では役に立つけど、中盤以降で全く役に立たなくなる典型的な職業じゃないか。


 そもそも俺はリュートを使役した訳ではない。勝手にリュートが付いてくるだけで、何の意思の疎通も取れてはいない。


「俺がリュートを連れていることに関して、この世界の法律的には何か問題はありますかね?」


 流石にリュートを連れていることが、法を犯すことになるのであれば連れて歩くのは厳しいだろう。その場合は何とかしてリュートと離れなければいけない。


「いえ。別にドラゴンを連れていることで罪になったりはしませんが、そのドラゴンが従魔であることを証明する物を身に着けていない場合は、冒険者の方に殺されたとしても何の文句を言うことも出来ません」


 従魔の証明? よくある使役したモンスターに腕輪や首輪を付けるということか? 今のところそれをすることは無理だろう。と言うかそもそも村人の俺がモンスターを使役出来る訳がない。


「分かりました...。ちなみにドラゴンって何を餌にしてるんですかね?」


「フレアドラゴンの場合は完全に肉食ですね。動物の肉や、ものによってはモンスターの肉なども食べたりします」


 動物の肉と言うのは牛や豚などで大丈夫だろう。それなら人間と同じ食事で良い筈なので、食事の場所に困ることはなさそうだ。問題はその場所にドラゴンが入ることが出来るかどうかと言うことと、食事に掛かる費用のことだ。今の俺はこの世界のお金を一銭も持っていない。その時にふと気が付いた。


 そう言えばガンツからギルドに出された依頼自体はドラゴンの討伐だった。そして俺はそのドラゴンを倒している。これは依頼達成になるのではないだろうか? ドラゴンの討伐の依頼達成ともなれば報酬はそれなりに良い筈だ。


 背に腹はかえられない。最悪の場合ユニークスキルのことを明かしても良いから、ドラゴンを倒したことを認めてもらおう。俺はそう決意した。


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― 新着の感想 ―
[良い点] とても面白かったです! 五十歩百歩,能力にことわざを当て嵌めて上手に物語を展開させていく点に魅力を感じました! これからも応援しています!
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