その233 一応ギルドからの依頼と言うことになるみたいです
ギルドに着き、中に入るとウィズダムの姿があった。
「待っていたよ。皆を助けてくれて本当にありがとう」
ウィズダムが俺に頭を下げる。
副ギルド長が俺達の様な人間に頭を下げているとなって周りの人間に注目される。
「頭を上げて下さい。周りの人達が見てますから...」
「人の目を気にして礼を怠る訳にはいきません」
ウィズダムはそう言うが俺からしたら正直迷惑だ。
「俺を呼んでいるというのはお礼を言うためでしょうか?」
「いえいえ。今回ギルドからの依頼を受けて頂き、達成して頂いた報酬をお渡しするためです」
ウィズダムは白金貨を1枚差し出す。
ギルドからの依頼になるのなら、遠慮なく頂くことにしよう。
「ありがとうございます」
俺はウィズダムから白金貨を受け取ると腰の袋に収納する。
「シリウスさんから聞いたのですが、シオンさん達は今回のモンスターに関して詳しいんですよね?」
正直、俺自身がクロノカラムの能力になったこともあり、奴のステータスから特技まで全てわかる。
しかし誰も知らないモンスターのことをあまり詳し過ぎても怪しまれてしまう。
「そんなに詳しい訳ではないのですが、何か聞きたいことがあるのでしょうか?」
「あのモンスターには物理攻撃が通用しないというのは本当でしょうか?」
そのことに関しては既にシリウス達にも伝えてある。隠す必要はないだろう。
「はい。どんなに強い冒険者でも物理攻撃でダメージを与えることは出来ないと思います」
「シリウスさんから聞きましたが、やはりそうなのですね。新たに強力な魔法の使い手を中心に討伐隊を組もうと思っているのですが、ニアさんも討伐隊に加わって頂けないでしょうか?」
討伐? そうか...ウィズダムはニアがクロノカラムを倒したことを知らないからか。
俺達が受けたのはシリウス達の撤退支援だ。まさかクロノカラムを倒しているとは想像もしていないのだろう。
「クロノカラム。あのモンスターなら討伐しましたよ」
「それは本当ですか!?」
「はい。一応死体をマジックボックスに収納してありますので、必要があればお渡ししますよ」
「まさかあのモンスターを2人で倒してしまうとは...私の想像以上の実力をお持ちなのですね...」
まぁ、2人と言っても俺は引き付け役をしただけで、倒したのは完全にニアのフレアバースト一発だ。
「クロノカラム? でしたっけ。ギルドの外にそのモンスターの死体を出して頂いても良いですか?」
「ニア。頼むよ」
「わかりました」
俺達はギルドの外に出ると、ニアはマジックボックスを発動させクロノカラムの死体を外に出した。




