その263 ポッキリいっちゃいました
アイツにはブレスや魔法から身を守る鎧があるかも知れないが、自分のステータスを確認したところ、使えるのは物理攻撃のスキルのみで魔法やブレスなどを使うことは出来ない。
これなら鎧による不利有利はない筈だ。
後は剣による差だけだが、流石に村人最強の剣ともなればそこいらの剣に負けることはないだろう。
俺が目の前まで接近すると漆黒の剣士が大きな剣を振り降ろす。
「はぁっ!」
振り降ろされた剣をパンピーソードで受け止める。
同じ力になっている今、力負けすることはない筈だ。
腕に力を込めて剣を押し戻す。
バキッ!
「え...?」
鈍い音が響くと同時にパンピーソードが折れ、折れた先が地面に刺さる。
俺の身体はバランスを崩し地面に尻餅をついてしまう。
「嘘だろ...」
あれだけ苦労して手に入れたパンピーソードが、一瞬で折れてしまった。
村人最強の武器と言っても所詮は村人の武器だということか...。
一瞬にしてピンチに立たされる。
巨大な剣を持つ相手に対してこちらは素手だ。
漆黒の剣士が剣を振り上げると俺を目掛けて振り降ろす。
「うわぁー」
俺は横に転がりながら剣を避ける。
避けた先に何度も剣が振り降ろされるが、ひたすら転がりながら剣を回避する。
かなり重量がありそうな剣だが、それを感じさせないくらいの速さの攻撃だ。
隙をみて立ち上がることが出来たが、立ち上がった瞬間に横切りが迫る。
「ヤバイ!」
先が折れたパンピーソードを身体の前に出し、剣を受け止める。
何とか攻撃を防ぐことは出来たが、パンピーソードが砕け散った。
ここまで砕け散ってしまっては修復は不可能だろう。
まぁ、修復が出来たところで大して役に立たないというのはこの戦いで証明されたが。
このまま攻撃を避けているだけではいつかやられてしまう。
今度はこちらから攻める番だ。
俺は拳を握り締めながら漆黒の剣士に向かうと、奴の鎧に全力の一撃を叩き込んだ。
「痛ってぇぇぇ!」
拳に激しい痛みが走る。鎧だもんな...魔法やブレスだけではなく物理攻撃にもそれなりの耐性を持っていいて当然だ...。
漆黒の剣士にダメージが入った様子はない。
直ぐ様横切りの反撃が来る。
マズイ...。流石にかわせそうにない...。
その時粉々に砕けちったパンピーソードの破片が輝き出した。
破片は宙に舞い上がり一ヶ所に集まると、1本の剣へと変化した。
剣は俺の方へ向かい物凄いスピードで飛んできた。




