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その2 やっぱり魔王はテンプレですよね?

 改めて周りを見渡すと、現在の俺がいる場所は城の中のようだ。20人程の鎧を着込んだ兵士の姿があり、奥の方には玉座がある。その玉座には、立派な髭を生やした男性が座っている。頭に王冠を被っているので、おそらく王様と言った所だろうか? 隣には白いドレスを身に着けた女性が立っている。


 女性は美しい顔立ちで気品があり、大きな瞳で俺達4人の方を見つめていた。

 

 女性の前には、杖を持った老婆が立っていて、こちらを見ながらかなり驚いた表情をしている。何か問題でもあったのだろうか。


「陛下! 召喚をする予定ではなかった者が、1人混ざっております!」


 召喚をする予定ではなかった者? 多分、俺のことだろう。本来は春香が召喚される筈だった所を、俺が無理矢理魔法陣に入ったことで、招かざる俺が召喚されてしまったということだろう。だが、俺が春香以上に使える人材であれば問題はない筈だ。


 異世界転移物では、現実世界で役に立たないような人間は、転移すると無双するというのがお決まりになっている。


 自慢ではないが俺はアッチの世界では、相当なモブキャラだった。こっちの世界ならば勇者くらいになっていても、おかしくはないだろう。


「何と! それではどうすれば良いのだ!? 四天王を倒す為には、4人の異世界人の力が必ず必要になると言うのに!」


 王らしき男は動揺をしている。だが大丈夫だ。春香の代わりは俺が立派に務めて見せる。

 やっと昔からの夢だったヒーローになれるチャンスが、回ってきたかも知れないんだ。


「これは一体なんなんですか!? 貴方達は一体!?」


 慎吾達は、状況が飲み込めてない様だった。それもそうだろう。アニメや漫画なんかに興味のなさそうな慎吾の頭に、異世界転移なんて現象が浮かぶ筈がない。


 変な光りに包まれて、気が付いたら別の場所に居るとか、現実には起こり得ないことだ。


 動揺する慎吾達に、王らしき男は説明をした。やはり男はこの国の王で、国の名は〖タリア王国〗と言うらしい。今現在〖タリア王国〗は魔族からの侵攻を受けているらしく、その侵攻を止めるべく魔族の王、魔王を倒すという結論に至ったのだという。


 ただ魔王が居る城には、絶対障壁と呼ばれる障壁が張られていて、その障壁を消さなければ、城に近付くことが出来ないらしい。


 絶対障壁を消す為に必要な〖オーブ〗と呼ばれる玉は、それぞれ四天王と呼ばれる4人の魔族が持っていて、その四天王を倒すべく4人が召喚されたということらしい。


「何故、僕達が選ばれたんですか!? わざわざ違う世界にいる僕達を呼ばなくても、この国にも戦える人間は、いくらでもいますよね?」


 慎吾の言うことはもっともだ。わざわざ別の世界から人間を召喚しなくとも、自分達の世界のことは自分達で何とかすれば良い。そう思うのが当たり前だ。


 だが、慎吾。お前は分かっていない! 異世界召喚で召喚された人間には、特別な力が備わっているというのがお約束なのだ。


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