その171 サソリの毒には要注意です
猛スピードで走るシルキーに乗っていることで、回りの景色が目まぐるしく変わっていく。
これだけのスピードで走れば普通なら即振り落とされてしまう筈だが、シルキーの背中からは絶対に落ちることがない。
この安心感はかなり大きなものだ。
シルキーが走り出して数時間が経過した時だった。
シルキーが前方の方で何かに気付いたようだ。
「ニア様。前方の方で戦闘が行われているようですが、いかがいたしますか? 迂回をして進めば避けて通ることも出来ますが?」
「戦闘? 詳しくわかるかい?」
「人間。私はニア様に聞いたのですが? まぁ良いでしょう。複数の人間がモンスターに襲われているようです」
「何だって!?」
襲われている人間がどんな人間かはわからないが、見捨てておくことは出来ない。
「助けに行こう。ニアも大丈夫かい?」
「はい!」
「シルキーはここで待っていてくれ」
従魔の証を着けているリュートとは違いシルキーを連れて行っては余計な混乱を生む可能性がある。
足を止めたシルキーの上から俺とニアが飛び降りるとリュートも俺達についてくる。
戦闘が行われているという前方に向かい俺達は走り出した。
状況が確認出来る場所にまで近付くと、モンスターに襲われているのは騎士達のようだ。
3人の騎士に対してモンスターの数は6匹。大きなサソリのモンスターだ。
モンスターにやられたのか1人の騎士はその場に踞ってしまっている。
「シオンさん。気を付けて下さい。あの大サソリの尻尾には猛毒があります。刺されれば運が悪い場合、一撃で死んでしまうこともあります」
自分の運の悪さには自信がある。刺されれば確実に即死だろう。
だが待てよ? 猛毒を使うサソリなら自分の毒に対しては耐性があるんじゃないのか? 自らの毒で死ぬことほど間抜けな話はない筈だ。
大サソリと戦うことを決めた俺は自分のスキルを確認してみたが、猛毒攻撃というパッシブスキルはあったが、毒攻撃に対する耐性などは一切なかった。
だが裏を返せば俺の攻撃には猛毒が含まれることになる。
それなら簡単に大サソリを倒すことが出来るんじゃないだろうか。
尻尾の攻撃だけは絶対に受けないよう意識をしながら、俺は大サソリ達に突っ込んで行った。
1匹目の大サソリの背中を殴り付ける。背中はかなり硬い殻の様な物に守られているため、ダメージを与えることは出来なかったが、大サソリは苦しんでいるように見える。
暫くすると大サソリは動かなくなった。
やはりそうだ。今の俺の攻撃は猛毒を与えることが出来る。
これなら毒耐性を持たないモンスターなら簡単に倒せるんじゃないだろうか。
1匹目の大サソリを倒した俺は2匹目の大サソリへと向かって行った。




