その160 〖パストビジョン〗というスキルがあるようです
「俺が異世界人だとわかるユニークスキルですか...?」
「正確には初めて出会った相手の過去の姿が脳裏に浮かぶというものです。〖パストビジョン〗というユニークスキルなのですが、正直使い道が殆どないユニークスキルです」
なるほど...過去の俺の姿が見えたなら服装から、この世界の人間ではないと気付いたのかも知れない。
待てよ? だったらニアのことは...。
「過去の姿が見えたって言うことはニアのことも!?」
「はい。人間ではなく魔族だと知っています」
「だったらなぜ!?」
「何故、私がそれを言わなかったかですか? 私は魔族全てが敵だという考え方には反対なのです。それに私にはニアさんが悪い方とは、とても思えませんから」
驚いた...。フォードは出会った時からニアのことを魔族だとわかっていたのに、ギルドには報告をしなかったことになる。
この国の人間にとって魔族は敵、倒すべき存在だと誰もが考えていると思っていたが、魔族のニアが人間との争いを望まない様に、人間でも魔族全てに敵意を持っている訳ではない人間も居るようだ。
「それでニアさんは何者なんですか? いくら魔族とは言え、あれだけの力を持っているのは特別な存在の筈です」
やはり魔族が皆、ニアの様な力を持っている訳ではなく、ニアは魔族の中でも飛び抜けた存在になるみたいだ。
まぁ、確かに全ての魔族がニアの様な力を持っていたら人間では端から勝負にならなかっただろう。
「俺も詳しくは知らないんです。どうやら城に捕まっていたところを逃げ出してきたみたいですけど...」
「城に捕まっていた...。まさか!?」
「何か知っているんですか!?」
明らかにフォードは何かを知っている。例えどんな理由でニアが捕まっていたとしても、俺とニアの関係が変わることはない。
だが、ニアのことを色々と知りたい気持ちはある。
だってニアは俺が異世界で初めて出会った信頼できる仲間なんだから。
もしニアが何かを抱えているのなら俺はニアの力になってやりたい。
「貴方はニアさんのことを信じているのですよね?」
「はい。ニアは絶対に人間に危害を加える様なことはしません。例え自分の身に危険が迫ったとしてもです」
「だったら私からは何も言わないでおきましょう。いずれニアさんの口から話してくれる時がくる筈です。ですが...」
フォードは口ごもった。何か言いづらいことがあるようだ...。
「...人間の中にはニアさんを狙っている者も居ます。もしニアさんを狙う者が現れたら貴方はどうするのですか? 同じ人間と戦えるのですか?」
フォードの問いに対して俺には考える必要がなかった。
何故ならば、俺はニアを守ると決めて、既にタリア王国の騎士とも戦闘を行っているからだ。




