その27 口から炎を吐くのは人間には無理です!
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フレアドラゴンベビー LV10
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「丁度良い機会だ。俺の予想が合ってるか確認させて貰うよ。ステータスオープン!」
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シオン・ヨシムラ
男性 年齢17歳
人間 職業・村人
LV10 HP170/170
SP60 MP0
力90 技85
速さ80 魔力0
防御80 幸運80
[加護]
炎B 風E 土E 水G
雷E 聖E 光E 闇E
[スキル]
村人の一撃
プチファイアブレス
[パッシブスキル]
炎無効化
[ユニークスキル]
五十歩百歩
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間違いない。俺のユニークスキルは、戦う相手と似たり寄ったりのステータスになるというもので確定だ。先程ドラゴンのブレスを受けても何ともなかったのは、パッシブスキルの炎無効化が働いたんだろう。注目すべきは相手のスキルを使える様になっても、自分が本来使えるスキルもそのまま残っているということだ。
村人の一撃は通常攻撃の1.1倍の攻撃が出来るだけだが、能力が上がれば1.1倍でも地味に役に立つかも知れない。しかもこの先にスキルを覚える可能性だってある筈だ。
相手よりもスキルの面では少しだけ優位になれると分かった。それでは試しに相手のスキルを使ってみよう。プチファイアブレスというのが炎のブレスだと思うが、俺の口から炎が吐き出されるのだろうか? 使うにはスキルの名前を叫べば良いのだろうか? 取り敢えず、よく分からないままスキルの名前を叫んでみた。
『プチファイアブレス!』
叫ぶと、直ぐに剣を持っている右手が赤く輝き、手のひらから炎が出現した。
「うわっ!」
慌てて剣を離すと剣は地面へと落ち、突き刺さった。手のひらからは炎が噴き出し、真っ直ぐに剣に向かい伸びていった。
炎は剣を燃やし、木で作られていた柄の部分は完全に燃え尽きてしまった。剣身の部分も熱で真っ赤に変色している。
こうなってしまっては、もうこの剣は使い物にならない。木の枝に続き、またもや最強装備を失ってしまった。
だが1つ分かったことは、人間の場合は口から炎を吐くのではなく手から炎を出せるらしい。右手から出せるなら左手からも出せるんじゃないのか? 俺は試してみることにした。
『プチファイアブレス!』
子竜の方に手を向けてそう叫ぶと、左手から炎が出現して子竜を直撃した。
「キュィィィ!」
子竜は高い声で鳴いたが、特にダメージが入っている様子はない。それはそうだ。俺に炎無効化があるということは相手にもあるということなる。
この戦いは素手で戦うしかないようだ。俺は拳を握り締め戦いの構えをとった。




