その221 また凄い召喚獣が増えました
「私と契約をということですか?」
『うむ。ようやくと仕える価値のある者に巡り会えた気がする』
フェンリルに聖竜にケルベロスまで加わったらニアの召喚獣だけで、小さな都市なら滅ぼせてしまう気がする。
「わかりました。私の名前はニア。貴方に名を与えます。ケルべム、今日からそれが貴方の名前です」
『ありがたき幸せ。このケルベム命尽きるまでニア様のお力になることを約束しましょう』
ニアとケルベムの契約が終わり、ケルベムの姿が魔法陣の中へと飲み込まれていく。
聖竜には名付けをしていないが、聖竜の場合は少し特殊なケースだからか? 俺は話している途中だったガイアの所へと急いで戻る。
「はぁ、はぁ、はぁ...すみません。モンスターなら全て討伐完了しました」
「あの魔竜も倒したのか?」
「はい」
正確には魔竜を倒したのは聖竜だが、その聖竜を呼び出したのはニアだ。
俺達が倒したと言っても過言ではないだろう。
「あの男女2人組はどうしたんだ?」
「あの2人なら撤退しました。もうこの街に来ることはないそうです」
「結局全てお前達の世話になってしまったということか...」
ガイアは申し訳なさそうな顔をしている。
あの2人が相手なら大抵の人間は、まともに戦うことも出来ないだろう。
「俺達以外に生き残りは?」
俺は無言で首を横に振る。
それを見たガイアが悲しそうな顔をする。
「そうか...俺は死んだ奴等を弔ってくる。お前達はキートン様の所へ報告に行ってきてくれ」
ガイアの指示を受け、俺達はキートンの所へ向かう。
最初に会った時と同じように、キートンは家の入り口の前に立っている。
「戻って来ましたか! それでは報告を聞かせてもらっても良いでしょうか?」
俺はキートンに戦いの結果を報告した。
ケビンとリサを捕らえることには失敗したが、それは元々俺達の担当ではない。
俺達の今回の働きに関して、キートンは満足をしてくれたようだ。
「ありがとうございます。これがお約束の白金貨です。2人を撤退させて頂いたことも考え、上乗せさせて頂きました」
キートンは俺の前に10枚の白金貨を差し出す。
元々約束してあった額の2倍とは気前が良いな。
「こんなに沢山...ありがとうございます」
俺はキートンから白金貨を受け取ると、腰の袋に収納した。
「また何か困ったことがあれば、お二人の力を頼るかも知れませんが、宜しくお願いします」
「はい」
俺達はキートンの元を離れ、事前に取っておいた宿へと移動する。
空には朝日が昇ってきている。
正直、身体はもうクタクタだ。早く眠りたい。
宿の部屋に入った俺は、うつ伏せの姿勢でベッドに倒れ込んだ。




