その17 山賊じゃないですよね?
「分かりました...。依頼の手続きをしておきますね。この依頼を出しているのは、〖ブラックアイ〗というパーティーになるのですが、今丁度ギルドにお見えになっていますよ」
パーティーの名前が〖ブラックアイ〗とは強そうな名前だ。と言うかドラゴンと戦うのは、Aランク以上が数人でということは全員Aランクなのだろう。
強いパーティーとはお近付きになっておくに限る。〖ブラックアイ〗の方々に挨拶をしておこう。
「何方かお聞きしても良いですか? 挨拶をしておきたいのですが」
「あちらにいる3人の方が〖ブラックアイ〗の方々になります」
女性が教えてくれた方向にいたのは3人組の男達だった。如何にも柄が悪そうな見た目で、冒険者というよりは山賊という言葉が似合っている。
恐る恐る近付き3人に挨拶をしてみた。
「あのー、今回ドラゴン討伐の依頼を受けさせて頂くことになりましたシオンという者です! 宜しくお願いします」
間近で見たが、やはり3人の男達は全員悪者顔で、明らかに異彩を放っている。
現実世界でこの3人に睨まれたら、自分から財布を差し出し中身を見せて、お金を持っていないことをアピールしてしまうレベルだ。
「おぅ。お前が依頼を受けてくれたのか? 俺はガンツって言って〖ブラックアイ〗のリーダーをしている。冒険者ランクはBランクだ。宜しくな。そっちの細いのがバーツで、ポッチャリしてるのがゲイツで、2人は冒険者ランクCランクの冒険者だ」
話し掛けてみると、ガンツは意外に気さくな人間の様だ。人を見掛けで判断してはいけないとは、よく言ったものだ。
それにしてもBランクとCランク2人でドラゴン退治とは、どういうことだろうか? ギルドの女性から聞いていた話では、Aランク数人で討伐するということだったが。
「ガンツさん。折角依頼を受けてくれる人間も見付かったことですし、今からドラゴンの巣まで行っちゃいませんか?」
発言した男は細身の体付きをしているので、バーツの方だろう。頭にはバンダナを巻き、身体には何かの毛皮で作られている服を着ている。ザ山賊と言う言葉がピッタリだ。
「良いんじゃないですか? 早いに越したことはないですし」
今度はポッチャリした方の男が発言をした。こっちがゲイツだろう。3人は全員が似たような格好をしていて、顔も似たり寄ったりの顔なので、体系の違いでしか判断が出来ない状態だ。
「確かにそうだな。お前シオンとか言ったな? その格好からするに、別の世界から来た人間だろ? 登録時の冒険者ランクはどうだった?」
ガンツは俺の冒険者ランクを気にしている。戦力として計算したいのだと思うが、実際の俺の戦闘力はスライムと同等レベルだ。ここで嘘を言っても、後々問題になってくるだけなので、真実を伝えておこう。
「俺の冒険者ランクはGランクでした...。正直ドラゴンとの戦闘では、お力になれないと思います」
罵倒をされてもおかしくないとは思っていたが、ガンツから返って来た反応は意外なものだった。
「全然気にしなくても大丈夫だぜ! Gランクでも全く問題はないからよ!」




