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その177 久し振りにフカフカのベッドで眠れそうです

「それでは食堂の方へ案内しよう」


 あまり至れり尽くせりだと頼みを断り辛くなる気がするが、折角言ってくれているんだからお言葉に甘えよう。


「もちろんこれはお主達がここに来てくれたことへの礼だ。私の依頼を受けるかどうかは、話を聞いてから決めてくれれば良いからな」


 やはりガラードは出来た人間だ。俺達への依頼というのが国に関わる様なことでなければ受けても良いかも知れない。


 ガラードに案内され食堂へと着いた俺達は、長い机に沿って置かれた椅子へと腰を掛けた。


 椅子は20脚近く置かれているというのにニアは俺の右の椅子へと腰を掛ける。


 左の椅子にはリュートがちょこんと座っている。


 屋敷の使用人らしき女性がリュートのテーブルの前に大量の肉が乗った皿を置く。


 何の肉かはわからないが、色々な種類の肉が皿から溢れかえる程の量だ。


 リュートの分まで用意してくれるとは気が利く男だ。


 自分の前に置かれた肉にリュートが食らい付く。


 リュートが食事を始めると俺達の前にも料理が運ばれてきた。


 この世界に来てからこれだけ豪華な料理は初めてだ。


 例えるならフランス料理のフルコースという言葉が一番近いだろう。


「シオンお兄ちゃん。この料理凄く美味しいですね!」


 ニアの言う通り、料理は見た目の豪華さだけではなく、味の方も相当な旨さだ。


 30分程の時間が経ち料理を完食した俺達の前にガラードが姿を現した。


「食事の方は満足してくれたかね?」


「はい! こんなに豪華な料理を食べたのは初めてです! リュートの分まで用意して頂きありがとうございました」


「満足して貰えたなら私も嬉しいよ。部屋へ案内しようと思うのだが、お主達は兄弟ということだし、同室でも構わぬかな?」


「はい!」


 俺ではなくニアが答える。まぁ、俺も知らない場所でニアを1人にするつもりはないので、同室を希望するつもりではあったのだが...。


「それでは私に付いて来てくれ」


 ガラードの後に続き食堂から移動をする。


 案内された部屋は二人で使うには広すぎる部屋だった。


 ベッドは2つしか置かれていないので、この広さでも元々2人部屋のようだ。


「それではこの部屋を自由に使ってくれ。また明日の朝、娘が帰って来たら呼びに来るので、それまではゆっくりしていてくれ」


 そう言うとガラードは俺達の前から姿を消した。


 ガラードの姿がなくなると、俺は寝心地の良さそうなベッドに飛び込んだ。


 フカフカで気持ち良い。こんなベッドで眠るのはこの世界に来てから初めてだ。


 俺がそのまま眠りにつこうとするとニアとリュートがベッドに潜り込んできた。


 やはりこうなるのか...。


 俺達は大きなベッドで川の字の様になって眠りについた。


 俺達が眠りについてから何時間経過しただろうか...。


 どこかから人が言い合いをしている声が聞こえてくる。


 俺は隣で眠るニアを残し、部屋を出ると声のする方へと向かった。


 声が聞こえる方に向かうとそこは昨日、兵士に連れられてガラードに会った部屋だった。


 部屋の扉が開いているため、声が外までまる聞こえになっている。


「そんな冒険者の力を借りる必要はありません! 私は命を預けても良いと思える者を見付けたのです!」


「しかし、その者がどんな者なのか全くわからないのだろう?」


「あれだけの力を持っている2人なら調べれば直ぐにわかる筈です」


 声の主の1人はガラードでもう1人は女性の声だ。娘が帰ってきたのだろうか。


「失礼します」


 扉は開いているので、俺は一声掛けて部屋の中へと入った。


「!! 父上! 私が言っていたのはこの者です!」


 部屋の中にいた女性は、大サソリに襲われていたところを助けた騎士のスージーだった。


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