その202 いきなり兵士に囲まれました
兵士達は槍を構え俺達の方へと向ける。
「キュイイイ!」
いきなり槍を向けられてリュートが兵士達に怒っている様だ。
「あのドラゴンに気を付けろ! 子竜だといって油断をすれば命を落とすぞ!」
かなりの数の兵士達に囲まれてしまっている。
一体何が起こっているのか、俺とニアには全くわからない。
「シオンお兄ちゃん...どうしますか?」
「どうしようか...明らかに悪人なら戦うべきだけど、そういう訳ではなさそうだから取り敢えずは話し合ってみるよ」
俺は武器を持っていないことをアピールするため、両手を上に上げて1歩前に出る。
「動くな!」
兵士が俺の目の前にまで槍を突き出す。
「俺達は[パルマ]からこの街に来た者ですが、一体どういうことでしょうか?」
「惚けるな! モンスターを操りこの街を襲っている男女の2人組とはお前達のことだろう!」
なるほど...モンスターを使い、この街を襲っている人間が居るのか。
まぁ、間違えなくビーストテイマーか召喚魔法の使い手だとは思うが、この街を襲っているっていうことは魔族か、もしくは魔族に力を貸す人間だろう。
確かにリュートが俺の従魔なら条件には当てはまるが、もちろん俺達は無関係だ。
「俺達はこの街に来たのは初めてで、その2人組と言うのは俺達とは別人です!」
「ドラゴンを従魔に出来るような人間など、明らかに普通の人間じゃない! 大人しく捕らえられるが良い!」
実際に俺達は無関係なので、調べてもらえればわかる筈だが、調べられればニアが魔族だと知られてしまう可能性がある。
それだけは避けなければいけないが、かと言ってこの兵士達と戦うという訳にもいかない。
あ! そう言えばガラードから貰った手紙があるじゃないか。
それを見せれば俺達がこの街を襲った人間ではないとわかってもらえる筈だ。
「ちょっと待って下さい。ガラード侯爵からこの街の代表者への手紙を預かっています」
「何? キートン様への手紙だと? 見せてみろ」
俺が手紙を差し出すと、兵士は奪い取る様に俺の手から手紙を持っていく。
「少し待っていろ。この手紙をキートン様へお見せしてくる。私が帰ってくるまでこの2人が下手な動きをしない様に見張っておいてくれ」
手紙を持った兵士が街の中へと姿を消して行く。
暫くの間待っていると、手紙を持って行った男が慌てた様子で戻ってくる。
「先程は大変失礼致しました! シオン様。ニア様。キートン様が至急お会いしたいとのことです。私の後に付いて来て下さい」
戻ってきた男の態度は先程とは180度違うものだった。




