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その31 成績は中の下でした

 肉を切らせて骨を断つのは成功すれば良いが、肉を切られた時点で死んでしまう可能性があるということを頭に入れておかなければならない。


 この先、俺が考えなければいけないことは、俺にとってはどんな相手との戦いでも、常に命懸けになるということ。


 相手と似たり寄ったりの能力になるということは、どんな相手と戦っても負ける可能性があるということだ。それこそ最弱モンスター代表のスライム相手に負けてもおかしくはない。だが裏を返せばどんな相手にも勝てる可能性があるということだ。


 これが良いことなのか悪いことなのかは分からない。正直、異世界でモンスター相手に無双とかしてみたかったが、それは一生適わぬ夢となってしまった。


 だが今更それを言ったところで現状は何も変わらない。だったら今は一戦一戦を全力で戦うだけだ。


 俺が大モグラに対して仕掛けたのは、相手の死角に回り込んでの攻撃だった。


 一気に相手の正面まで行き攻撃すると見せ掛けると、大モグラはその爪で切り掛かってきた。


 それを予測していた俺は爪を避け、そのまま後ろに回り込んで後頭部に全力の蹴りを入れた。


 完全に死角からの攻撃に大モグラは大きく飛ばされた。


「やっぱりモンスターだから知能は低いみたいだな!」


 正直自分も頭が良いと思っていた訳ではない。クラス内の成績も中の下といったところだった。だが、それでも流石にこんなモグラに知能で負けるのはあり得ない。能力が同程度なら後は戦い方が全てを握る。


 蹴られたことで怒った大モグラが突進してくる。予定通りだ。この攻撃を避けて更に後ろから蹴りを入れてやろうと思っていると、大モグラは目の前で立ち止まり足で地面を掘り、掘った土を顔面に浴びせてきた。


「しまった!」


 顔面に土を浴びた俺は視界を失うと、その後直ぐに腹部に痛みを感じた。直接確認はしていないが、この感覚は確実に爪を突き立てられたものだと確信した。


「痛って...これは流石にヤバイ...」


 肉を切らせることには成功したが骨を断つことが出来ていない。これはただ単に攻撃を受けただけだ。


 知能で負けることはないと思っていたが、そもそも俺はモンスターの攻撃パターンを理解していなかった。やはり戦いを重ね経験を積むしかない。


 顔の土を払い除けて腹部を見ると、爪が刺さった様な穴が開いていて、そこから出血をしていた。致命傷にはなっていないが、そこそこ深そうな傷だ。


 前を見ると目の前で大モグラが爪を振り上げていた。あ! 終わった...俺がそう思った瞬間だった。リュートが大モグラの身体に噛み付いた。


 大モグラは数秒間身体をピクピクさせていたが、そこから一切動くことはなかった。


 この戦いはリュートがいなければ確実に死んでいた筈だ。俺は改めて戦いの怖さを実感していた。


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