その269 この男は聖竜より強いかも知れません
「リュートォォ!」
槍がリュートに触れようとする瞬間、槍に向かい電撃が飛んで行き槍を弾いた。
「ん?」
電撃の飛んできた方に目を向けると、聖竜が口を開けている。
その口からはビリビリと電気が走っており、先程の電撃が聖竜から吐かれたブレスだと判明する。
『その男の相手は私がしよう。今のお前達に勝つことは出来ないだろう』
聖竜にはこの男の強さがわかっているのか? リュートやニアに勝つことが出来ない相手となれば、相当な実力の筈だ。
そんな相手と戦う時こそ、〖俺の五十歩百歩〗が役に立つ筈なのに、何故、俺のステータスが上がってないんだ? 今までにこんなことはなかった筈だ。
「へぇー、聖竜が僕の相手をしてくれるんだ? 良いねぇー、それは楽しそうだ」
男は笑顔を浮かべながら先程弾かれた槍を拾う。
槍にはまだビリビリと電気が走っているのに、男は平然とした顔をしている。
「それじゃあ行くよ!」
男と聖竜の戦いが始まった。
その戦いは想像を越えるもので、周囲の地形が変化をしていく。
男の槍は聖竜の身体を貫き、地面すら破壊する程の威力だ。だが、そのダメージに耐えて、聖竜の方も男に向けてブレスを吐き出す。
しかしブレスが男に直撃することはない。
降り下ろした腕も男の槍によって遮られてしまっている。
明らかに聖竜の方が押されている。
あの男の強さは聖竜を上回っているということだ。
「俺達も加勢する! 流石にこのままじゃ、聖竜と言えど無事で済むとは思えない。リュート、ニア、行くぞ!」
「はい!」
「うん!」
『来るな! ここは私に任せろと言った筈だ』
聖竜の声を聞き、俺達3人の足が止まる。
「いやー、アンタじゃ僕には勝てないよ? それは戦ってみてアンタもわかったんじゃないの?」
確かに男の言う通りだ。正直、聖竜がこの男に勝つことは難しいと思う。
ニアとリュートが居たからといって勝てる訳ではないが、可能性は上がる筈だ。
『確かにこの姿でお前に勝つのは難しそうだな。だったらこれならどうだ? ムン!』
聖竜の身体から光が放たれる。
その眩しさに俺達は目を閉じてしまう。
「一体何が起こったんだ...」
光が収まり聖竜がいた場所に目を向けるが、その場所に聖竜の姿はなかった。
代わりにその場所には長い白髪の青年の姿があった。




