その192 伝説の聖剣エクスカリバーを手に入れたようです
『まさかこの私が負けるとはな...』
「それで俺達は聖騎士の証を貰えるんですか?」
「むろん聖騎士の証は与えよう。この私を倒した者など今まで初めてだからな」
ん? 聖騎士の証を手に入れた者は他にもいるんじゃないのか? 初めてと言うのはどういう意味だ...。
「俺達以外にも聖騎士の証を手に入れた人間は居るんじゃないですか?」
『むろん。多くはないが何人かは居るぞ? ただ、私を倒す迄に至った者は初めてだ』
そういうことか。聖竜に認められれば良いだけなら、聖竜を倒す必要はない。そもそも聖竜を倒せる人間など存在しないのかも知れない。
『受け取るが良い。これが聖騎士の証だ』
聖竜は口から白く輝く石を吐き出した。
口から吐いた石を触るとか嫌なんだが...。
俺は石を拾い上げるとスージーに差し出した。
「私にこれを受け取る資格はない...この戦いで私は何も出来なかった...」
スージーは受け取ろうとしない。流石に聖竜戦で何の役にも立てなかったことを気にしているんだろう。
「でも、これがなければスージーさんは王子様の妻にならなければいけないんですよね?」
「それが運命なら受け入れよう」
スージーが辛そうな顔を見せる。俺はスージーのそんな顔を見たくはない。
「ここだけの話にして下さいね。俺、実はタリアの国王が好きじゃないんです。だからスージーさんみたいな人がタリアの国王の娘になるとか、絶対に嫌なんです」
俺はスージーに聖騎士の証という名の聖竜が吐き出した石を握らせた。
「シオン殿...」
「俺の為だと思ってお願いします。結婚なんてしないで下さい!」
「シオン殿...ありがとう...」
スージーは泣きそうな顔をしている。それだけ嬉しかったんだろう。
『ふむ...聖騎士の証はその娘に与えるか...。ならばお主にはこれを授けよう』
聖竜は大きく口を広げると、口の中から1本の剣を吐き出した。
「危なっ!」
剣は俺の直ぐ隣に突き刺さった。後数㎝ずれていたら俺の身体に突き刺さっていたところだ。
『その剣の名は聖剣エクスカリバー。エクスカリバーを渡しても良いと思える人間はソナタが初めてだ』
聖剣エクスカリバー...あの伝説の剣か。おそらく最強クラスの武器だと思うが、村人の俺に装備が出来るとは思えない。
俺は剣を手にして装備欄を確認してみた。
...やはりEのマークが付かない。まぁ元々期待はしていなかったが。
「スージーさん。ちょっとこの剣を持って装備出来るか確認してもらっても良いですか?」
「それはあの伝説の聖剣エクスカリバーなのだろう? そんな大切な物を私が触って良い筈がない!」
「良いから持ってみて下さい」
俺は無理矢理スージーの手にエクスカリバーを握らせた。




