その210 そろそろ24時が近付いてきました
戦いが終わった後のことを考えて、宿の予約だけを済ませると、その後は適当に街の中をブラブラして時間を潰した。
入り口付近だけではなく、街の中の建物にも被害が出ているようだった。
入り口の建物と同じく建物にトラックでも突っ込んだような形跡がある。
これがモンスターの仕業だとすればかなり大型のモンスターになるだろう。
夜になり、レ・トルトで夕食を済ませた俺達は特にすることもなかったので、約足の時間までは宿の中で過ごすことにした。
別にレ・トルトに行かなくてもマジックボックスから取り出せば、レ・トルトの食事を食べることは出来るが、どうせ時間があるなら雰囲気も味わいたい。
宿の2人部屋で数時間を過ごし、時刻は23時を回った。
そろそろ街の入り口へ向かおう。
俺はニアとリュートを連れて街の入り口へと向かった。
入り口には既に多くの兵士達が集まっていた。
どうやらキートンの姿はないようだ。
確かに現場に出て戦闘をするタイプには見えなかったしな。
1人の大柄な男が俺達の前に歩いて来る。
「よぉ! アンタ達がシオンとニアか? 俺の名前はガイア。今回の指揮を取らせてもらう者だ」
ガイアと名乗った男は、まさに戦士と言った格好をしている。
おそらく2m近い身長に大きな斧を持ち、身体は頑丈そうな鎧で覆われている。
兵士と言った感じはしないので、俺達の様に今回の為雇われた冒険者なのかも知れない。
「宜しくお願いします。俺達が戦うのはモンスターだけという話は、キートンさんから聞いていますか?」
「ああ、聞いてるぜ。ビーストテイマーなんてしている奴は基本、本人の強さは普通の人間と変わりねぇ、俺1人でも十分なくらいだ」
1人でも十分と言う割りには30人くらいの兵士が居るのだが...。
「2人ともビーストテイマーなんですか?」
「ああ、間違えない。ビーストテイマーにしては強力なモンスターを従えているがな」
だとすればニアのような召喚魔法の使い手なのかも知れない。
だとすれば術者本人も強力な魔法が使えてもおかしくない筈だ。
この戦力で大丈夫なのだろうか? ガイアはともかく、残りはただの兵士で戦力的にはあまり期待が出来ない気がする。
「わかりました。モンスターは俺達で何とかするので、ガイアさん達は男女2人をお願いします」
「任せとけ! モンスターさえいなければあんな奴等に遅れを取ることはない」
ガイアが自信満々にポンっと胸を叩くと同時に、街の外から狼が吠える様な声が聞こえてきた。




