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その23 LV3の筈なんですが?

「バーツ! ボサッとしてないで卵を回収してこい! シオンが殺されたら次に狙われるのはお前だぞ!」


「はっ、はい!」


 バーツは卵を回収するべく窪みに近付いた。しかしゲイツを引き裂いたドラゴンが次に狙ったのは、俺ではなくバーツだった。ドラゴンは空を飛び、一気にバーツに近付くと大きく口を開けた。


「な、何で俺の所に!? うっ...うわぁぁぁ!」


 大きく広げた口からは炎が吐き出された。


「ぎゃぁぁぁ!」


 炎に包まれたバーツの身体からは、肉が焼ける様な焦げ臭い匂いが漂っていた。


 数秒が経過すると、ドラゴンのブレスで焼かれたバーツは完全にその姿がなくなり、骨すら残ることなく灰となった。


「何故だ!? 何故シオンが狙われない!? おいシオン! お前Gランクとか言ってたが、本当は高レベルなんじゃないのか!? よく考えれば異世界人でGランクとかあり得ない話だ! 俺達を騙しやがったな!?」


 何か無茶苦茶言われてるな...しかも結構痛いとこついてくるし...。異世界人でGランクとかあり得るんだよ。ちくしょう! だが確かにおかしいな...俺のLVは3だった筈だ。いくらなんでもバーツがLV3以下と言うことはないだろう。俺の中で1つの結論が生まれた。


 おそらく俺のモブキャラ力によりドラゴンには俺が見えていない。俺は存在しない者として扱われているんだ。


 昔から「あれ? シオンいたの?」という言葉をよく聞かされてきたが、それと同じ状態だ。それならば俺は狙われることはない! 次に狙われるのはガンツの筈だ。


 バーツを焼き尽くしたドラゴンはガンツの方に向かい飛んで行った。


 やはり俺のユニークスキル。モブインビジブルが発動している様だ。


「ちくしょう! こうなったらやってやるよ!」


 ガンツは剣を振りかぶってドラゴンの身体を斬り付けたが、先程バーツの矢が当たった時の様に、カーンという金属音の様な音がするだけで、ドラゴンの身体には全く傷が付いていない。


「くっそぉー、ドラゴンの皮膚は鉄より硬いとは言うが硬すぎだろうが!」


 再びガンツはドラゴンに斬り付けた。思い切り振りかぶった一撃はドラゴンの皮膚に弾かれ、剣はガンツの手を離れ、俺の目の前に突き刺さった。


「危ないなー! もうちょっとで俺に刺さるところじゃないか!」


「ぎゃぁぁぁ!」


 剣に意識をさいて、目を離していた隙にガンツは炎のブレスを受けた様だ。ガンツのいた場所は炎が大きく燃え上がっていた。


 俺の目の前で3人の人間が死んだ。1人は爪で引き裂かれ、2人は生きたまま燃やされていった。普段の俺なら気がおかしくなっていそうなものだが、特に何の感情も湧かなかった。俺を囮にしようとした人間に対して、ざまぁ見ろくらいに思ってしまったのだろうか? 今の感情が自分でもよく分かっていなかった。


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